MAツールとは? 基礎知識から機能・導入メリットまで完全解説
MAツールとはデジタルマーケティングにおいて、顧客行動を可視化・管理し、対応を自動化してくれるシステムです。特に商談確定前の見込み顧客においてのアプローチを最大化できます。
今回はMAツールにどのような機能があるか、メリット・デメリットは何かをみていきましょう。
また導入ステップも解説しているので、ぜひ活用してください。
MAツールとは
MAツールとは、見込み顧客の獲得から育成、商談化までのマーケティング活動を自動化するシステムです。具体的に以下のような機能があり、人手では難しい大規模なマーケティング活動を効率的に実現できます。
- Web上での顧客行動の追跡
- メール配信の自動化
- 顧客データの一元管理
導入企業はマーケティング活動の工数を大幅に削減できるため、より効果的な顧客アプローチを実現できるのです。
なぜ今MAツールが注目されているのか
MAツールは、以前より変化している顧客行動に対応するために注目されています。従来は営業主導の商談スタイルでしたが、現在は顧客が自らWeb上で情報収集を行い、購入を検討するスタイルへと変化してきました。
このように顧客がインターネットで情報収集を行うようになった今、企業にとってもデジタルでの顧客接点管理が重要課題になっています。
Web上での顧客行動を把握し、適切なタイミングで最適な情報を提供できるため、MAツールへの需要が非常に高いのです。
MAツールの市場規模と導入状況
日本企業のMAツール導入率はデジタル化の加速によって増加しています。特に導入が進んでいるのはBtoB企業です。
従業員1000人以上の大手企業では導入率が30%を超えています。
またコロナ禍以降は中小企業でもデジタルマーケティングへの注目が高まっており、導入を検討する企業が増加傾向にあります。
MAツールで実現できること
MAツールを活用することで、主に以下3つのマーケティングプロセスを効率化できます。
- リードジェネレーション(見込み顧客の獲得)
- リードナーチャリング(見込み顧客の育成)
- リードクオリフィケーション(見込み顧客の選別)
それぞれどのような機能によって対応できるのか見ていきましょう。
リードジェネレーション:見込み顧客の獲得
MAツールを利用することで、Web上での資料請求やセミナー参加などに関する見込み顧客情報の自動収集が可能です。
そのため、リードジェネレーション(見込み顧客の獲得)が実現できます。
フォーム作成機能を使って簡単に問い合わせページを作成できるので、顧客情報を自動で管理システムに取り込むこともできます。
IPアドレスから企業を特定する機能があれば、サイトに訪れた見込み顧客の企業情報の自動収集ができるので更に有効です。
リードナーチャリング:見込み顧客の育成
リードナーチャリング(見込み顧客の育成)とは、顧客の購買意欲を高めることです。顧客の興味関心に合わせた最適なコンテンツを自動配信することで対応できます。
具体的には以下のような行動に応じた適切なアプローチが可能です。
- 価格ページを見た顧客には資料請求を促す
- サービス紹介ページを見た顧客には事例資料を送る
メールの開封率や閲覧ページなどのデータを基に、顧客の関心度を自動で判定することもできます。
リードクオリフィケーション:見込み顧客の選別
リードクオリフィケーション(見込み顧客の選別)にはスコアリング機能を使用できます。この機能によって商談化の確率が高い見込み顧客を、自動で抽出することが可能です。
具体的には以下のような行動において、一定スコアを超えた顧客を「商談候補」として営業部門に通知します。
- サイト訪問回数
- 資料ダウンロード
- メール開封率
営業担当者は購買意欲の高い顧客に優先的にアプローチでき、商談の成約率を高めることができる仕組みです。
MAツールの主な機能
MAツールには主に以下のような機能が搭載されています。
- 顧客情報の一元管理機能
- メール配信・自動配信機能
- 行動追跡・分析機能
- スコアリング機能
- フォーム作成機能
それぞれどのように活用していくかを見ていきましょう。
顧客情報の一元管理機能
散在する顧客データをMAツール上で一元管理し、部門を超えて情報共有することができます。
以下のようなあらゆる顧客接点の情報を統合して、管理することが可能です。
- 名刺情報
- 問い合わせ履歴
- メールの反応率
- サイトでの行動履歴
重複データの自動検出や、顧客情報の自動更新により、常に最新の状態でデータベースを維持できます。
メール配信・自動配信機能
顧客の行動トリガーに応じて、最適なタイミングで自動的にメールを配信することができます。
例えば、資料をダウンロードした顧客には自動でお礼メールを送信し、1週間後にフォローアップメールを配信するといった細かな設定が可能です。
HTMLメールのテンプレート機能により、専門知識がなくても効果的なメールマーケティングを実施できます。
行動追跡・分析機能
Webサイトでの閲覧履歴やメール開封率など、顧客の全ての行動データを自動で記録・分析することが可能です。
どのページをどのくらいの時間閲覧したか、どの資料に興味を示したかなど、詳細な行動履歴を可視化できます。
これらのデータを基に、顧客の興味関心や購買検討段階を正確に把握して次のアプローチ方法を決定できます。
スコアリング機能
顧客の行動履歴を点数化し、商談化の可能性を数値で判断することができます。
例えば、価格ページの閲覧で10点、資料ダウンロードで20点など、行動別に点数を設定し、合計点数で見込み度を判定できる仕組みです。
スコアが一定以上になった顧客は「ホットリード」として自動通知され、営業担当者が即座にアプローチできます。
フォーム作成機能
問い合わせやセミナー申込など、顧客情報収集用のフォームを専門知識なしで作成できます。
収集した情報は自動でデータベースに登録され、その後のメール配信やスコアリングにも活用可能です。
必須項目の設定や入力規則の追加など、細かなカスタマイズも簡単に行えます。
MAツール導入のメリット
MAツールを導入することで、以下のようなメリットが得られます。
- マーケティング業務の工数を大幅に削減する
- 見込み顧客の取りこぼしを防ぐ
- 営業活動が効率化する
- 顧客データを正確に分析できる
メリットがどのように業務に作用してくれるかを、詳しくみていきましょう。
マーケティング業務の工数を大幅に削減する
手作業での顧客管理やメール配信作業を自動化することで、工数削減を実現できます。
従来Excel等で管理していた顧客リストの更新や、個別のメール配信作業が全て自動化されるのです。
担当者はより多くの時間を、戦略立案やクリエイティブな業務に割くことができるようになるでしょう。
見込み顧客の取りこぼしを防ぐ
全ての見込み顧客に対して、途切れのないフォローアップを自動で実行することが可能です。
例えば、セミナー参加から3ヶ月経過した顧客への再アプローチや、資料ダウンロード後の定期的な情報提供なども自動化されます。
担当者の記憶や手作業に依存しないことで、組織的かつ継続的な顧客育成ができます。
営業活動が効率化する
商談化の可能性が高い顧客を自動で特定することで、優先的にアプローチすることが可能です。
従来のような闇雲な営業活動から脱却し、顧客の興味関心や検討状況に基づいた、効率的な商談を実現します。
これにより、営業担当者一人当たりの商談数や成約率の向上が期待できるでしょう。
顧客データを正確に分析できる
顧客の行動データを定量的に把握し、より精度の高いマーケティング戦略を立案可能です。
どのコンテンツが最も反応が良かったか、どの段階で離脱が多いかなど、具体的な数値で効果測定します。
データに基づいた改善施策の立案により、継続的なマーケティング活動の最適化ができるでしょう。
MAツール導入のデメリット・注意点
MAツールの導入には、以下のようにいくつかの注意点もあります。
- 導入・運用コストが継続的にかかる
- 専門知識を持った人材を確保する必要がある
- 部門間の連携体制を整える必要がある
- データ管理の負荷が増大する
導入前に把握しておくことで、トラブルに対して未然に対策しましょう。
導入・運用コストが継続的にかかる
月額利用料は最低でも数万円から、機能が充実したものだと数十万円の費用が発生します。
導入時の初期費用、運用担当者の人件費、コンテンツ制作費用なども考慮が必要です。
投資対効果を最大化するため、段階的な機能の活用と予算配分の検討をしっかり行いましょう。
専門知識を持った人材を確保する必要がある
MAツールの効果的な活用には、マーケティングの知識とツールの操作スキルの両方が重要です。
シナリオ設計やスコアリングルールの設定など、専門的な判断が必要な業務が多く存在します。
そのため、社内人材の育成や、外部コンサルタントの活用を含めた人材戦略の検討は必須です。
部門間の連携体制を整える必要がある
マーケティング部門と営業部門の間で、リードの定義や引き渡しのルールを明確に設定する必要があります。
スコアリングの基準やフォローのタイミングなど、部門を超えた合意形成が求められるのです。
定期的な情報共有や成果報告の仕組みづくりなど、継続的な連携体制の構築が欠かせません。
データ管理の負荷が増大する
大量の顧客データや行動履歴を適切に管理・活用するための体制づくりも必須です。
個人情報保護法やGDPRなど、法規制に準拠したデータ管理の仕組みを整備しなければなりません。
そのためデータの品質管理や定期的なクレンジング作業による継続的なメンテナンスが求められます。
MAツールとSFA・CRMの違い
MAツールに似ているシステムとして、SFA(営業支援システム)、CRM(顧客管理システム)があります。
それぞれ役割が異なるマーケティング・営業支援ツールです。違いを詳しくみていきましょう。
各ツールの役割の違い
それぞれのツールでは以下のように明確な役割分担があり、顧客との関係性の段階次第で使い分けることができます。
|
MAツール |
SFA |
CRM |
役割 |
見込み顧客の発掘と育成 |
営業活動の効率化 |
顧客管理 |
顧客との関係性 |
商談前の顧客育成 |
商談開始から受注 |
受注後の顧客管理 |
各ツールの特性を理解し、自社の課題に合わせて適切なツールを選択することが重要です。
連携による効果的な活用方法
3つのツールを連携させることで、顧客情報の一元管理と効率的な営業活動の両立ができます。
例えば、MAツールで育成した見込み顧客をSFAに引き継ぎ、成約後はCRMで管理するという一気通貫の顧客管理が可能です。
各ツールのデータを統合することで、より正確な顧客分析と効果的なアプローチを実現できます。
MAツール導入・運用のステップ
MAツールの導入・運用のステップは以下のように進めましょう。
- 自社の課題を明確化する
- 最適なツールを選定する
- 運用体制を構築する
- 効果を測定し改善する
どのように進めるべきかを、説明していきます。
自社の課題を明確化する
現状の課題と目標KPIを具体的に設定し、MAツール導入による解決イメージを明確にします。
例えば「見込み顧客の取りこぼしを30%削減」「営業の商談創出数を2倍に増やす」など、数値目標を定める方法です。
マーケティング部門だけでなく、営業部門や経営層を含めた組織全体での目標設定をしましょう。
最適なツールを選定する
自社の規模や業態、必要な機能を考慮して、コストパフォーマンスの高いツールを選択してください。
具体的には以下の観点から比較検討を行います。
- 保有する顧客データ量
- 利用人数
- 必要な機能
- 予算
導入後のサポート体制や、既存システムとの連携可否なども重要な選定基準です。
運用体制を構築する
部門横断的なプロジェクトチームを編成し、各メンバーの役割と責任を明確に定めましょう。
マーケティング部門でのリード獲得基準や、営業部門への引き渡しルールなど、具体的な運用ルールを策定してください。
ツールの操作研修や、マーケティングシナリオの設計など、運用開始に向けた準備を計画的に進めていきます。
効果を測定し改善する
導入後もKPIの定期的なモニタリングを行い、PDCAサイクルを回して継続的な改善を図ることも重要です。
リード獲得数、商談化率、メール開封率など、具体的な指標で効果測定を行うことで問題点を特定します。
運用上の課題や改善点を定期的に共有し、必要に応じてルールやシナリオを見直しましょう。
自社に最適なMAツールを見つけて業務効率化を実現しよう
MAツールとは、見込み顧客の獲得から育成、商談化までのマーケティング活動を自動化し、業務効率化と収益拡大をサポートするシステムです。
導入目的を明確にして段階的に活用領域を広げることで、確実な成果につなげることができます。
初めは基本的な機能から始め、組織の習熟度に合わせて徐々に高度な活用にステップアップするのがおすすめです。
定期的な効果測定と改善を行い、最終的には営業とマーケティングが一体となった効率的な顧客獲得の仕組みを、MAツールを通して構築していきましょう。