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サラリーマンが知る税制シリーズ 第1回 所得税➀ 所得税のしくみ

著者:   bizocean編集部

サラリーマンが知る税制シリーズ 第1回 所得税➀ 所得税のしくみ

サラリーマンの月例給与は所得税などを差し引かれた形で支給されていますが、この所得税のしくみを意識することは少ないかもしれません。それだけ、身近な存在ともいえるでしょう。

このシリーズではサラリーマン向けに所得税のしくみについて簡単に解説し、理解を深めていただくことを目指したいと思います。

初めての方にもご理解いただけるように、あえて厳密性を欠く表現になっている部分があることを、何卒ご容赦ください。


1.所得の種類

所得は以下の10種類に分類されています。

種類

説明(国税庁 タックスアンサーによる。一部表現を書き換えています)

利子所得

利子所得とは、預貯金及び公社債の利子並びに合同運用信託、公社債投資信託及び公募公社債等運用投資信託の収益の分配に係る所得をいいます。

配当所得

株主や出資者が法人から受ける剰余金や利益の配当、剰余金の分配、基金利息、投資法人からの金銭の分配又は投資信託(公社債投資信託及び公募公社債等運用投資信託以外のもの)及び特定受益証券発行信託の収益の分配などに係る所得をいいます。

不動産所得

不動産所得とは、次の(1)から(3)までの所得(事業所得又は譲渡所得に該当するものを除きます)をいいます。


(1) 土地や建物などの不動産の貸付け

(2) 地上権など不動産の上に存する権利の設定及び貸付け

(3) 船舶や航空機の貸付け

事業所得

事業所得とは、農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業その他の事業を営んでいる人のその事業から生ずる所得をいいます。

ただし、 不動産の貸付けや山林の譲渡による所得は事業所得ではなく、原則として不動産所得や山林所得になります。

給与所得

給与所得とは、勤務先から受ける給料、賞与などの所得をいいます。

譲渡所得

土地、建物、株式、ゴルフ会員権などの資産を譲渡することによって生ずる所得です。

一時所得

労務や役務の対価としての性質や資産の譲渡による対価ではない一時の所得で、懸賞などの賞金品、競馬競輪の払戻金、生命保険の一時金や損害保険の満期返戻金などが該当します。

山林所得

山林に関連した譲渡で生ずる所得です。

退職所得

勤務先から受ける退職手当などの所得です。

雑所得

上記の所得のいずれにも当たらない所得です。


サラリーマンが会社から受け取って得ている所得が「給与所得」ということになります。

ここでいう「所得」とは、会社でいうところの利益のようなものと理解いただくとわかりやすいと思います。給与の場合だと、「額面金額があって、そこから所得控除(別の回で解説します)などを差し引いた残りの金額から一定の税率で納税する」形だと理解するとよいと思います。


2.累進課税制度

所得税の税率は、分離課税(別の回で解説します)に対するものなどを除くと、以下の早見表の通り、7段階に区分されています。課税所得金額が多いほど税率が上がる超過累進税率という考え方を取っています。

課税される所得金額

税率

控除額

1

1,000円 から 1,949,000円まで

5%

0円

2

1,950,000円 から 3,299,000円まで

10%

97,500円

3

3,300,000円 から 6,949,000円まで

20%

427,500円

4

6,950,000円 から 8,999,000円まで

23%

636,000円

5

9,000,000円 から 17,999,000円まで

33%

1,536,000円

6

18,000,000円 から 39,999,000円まで

40%

2,796,000円

7

40,000,000円 以上

45%

4,796,000円

(国税庁タックスアンサーをもとに編集部で作成)

右端の控除額とは、算出された税額から控除できる金額のことです。

例えば課税所得金額が7,000,000円の場合には、早見表によると4に該当しますので、税率は23%、控除額は636,000円となります。

したがって、求める所得税額は

7,000,000円×0.23 - 636,000円= 974,000円

となります。

なお、平成25年から令和19年までの25年間の所得については、東日本大震災の復興財源としての復興特別所得税(原則としてその年分の基準所得税額の2.1%)も納付することとなります。

上記の例では、復興特別所得税は974,000円× 2.1% = 2,045円(1円未満切り捨て)と計算され、総額で

974,000円 + 2,045円 = 976,045円

の納付となります。


3.所得税の源泉徴収

サラリーマンは収入のほとんどが給与所得です。この給与所得については、会社が従業員に毎月給与を支払うときに所得税(及び住民税)を徴収し、国に納めることとなっています。

このしくみを源泉徴収といい、給与支払者である会社の義務となっています。月例給与や賞与に合わせて定められた税額を会社が徴収し納税し、その年が終了した時点で確定した給与収入で再度税額を計算した上で、差異があった分については、年末調整として翌年の1月の給与で調整されることになります。


4.給与所得者の確定申告

給与所得者については、源泉徴収という形で課税関係が終了するので、多くの人は確定申告を行う必要はありません。

ただし、国税庁のタックスアンサーでは、以下に挙げる人は翌年の2月半ばから3月半ば(令和3年は例外的に4/15まで延長)の間に税務署で確定申告をしなくてはならない、としています。

1 給与の年間収入金額が2,000万円を超える人

2 1か所から給与の支払を受けている人で、給与所得及び退職所得以外の所得の金額の合計額が20万円を超える人

3 2か所以上から給与の支払を受けている人のうち、給与の全部が源泉徴収の対象となる場合において、年末調整されなかった給与の収入金額と給与所得及び退職所得以外の所得金額との合計額が20万円を超える人

4 同族会社の役員などで、その同族会社から貸付金の利子や資産の賃貸料などを受け取っている人

5 災害減免法により源泉徴収の猶予などを受けている人

6 源泉徴収義務のない者から給与等の支払を受けている人

7 退職所得について正規の方法で税額を計算した場合に、その税額が源泉徴収された金額よりも多くなる人

このほか、給与所得者であっても、医療費控除や住宅ローン控除1年目など、会社を通じた税額調整が完了しない人は確定申告をします。こちらはいずれも、タックスアンサーの説明によると、「確定申告をしなくてはいけない」ではなく「確定申告をすることができる」となっています。これは、いずれも還付になるケースであり、もし還付が必要であれば確定申告してもいいですよ、つまり確定申告しないと還付が受けられない、とも言えます。


5.インターネットオークションなどの確定申告

そのほか、タックスアンサーには、「以下の場合も給与所得者は確定申告が必要」との記載がありますので注意が必要です。

(引用)
給与所得者の副収入としては、様々なものが考えられますが、例えば次のような所得については、一般的には、それぞれ雑所得に該当します。

1 インターネットのオークションサイトやフリーマーケットアプリなどを利用した個人取引による所得
(具体例)
・ 衣服・雑貨・家電などの資産の売却による所得
※ 生活の用に供している資産(古着や家財など)の売却による所得は非課税(この所得については確定申告が不要)で、損失は生じてないものとみなされます。

・ 自家用車などの資産の貸付けによる所得
・ ベビーシッターや家庭教師などの人的役務の提供による所得

2 ビットコインをはじめとする暗号資産の売却等による所得

3 民泊による所得
※ 個人が空き部屋などを有料で旅行者に宿泊させるいわゆる「民泊」は、一般的に、利用者の安全管理や衛生管理、また、一定程度の観光サービスの提供等を伴うものですので、単なる不動産賃貸とは異なり、その所得は、不動産所得ではなく、雑所得に該当します。

(引用終わり)

このように給与所得者に対してわざわざ記載があるということは、それだけ該当ケースが増えていることを国税庁当局も認識しているということでしょう。申告すべきものが漏れてしまったりしないよう、より一層注意が必要です。


6.おわりに

制度改良を重ねた結果、一見すると非常に複雑に見える所得税ですが、一つ一つを紐解いていくと難解というわけではありません。より身近に感じていただければ幸いです。
次回は総合課税と分離課税についてお話しします。


(参考資料)国税庁 タックスアンサー

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