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中小企業のための「介護離職防止」対策! 第4回 「実際に介護が始まったら……」

~企業は「人」がいるから売上がある!をサポート~

著者:一般社団法人 日本顧問介護士協会 代表理事  石間 洋美

中小企業のための「介護離職防止」対策! 第4回 「実際に介護が始まったら……」

いざ、大切な人の介護が必要な状態になると、社会や同僚に迷惑をかけられないという思いなどから、周囲に打ち明けられない人が数多くいます。

しかし、介護に際して周囲の理解は何よりの力となります。

重要なポイントは、決して「一人で抱え込まない」ことです。

ここでは「介護のある生活」が始まるにあたり、順番に考えていきましょう。


1 地域包括支援センターに相談しましょう。

介護は自分一人でできるものではありません。介護の専門家がいる地域包括支援センターへ相談し、介護保険制度を上手に使うことです。

地域包括支援センターは市区町村に最低1つはあり、介護についてのさまざまな悩みに無償で対応してくれます。それだけでなく、さまざまな制度やサービス利用の窓口ともなっています。


2 勤務先の支援制度を調べましょう。

働きながら介護をするために、勤務先の支援制度を知っておくことが大切になります。

また、家族の介護が必要な状況であるということを会社(上司)に報告をしてサポートしてもらうことも必要になります。会社には相談しにくいと思っている方も多いかもしれませんが、これからの時代はみんなで理解し合って、支え合っていくことが重要になりますから、一人で抱えず、必ず状況を伝えるようにしましょう。


3 ご両親に「かかりつけ医」があるか調べましょう。

介護保険を申請する際に必要となるのが「主治医の意見書」です。心身の状態、生活上の支障などが記入されていますので、要介護認定に大きな影響を及ぼします。

普段の生活をよく知っている「かかりつけ医」に主治医になってもらうことが大切です。


4 介護申請をしましょう。

介護保険制度は、40歳以上の国民全員が被保険者として加入し、介護が必要になったときに費用の1割(資産と収入によっては2割または3割)を負担することで介護保険サービスが受けられる制度です。

サービスを利用するには、市区町村窓口か地域包括支援センターで申請を行い、要介護認定を受ける必要があります。


5 ケアマネージャーを決めましょう。(とても重要なポイント)

介護申請後、要介護状態区分(「要支援1・2」「要介護1~5」「非該当(自立)」)が通知されます。

「要支援1・2」の場合は、地域包括支援センターに相談します。

「要介護1~5」の場合は、ケアマネージャーに相談します。


ケアマネージャーとは、“介護サービスの利用計画書”である「ケアプラン」を作成する人です。介護の知識を豊富に持ち、医療関係や地域にネットワークを持つ専門家で、多くは居宅介護支援事業所に所属しています。実は、仕事と介護の両立に欠かせないパートナーとなるのはこのケアマネージャーです。

両立を無理なく継続していくためには、ケアマネージャーとの信頼関係を築けるかどうかが最大のカギとなります。サービスにかけられるお金、兄弟姉妹や親戚との協力関係、仕事をどうしていきたいかなど、ケアマネージャーに何でも話すことが大切です。ケアマネージャーは、それらを踏まえてどんなサービスをどう利用すれば希望する介護のある生活が送れるかを、一緒に考えてくれます。本人と家族に伴走しながら、見通しを立て、必要な情報提供や心構えのアドバイスをしてくれる心強い相棒となります。

ですので、誰が担当のケアマネージャーになるかがとても重要になりますし、精神的にも肉体的にも大変になる介護が、ケアマネージャーによってかなり軽減されると言っても過言ではありません。それほど大切なケアマネージャーが、もし信頼関係が築けない方だった場合は、いつでも変更できますので安心してください。市区町村窓口に申し出て、別のケアマネージャーを紹介してもらってください。大切なご両親の介護プランをお任せする方ですから、しっかりと判断されることをお勧めします。


6 どんなサービスを利用できるのか、費用はどれくらいかかるのか、把握しましょう。

「要支援・要介護」と認定されると、さまざまなサービスを利用することができます。

在宅で介護をする場合は、本人に合ったサービスは何かを考えて、複数のサービスを組み合わせて利用することが一般的です。まずはケアマネージャーに、何に困っているのか、どうしたいのかを相談し、一緒に考えてもらってください。

  • 「環境」を整備する部分では、福祉用具レンタル、住宅改修(補助金制度あり)といったサービスがあります。
  • 「訪問」してもらう部分では、訪問介護、訪問看護、訪問入浴介護、訪問リハビリテーションといったサービスがあります。
  • 「通って」サービスを受ける部分では、デイサービス(通所介護)、デイケア(通所リハビリテーション)といったサービスがあります。
  • 「宿泊」する部分では、ショートステイ(短期入所生活介護)といったサービスがあります。


在宅介護が難しければ施設入居という選択肢もあります。家族の協力やさまざまなサポートを受けながらの在宅介護生活も、長く続くと家族の心身の負担やストレスがたまり限界を感じることもあります。そんなときは、施設入居も含めて生活スタイルを考えてみることも大切です。主な施設の種類は、特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、グループホーム、有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅などがあります。


親の介護にかかる費用は、自分で負担しようとせず、まずは親の資産でどのような介護ができるかを考えることが鉄則です。介護は何年続くかわからず、先が見えないものです。また、最初は介護度が低くても、将来的にはどうしても介護度は重くなり、費用負担も大きくなっていきます。最初から子供が介護費用を負担してしまうと、介護度の変化と共に費用負担も増えていき、自分自身の生活が苦しくなってしまう可能性があるのです。

今後、自分自身が病気になる可能性や、お金が必要になるなどの場面もあると思いますので、自分の生活、自分の人生も大事に考えてから判断してください。


介護を行っていくなかで、さまざまな疑問や悩みなどが生まれてきます。

そういうときには一人で考え込むのではなく、誰かに相談したり、愚痴を聞いてもらったりすることが大切です。悩みを口に出して誰かに聞いてもらうだけで、かなりのストレス発散となります。家族同士で気がついたことを話し合ったり、かかりつけの病院の医師や近くの地域包括支援センターなどに相談したりするなど、普段から気軽に相談できる相手を増やす努力をしましょう。身近に相談する相手がなかなか見つからないときは、インターネットやLINEで相談を受けてくれるサービスも出てきました。

大事なことは、何度も言いますが「一人で抱え込まない」ことです。是非覚えておきましょう。

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著者プロフィール

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石間 洋美

一般社団法人 日本顧問介護士協会 代表理事

子どもの頃から「人の役に立つ仕事がしたい」という想いを強く持っていて、高校生活のボランティア活動で福祉・介護の世界と出会う。福祉・介護に関わる仕事を目指したく、静岡福祉医療専門学校医療福祉情報科へ入学。卒業後は、介護施設にて様々な経験をする。その後、自身のスキルアップのために介護事務業務、相談業務、マネジメント業務、管理業務を行う。医療福祉接遇インストラクターの資格も取得し、お客様満足度向上のための研修講師も務める。介護の業界に携わり「誰にでも介護はある日突然やってくる」現実を目の当たりにしたとき、もっと多くの方の救いや力になりたいという想いがさらに強くなり、その想いを実現すべく、2020年4月に当協会を立ち上げ、現在は「介護で困る人と困る量を圧倒的に少なくする!」を目標に掲げ活動している。

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