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ラポール形成の方法を解説! 代表的なテクニックや注意点とは?

著者:   bizocean編集部

ラポール形成の方法を解説! 代表的なテクニックや注意点とは?

ビジネスを円滑に進めるためには組織内部の人間関係はもとより、顧客や取引先などとも良好な関係を構築しなくてはなりません。

本記事では、信頼関係を構築する上で重要となる「ラポール」の概要や代表的なテクニック、形成時のポイントなどをご紹介します。


ラポール形成とは

「ラポール形成」とは、フランス語で「親密さ」や「信頼関係」を意味する「Rapport」を語源とする用語です。親密な信頼関係が構築されている心的融和状態を指し、本来は臨床心理学の領域で用いられます。

カウンセラーが信頼するに足る人物でなければ、クライアントは心の奥底に抱える悩みや問題を打ち明けることはできません。

これは事業の領域においても同様で、どれだけテクノロジーが発展してもビジネスの土台にあるのは人間関係であり、社内外を問わず人と人との関係性の上に成り立っています。企業が中長期的に発展していくためには、組織に属する人間がお互いに信頼し合うのはもちろん、顧客との良好な人間関係を構築しなくてはなりません。

安心や信頼を土台とする関係性を構築するためには、いかにして無意識レベルの深いラポールを形成するかが重要な課題となります。


ラポール形成の代表的な5つのテクニック

人と人との深い信頼関係は一朝一夕で構築できるものではなく、相応の時間を要します。

しかし、特定のコミュニケーションスキルやテクニックを用いることにより、意図的にラポールを築くことも不可能ではありません。

ここでは、ラポールの形成に寄与する代表的なテクニックをご紹介します。

1. 相手に合わせる「ペーシング」

「ペーシング(pacing)」とは、話し方や話す速度、声のトーン、呼吸のペース、相づちの頻度など、非言語的な情報のペースを合わせるテクニックです。

人間には「類似性の法則」という心理作用があり、自分と共通点のある人物に対して親近感を抱きやすい傾向にあります。

ペーシングはとくに初対面の人物との距離を縮める上で有効な手法であり、聞き手と話し手の間で一体感が生まれるため、コミュニケーションの円滑化に寄与します。

2. 相手を真似る「ミラーリング」

「ミラーリング(mirroring)」は、鏡に映したかのように相手の所作を真似る手法です。

ペーシングと同じく類似性の法則を利用したテクニックで、手足の位置や組み方、瞬きのテンポやお茶の飲み方など、仕草や動作を真似ることで相手は親近感を抱きやすくなります。

ただし、あまりにも同じ動作を真似ていると相手は違和感を覚える可能性があるため、自然な形で合わせる必要があります。

3. 声の調子を合わせる「マッチング」

「マッチング(matching)」とは、ミラーリングのテクニックのひとつで、話し方や所作などを真似るのではなく、その一部を取り入れる手法です。

ラポールを築く上でとくに重要となるのが聴覚情報のマッチングです。人は話すテンポや声のトーンが大きく異なる相手に対して、違和感や嫌悪感を抱く傾向にあります。

声のボリュームやリズムなどを合わせることでラポールの形成に寄与するため、主に電話のような非対面の対応時に効果を発揮する手法です。

4. 相手の言葉を繰り返す「バックトラッキング」

「バックトラッキング(backtracking)」は、俗に言う「オウム返し」と呼ばれるテクニックで、相づちを打つ際に相手の言葉を繰り返す手法です。単に頷くだけでなく、相手が発した言葉の要約や感情を伝え返すことで、受容されているという肯定的な感情が芽生えます。

相手の話をきちんと受け入れていると示したい場合や、相手が発した言葉を再確認してもらう際に役立つテクニックです。

5. 心理状態を読み取る「キャリブレーション」

「キャリブレーション(calibration)」とは、「校正」や「調整」といった意味をもつ英単語で、心理学においては非言語的情報から相手の心理状態を読み取る手法を指します。

表情や姿勢、呼吸のスピード、声のトーンなど、無意識下の動作や変化を観察し、言葉の裏にある心理状態を読み取るのがキャリブレーションの目的です。

いわゆる「察する力」と呼ばれるテクニックであり、相手の感情の変化に合わせた対応が可能となるため、信頼感や安心感の醸成につながります。


ラポール形成における3つの注意点

ラポール形成の真の目的はテクニックを実行することではなく、信頼関係を構築することにあります。

そのためには「尊重」「類似性」、そして「誘導」という3つの原則を理解する必要があります。

1. 相手の世界観を尊重する

ラポール形成に寄与するテクニックの本質にあるのは「相手を尊重する姿勢」です。

人間の心理には「返報性の法則」と呼ばれる原理があり、人は善意には善意を、悪意には悪意を返したいと思う心理作用が働きます。そのため、相手に対して受容を求めるのなら、まずは自分自身が相手の価値観や世界観を受容しなくてはなりません。

たとえば、ペーシングは相手に合わせることそのものが重要なのではなく、相手を否定せずに尊重することに意味があるのです。

2. 相手との類似性を見つける

人間には仲間を求める親和欲求と、異質なものを排除しようとする心理作用が本能的に備わっています。また、古来より「類は友を呼ぶ」という言葉があるように、人間は気の合う者や性質の似通った者に好感を抱き、自ずから寄り集まる傾向にあります。

そのためミラーリングでは相手の仕草や動作をただ真似るのではなく、「相手と自分の類似性を掴む」という本質を理解した上で実践することが重要です。

3. 相手を望む方向へ誘導する

ビジネスシーンにおけるラポール形成では、良好な人間関係を構築するだけでなく、その先にある組織力の強化や成約率の向上を目指します。したがって単に取引相手との親近感を高めるだけにとどまらず、目標の達成に向けて相手をリードしなくてはなりません。

すべてのテクニックは最終的なゴールを実現するために「相手を誘導する」ことが本質であると理解する必要があります。


より高度なラポール形成をするためのポイント

ここからは、より高度なラポールを形成するためのポイントについて解説します。

相手の五感タイプを見極める

「実践心理学」や「脳の取扱説明書」といわれるNLPでは、視覚・聴覚・触覚・味覚・嗅覚の五感を「視覚タイプ」「聴覚タイプ」「身体感覚タイプ」の3つに分類しています。

これを「Visual(視覚)」「Auditory(聴覚)」「Kinesthetic(身体感覚)」の頭文字をとって「VAK」と呼びます。人間は基本的に五感情報のすべてを活用していますが、情報処理を行う際に優位に働く感覚は人によってそれぞれ異なります。

たとえば、「視覚タイプ」の人は相手の話し方や聞き方といった視覚情報を処理しやすく、「聴覚タイプ」の人は言葉や音などの聴覚情報を主体的に処理し、「身体感覚タイプ」は感覚的な要素を捉える能力に長けているのが大きな特徴です。

相手がVAKのどのタイプに該当するのかを見極められれば、それぞれに合わせたペーシングを行うことで、より効率的かつ効果的にラポールを形成できます。

相手の価値観に関連するワードを会話に用いる

相手の価値観に関連するキーワードを会話に用いることで、より深い共感や理解の獲得につながります。

たとえば、Webサイトの制作依頼を受注し、クライアントにヒアリングをしている状況を例にとってみましょう。

ここで重要となるのは、ペーシングやミラーリングといったテクニックを用いてコミュニケーションの円滑化を図り、クライアントがWebサイトに求める本質的なニーズを発掘することです。

デザインへの造詣が深く、その重要性を理解しているクライアントであれば「黄金比」や「白銀比」、「フィボナッチ数列」といった数学的なキーワードを会話に盛り込むことで、「この担当者はわかっているな」と相手の信頼獲得につながるかもしれません。

クライアントの深層心理にある潜在ニーズを分析し、重視している価値観を示すキーワードを会話に用いることで、ビジネス上の目的へ効率的に誘導できる可能性が高まります。

無意識下の思考フィルターを見極める

より高度なラポールを形成するためには、相手の無意識下に潜む思考フィルターを見極めなくてはなりません。

思考フィルターとは、簡単にいえば考え方の方向性のことであり、大きく分けると「問題回避型」と「目的志向型」の2つがあります。人間は何らかの行動に駆り立てられる際、最終的なゴールはひとつでも、その動機は「問題を回避するため」か「目的を達成するため」という2つの方向性があるものです。

たとえば、生活に運動の習慣を取り入れる場合、その動機には「病気になりたくない」という恐れに基づく問題回避型と、「健康的な体型を保ちたい」「痩せて綺麗になりたい」など何かを得るために行動する目的志向型があります。

その方向性によってラポールの築き方が変わるため、無意識下の思考フィルターを見極める必要があるのです。


まとめ

「ラポール形成」とは、安心や信頼をベースとした親密な人間関係が構築されている心的融和状態を指します。

ビジネスの土台にあるのは人間関係であり、企業が中長期的に発展していくためには、社内外を問わず人と人との良好な関係性を構築しなくてはなりません。

他者との信頼関係は一朝一夕で構築されるものではないため、テクニックの実践のみにとらわれるのではなく、人間心理の本質を理解した上でラポール形成を活用することが重要です。

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