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子の看護休暇とは? 概要・導入時のポイントを解説

監修者: 社会保険労務士  小島 章彦

子の看護休暇とは? 概要・導入時のポイントを解説

子の看護休暇は、子育てをしながら働き続けることができるように「育児・介護休業法」に定められた休暇制度です。経営者が制度を導入・運用する際にはどのような点に気をつければよいのでしょうか。

今回は、子の看護休暇の概要や導入時のポイントについてわかりやすく解説します。経営者側が気になる給与の取り扱いや助成金制度についても解説しますので、参考にしてください。


子の看護休暇とは

まずは、子の看護休暇とはどんな休暇制度なのかについて解説します。

子の看護休暇の概要

子の看護休暇とは、小学校就学前の子を養育する労働者が、事業主に申し出ることにより、労働者1人につき5日(子が2人以上の場合は10日)を限度に、年次有給休暇とは別に休暇を取得できる制度です。

2002年4月の「育児・介護休業法」の改正により、小学校入学までの子をもつ従業員から請求があった場合には、年に5日の看護休暇を与える努力義務として創設されました。その後2005年4月の法改正で努力義務から強制義務へ変更になりました。

2010年6月の法改正により、子が2人以上いる場合には年10日の看護休暇を取得することができるように、付与日数が変更されました。

また、2017年1月の法改正により半日単位、2021年1月の法改正により1時間単位での休暇取得が可能になりました。対象も拡大され、すべての従業員が看護休暇を取得できるようになっています。

参考:「子の看護休暇制度」|厚生労働省

子の看護休暇を取得できる日数

1年度に子ども1人につき5日、子が2人以上の場合は10日を限度に取得可能です。子どもが3人でも10日が限度となります。

企業は従業員から子の看護休暇の申請があった場合、1年度に子ども1人につき5日、子が2人以上の場合は10日を限度に取得されなければなりません。子どもが3人でも10日が限度となります。

【小学生は基本対象外】対象となる子どもの年齢

対象となる子どもの年齢は、小学校就学の始期に達するまで(6歳の誕生日の含まれる年度の3月末日まで)です。小学生は基本的に対象外となります。

その他の休暇との違い

ここからは、子の看護休暇と法律に定められた他の休暇との違いについて解説します。

介護休暇

子の看護休暇は、小学校就学前の子を養育する労働者が、労働者1人につき5日(子が2人以上の場合は10日)を限度に、年次有給休暇とは別に取得できる制度です。

一方、介護休暇とは、労働者の家族に要介護者がいる場合に、介護と仕事の両立を支援するために、対象家族1人につき5日(対象家族が2人以上の場合は10日)を限度に、年次有給休暇とは別に取得できる制度です。

対象家族には、配偶者 (事実婚を含む)、父母、子、配偶者の父母、祖父母、兄弟姉妹、孫が含まれます。

年次有給休暇

年次有給休暇とは、一定期間勤続した労働者に対して、賃金が減額されない「有給」で休むことができる休暇です。

一方、子の看護休暇は、有給、無給の扱いについて法律上では定められていません。有給か無給かは、事業主が決めることができます。


経営者が子の看護休暇を導入する際のポイント

ここからは、子の看護休暇を導入する際のポイントについて解説します。経営者がポイントを理解することで、導入後もスムーズに運用することができるでしょう。

1.助成金を活用する

育児・介護休業法を上回る子の看護休暇制度(有給、時間単位)を導入している中小企業事業主は、両立支援助成金(育児休業等支援コース 職場復帰後支援)制度が利用できます。

対象労働者は、1カ月以上の育児休業(産後休業を含む)から復帰した後、6カ月以内に10時間以上(有給)取得した労働者です。支給額は、制度導入時に28.5万円、子の看護休暇取得時に1千円×時間と定められています。

参考:「2022年度 両立支援等助成金のご案内」|厚生労働省

2.他社事例を参考にする

子の看護休暇を導入する際に、事業所の状況に合わせて育児・介護休業法を上回る制度を導入することで、従業員は仕事と仕事以外の生活の両立が図れます。

たとえば、子の看護休暇の対象範囲を、小学校3年生までの子を養育する従業員にまで拡大した企業の事例もありますので、参考にしてください。

3.対象となる労働者を定める

以下の労働者に対しては、子の看護休暇を取得できないとする労使協定を結んでいる場合は、子の看護休暇の取得を拒否することができます。

  • 継続して雇用された期間が6カ月に満たない労働者
  • 1週間の所定労働日数が2日以下の労働者
  • 時間単位で子の看護休暇を取得することが困難と認められる業務に従事する労働者(1日単位での取得は可能)

よって、制度導入時にはこれらの労働者を子の看護休暇を取得できる対象に含めるかどうか、定める必要があります。

なお、子の看護休暇は従来半日単位の取得でしたが、育児・介護休業法の改正により令和3年1月から時間単位で取得可能となりました。

参考:「子の看護休暇・介護休暇の 時間単位取得について」|秋田労働局

4.給与の有無を決める

子の看護休暇を有給とするか、無給とするかは事業主の判断に任せられています。労働者のやる気や企業イメージ等を考えれば有給の方が好ましいですが、状況に応じて決める必要があります。

どちらにせよ、有給・無給の取り扱いについては就業規則への記載が必要です。


従業員が子の看護休暇を取得できる条件と申請の流れ

従業員が子の看護休暇を取得するには、一定の条件があります。会社に申請する時の流れとともに解説します。

子の看護休暇を取得できる条件

子の看護休暇を取得できる条件は、以下の通りです。

  • 日々雇い入れられる従業員を除く、小学校就学の始期に達するまでの子を養育している、パートやアルバイトを含む全労働者
  • 労働者1人につき5日(子が2人以上の場合は10日)が限度
  • 1日単位、半日単位、時間単位で取得が可能
  • 子の看護であれば、休暇が取得できる負傷や疾病の種類や程度に制限はなし

また、以下の労働者については労使協定を結ぶことで、取得不可にできます。

  • 継続して雇用された期間が6カ月に満たない労働者
  • 1週間の所定労働日数が2日以下の労働者
  • 時間単位で子の看護休暇を取得することが困難と認められる業務に従事する労働者(1日単位での取得は可能)

参考:「子の看護休暇・介護休暇の 時間単位取得について」|秋田労働局

子の看護休暇を取得する際の理由・申請の流れ

子の看護休暇の取得する際の申請は緊急を要するため、書面ではなく口頭での申請でも問題ありません。

申請には、以下の項目の申し出が必要です。

  • (1) 従業員の氏名
  • (2) 申し出に係る子の氏名および生年月日
  • (3) 子の看護休暇を取得する年月日(1日未満の単位で取得する場合には、子の看護休暇の開始及び終了の年月日時)
  • (4) 申し出に係る子が負傷し、または疾病にかかっている事実、または疾病の予防を図るために必要な世話を行う旨

証明の提出は事後でも可能です。また、証明書類を提出するよう労働者に求めても問題ないのですが、過大な負担がかからないように配慮する必要があります。


子の看護休暇中の給与について

ここからは、子の看護休暇を取得した際の給与の有無について解説します。

給与については、法律上規定が設けられていない​​

子の看護休暇中の給与については、育児・介護休業法の規定に定められていないため、有給か無給かは事業主の判断で決まります。2018年の厚生労働省の調査では、無給の企業が約65%を占めており、まだまだ労働者にとって十分な制度とは言えません。

ただし、無給であったとしても、子の看護休暇は育児・介護休業法で定められた休暇です。子の看護休暇を取得した労働者に対して、不利益な査定や取り扱いを行うことは禁止されています。

参考:「平成30年度雇用均等基本調査」|厚生労働省

子の看護休暇が無給なら、取得の意味がない?​​

子の看護休暇中の給与が無給である場合、欠勤と同様の扱いではないかと思われるかもしれませんが、全く同じではありません。

子の看護休暇は育児・介護休業法で定められた休暇のため、企業にどのような理由があっても従業員は申し出を拒まれることはありません。

企業側はどのような理由があっても申し出を拒否できず、子の看護休暇を取得した労働者に不利益な査定や取り扱いをすることもできません。


子の看護休暇についてのまとめ

育児・介護休業法により定められた子の看護休暇は、2021年1月の法改正により1時間単位での休暇取得が可能になりました。

育児中の労働者にとって働きやすい環境が整うことは、企業側にとっても優秀な人材が確保できるメリットがあります。助成金を活用すれば、コスト面での負担も抑えることができるでしょう。

子の看護休暇は就業規則に詳細を記載する必要がありますので、制度への理解を深めたうえで導入するようにしてください。

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監修者プロフィール

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小島 章彦

社会保険労務士

大学卒業後、某信用金庫にて営業と融資の窓口業務に関わる。
現在は、某システム開発会社に勤務。
会社員として働きながら、法律系WEBライターとして人事労務関係や社会保険関係のライティングを約5年行っている。

執筆実績:
「マネーの達人」というサイトで180以上の執筆を行っている。
その他、社会保険労務士事務所、法律事務所のコラム等の執筆等多数。

他にも行政書士の資格も保有。

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