第4回 個人事業主の必要経費
「領収証のない経費はどうすればいいのですか?」
起業したばかりの方によくいただく質問です。公共交通機関の交通費や、慶弔のお金、自動販売機で購入した飲料などは領収証がでません。領収証がでない支出であっても、事業に関係する出費なら、もちろん必要経費にすることができます。
ただし、当然記録を残しておく必要があります。
今回は、領収証のでない必要経費の記録の残し方を解説しましょう。
公共交通機関の経費計上)
1.記録が必要な項目
①日付 ②行先(仕事の内容) ③利用交通機関 ④金額
2.記録の方法
①この交通費精算書なら、合計を自動計算してくれるので、1ケ月に1シートを利用し、合計額を現金出納帳に記載すると、帳簿つけの手間が省けます。
②手書きの場合は、文房具店で販売されている「出金伝票」に上記の必要事項を記載、領収証代わりにしてもいいです。
交通費以外で、領収証のないものの経費は?
・事業関係者のお祝いやお香典
~記録必要事項~
①日付
②相手先と用途(例・・・お得意先 OO会社の、△△課長 結婚祝い
~記録方法~
①文房具店で販売されている出金伝票に必要事項を記録し、領収証代わりにする
②結婚式や葬儀の場合は、招待状や案内状に、必要事項を記録し、領収証代わりにする
自宅を事務所にしているような場合は?
自宅を事務所にしている場合は、その利用の状況に応じて、家賃や光熱費を必要経費にすることができます。
1.家賃
賃貸の自宅の場合は、支払った家賃のうち、事業に利用している部分だけを必要経費にすることができます。按分の方法は、面積で按分するのが一般的です。
⇒持家の場合は、事業の経費として計上した家賃は、自らの家賃収入となるので、計上するメリットがありません。ただ、固定資産税や火災保険などは、事業利用分として1部分を必要経費にすることができます。
2.光熱費・電気代も利用状況に応じて、1部分を必要経費にすることができます。(水道代金やガス料金については、一般的に事業で利用する部分はさほどないと考えられますので、計上する場合は、充分に利用実態を検証する必要があるでしょう
事業の必要経費にならない主なもの
1.事業主の生活費
2.医療費や薬品・・・治療のためにかかったものは、「医療費控除」の対象になりますので、事業の必要経費にはなりません。
⇒領収証の保管をするときは、事業用の経費の領収証とは分けておきましょう。
なお、従業員がいる場合で、事業所に置き薬として購入した薬は「福利厚生費」として、事業の必要経費になります。
3.個人の生命保険料・・・こちらも医療費控除と同様、事業の儲けを計算したあとに控除されるものですので、事業用の経費にはなりません。
ただし、店舗の火災保険は、事業の必要経費となります