病院向けの人事評価システム5選! 選び方や導入の注意点を解説

病院は多職種が混在し、人事評価の基準も複雑です。人事評価システムを使えば、さまざまな人事評価基準を統一的に管理できます。医師や看護師、コメディカルなど職種ごとの評価シートを一元管理することで、人事部門の運用負担を大幅に削減できます。
評価プロセスを標準化し、評価者による判断のばらつきを抑制することが可能です。本記事では、病院向けの人事評価システムについて、導入メリットや種類、選び方などを詳しく解説していきます。
病院が人事評価システムを導入するメリット
病院で人事評価システムを導入するメリットは、以下のとおりです。
- 評価の公平性と透明性が高まる
- 職員の成長を促し、定着率が改善される
- 人事部門の評価業務が効率化できる
ここでは、上記のメリットを詳しく見ていきましょう。
評価の公平性と透明性が高まる
人事評価システムの導入によって、職種ごとに評価基準が公平になり、各職員がなぜその評価になったのかを理解しやすくなります。評価の根拠となるデータがシステム上に記録されるため、評価者の主観や印象が少なくなり、公平な評価を促すことができるのです。
職員は自身の評価内容やフィードバックをいつでも確認できるため、評価に対する納得感も得やすくなります。特に多職種が混在する病院では、職種間での評価格差への不満も解消され、組織全体のモチベーション向上につながるでしょう。
職員の成長を促し、定着率が改善される
システムを活用した目標設定と定期的なフィードバックは、職員一人ひとりのキャリア意識とスキルアップに良い影響を与えます。MBO(目標管理制度)などをシステムで運用し、それを基に、目標の進捗管理や上長との1on1面談を効果的に行うことが可能になるのです。
自身の成長が正当に評価されれば、職員の定着率を向上させ、働きやすい環境につながります。慢性的な人手不足に悩む医療業界において、優秀な人材の確保と定着は病院経営の大きな課題のため、システム活用による定着率の向上は魅力的でしょう。
人事部門の評価業務が効率化できる
人事評価システムは、評価シートの配布・回収や集計といったアナログな業務を自動化します。紙やExcelでの管理に比べ、評価データの入力ミスや集計漏れといったヒューマンエラーを防止できるのです。
事務的な作業の負担が減れば、人材育成計画の策定や制度設計など、戦略的な人事施策に注力できます。特に、現場の業務と評価業務を兼任している場合、評価時期でも現場の実務に専念できるでしょう。
病院におすすめの人事評価システムの種類
システムを選定する際は、病院の規模や予算、セキュリティ要件に応じて、最適なタイプを選択することが重要です。それでは、人事評価システムにはどのような種類があるのでしょうか。
人事評価システムの主な種類は、以下のとおりです。
- クラウド型の人事評価システム
- オンプレミス型の人事評価システム
- 360度評価に対応した人事評価システム
ここでは、上記のシステムについて、その特徴やメリットなどを詳しく解説していきます。
クラウド型の人事評価システム
クラウド型システムは、サーバー構築が不要なため、比較的に低コストかつ短期間で導入できます。インターネット環境さえあれば場所を問わずに利用でき、システムのアップデートも自動で行われるため、運用負荷が低いです。
職員数に応じた月額利用料で提供されることが多く、中小規模の病院やクリニックにも適していると言えるでしょう。テレワークや在宅勤務にも、対応しやすいのも魅力です。
オンプレミス型の人事評価システム
オンプレミス型システムは、自院内にサーバーを構築するため、独自の評価制度に合わせた自由なカスタマイズが可能です。既存の電子カルテや給与システムなど、他システムとの連携も取りやすいでしょう。
院内ネットワークで完結するため、セキュリティレベルが高いものの、初期費用や維持管理コストは高額になりやすいです。大学病院や大規模な医療法人など、組織の体系が複雑で高度なセキュリティ要件が必要な施設におすすめです。
360度評価に対応した人事評価システム
360度評価は、上司だけでなく同僚や部下など、複数の視点から評価を行い、客観性と納得感を高める手法です。看護師長やチームリーダーのマネジメント能力など、上司だけでは見えにくい側面を可視化できます。
ただし、複数の人からの評価を集めるため、匿名のフィードバックを収集・集計する機能など、院内の人間関係に配慮したシステムを選びましょう。この多角的な評価は、チーム医療を重視する病院に適しています。
病院向けの人事評価システムおすすめ5選
ここでは、病院特有の複雑な職種構成と専門性を考慮し、医療機関での導入実績が豊富なシステムを厳選してご紹介します。
各システムの特徴や料金体系を比較検討し、自院の規模や予算、要件に最適なソリューションを見つけてください。セキュリティ要件と使いやすさを両立した、信頼性の高いシステムを中心に選定しています。
HRBrain タレントマネジメント
項目 | 内容 |
提供形態 | クラウド/SaaS |
従業員規模 | 制限なし |
従量課金 | - |
月額費用 | お問合せ |
初期費用 | お問合せ |
「人材評価」「スキル・配置」「1on1ミーティング」など、人事データをクラウドで一元管理し、組織分析〜離職予兆まで幅広くカバーするDXプラットフォームです。
UIは直感的かつシンプルで、現場導入がスムーズ、ヘルプ機能やチャット/電話サポートによるCSも充実し、顧客満足度No.1を獲得しています。
評価ポイント
項目 | 内容 |
提供形態 | クラウド/SaaS |
従業員規模 | 制限なし |
従量課金 | お問合せ |
月額費用 | お問合せ |
初期費用 | お問合せ |
現場の”見えづらい頑張り”をリアルタイムで数値化・可視化し、モチベーション向上や離職防止に効果を発揮する人事評価クラウドです。評価はポイントとして即反映され、福利厚生や景品、現金などに交換可能です。
HR-Platform 人事評価
項目 | 内容 |
提供形態 | SaaS |
従業員規模 | 制限なし |
従量課金 | お問合せ |
月額費用 | お問合せ |
初期費用 | お問合せ |
HR‑Platformは、従来のExcelや紙運用をクラウド化し、MBO(目標管理)やコンピテンシー評価など、既存の制度をそのまま再現できる柔軟性が特長。また、360度評価や業績値データなどの外部データも表示でき、長期的な育成に活用可能です。
CBASE 360
項目 | 内容 |
提供形態 | SaaS |
従業員規模 | 制限なし |
従量課金 | お問合せ |
月額費用 | 15,000円~ |
初期費用 | 140,000円 |
CBASE(シーベース) 360は導入実績1000社以上、年間ユーザー10万人以上と実証された360度評価クラウドです。専任のコンサルタントが、運用設計から実施後のフィードバック研修までを伴走支援し、制度導入後の「やりっぱなし」を防止する仕組みが強みです。
ProSTAFFクラウド
項目 | 内容 |
提供形態 | クラウド/SaaS |
従業員規模 | 制限なし |
従量課金 | お問合せ |
月額費用 | お問合せ |
初期費用 | お問合せ |
人事情報の一元化に加え、給与計算・勤怠管理・ワークフローを柔軟に組み合わせて運用可能です。「病院向け」や「公共向け」テンプレートを備え、業種ごとの特有業務に対応できる点も大きな強みです。
病院向けの人事評価システムの選び方
ここまで、人事評価システムの導入メリットや種類などを紹介しました。では、実際にどのような視点でシステムを選ぶべきなのでしょうか。
病院向けの人事評価システムを選ぶポイントは、以下のとおりです。
- 自院の規模や導入目的に合っているか
- 多職種に対応できる評価項目か
- 万全なセキュリティ体制を持っているか
- 導入・運用サポートは手厚いか
自院の規模や導入目的に合っているか
選定の際はまず、自院の職員数や拠点数などの規模を踏まえたうえで、「定着率向上」や「業務効率化」というように、導入目的を明確にしましょう。解決したい課題を定義することで、必要な機能が明確になり、候補を絞りやすくなります。
例えば、中小規模のクリニックであればクラウド型、大学病院であればカスタマイズ性の高いシステムといった具合です。この際、将来的な組織拡大や新たな職種の追加も見据えて、拡張性があるシステムを選ぶのが望ましいです。
多職種に対応できる評価項目か
医師や看護師、リハビリ職など、職種ごとに専門的な評価項目を設定できるかを確認しましょう。職種ごとに異なる評価シートやウェイト付けを設定できるか、専門スキルや資格を評価に反映できるかなどがポイントです。
病院や医療機関での導入実績が豊富なシステムは、多職種に対応した評価テンプレートを備えている場合が多いです。また、医療技術の進歩に合わせて新たな評価項目を追加できるかも確認しましょう。
万全なセキュリティ体制を持っているか
人事評価では、職員の個人情報や機密性の高いデータを扱うため、堅牢なセキュリティ対策が施されたシステムを選ぶことが必須です。ISMS認証(ISO27001)の取得有無や、通信の暗号化、IPアドレス制限などを確認しましょう。
特にクラウド型システムを選ぶ際は、データセンターの所在地や管理体制といった物理的なセキュリティも調べてみてください。
導入・運用サポートは手厚いか
システム導入時の初期設定から運用開始後のフォローまで、手厚いサポート体制が整っているベンダーを選ぶべきです。導入時の説明会の実施や、電話・メールでの問い合わせ対応、定期的な活用支援など、サポートの範囲を具体的に確認してください。
人事評価制度の整備も考えている場合、人事評価制度の設計から相談できるかも重要です。さらに、医療業界に精通したサポート担当者がいるなら、業界特有の課題や要件を理解したサポートを受けられます。
病院へ人事評価システムを導入する際の注意点
医療現場では、患者ケアを最優先としながらシステム導入を進める必要があり、慎重な計画が求められます。そのうえで、病院で人事評価システムを導入する際の注意点は以下のとおりです。
- 導入目的を明確にし、院内で共有する
- システム導入を機に、評価制度自体を見直す
- 職員への丁寧な説明と研修を実施する
導入目的を明確にし、院内で共有する
「なぜシステムを導入するのか」という目的を経営層と人事で明確にし、全職員に丁寧に説明して理解を得ましょう。「業務効率化」が目的なのか、「人材育成」が目的なのかによって、選ぶべきシステムや運用方法が大きく異なるためです。
目的が曖昧なまま導入を進めると、職員の不信感や反発を招き、システムが十分に活用されない原因となります。システムの候補を絞ったら、一度評価担当者に意見を聞くのも良いでしょう。
システム導入を機に、評価制度自体を見直す
現行の人事評価制度に課題がある場合、システムを導入する前に制度そのものを見直してください。評価項目や基準が曖昧なままシステム化しても、根本的な課題は解決せず、職員の不満が残ってしまいます。
システムはあくまで評価業務をサポートする役割で、システムの効果を最大限発揮するためには、公平な評価制度が欠かせません。
職員への丁寧な説明と研修を実施する
新しいシステムや評価制度に対する職員の不安を払拭するため、導入目標や操作方法に関する説明会や研修を実施しましょう。特に、評価者となる管理職に対しては、評価基準の目線合わせやフィードバック面談の進め方など、実践的な研修が不可欠です。
マニュアルの配布や問い合わせ窓口の設置など、導入後も継続的にフォローする体制を整えることが定着の鍵となるでしょう。
自院に合う人事評価システムを導入して、働きがいのある病院組織を実現しよう
病院では、医師や看護師、事務員など、多職種が混在しています。そのため、評価基準も複雑になりやすいです。そのため、人事評価システムを導入することで、評価業務が効率化され、職種ごとに公平な評価を実現できるでしょう。
システム選定では、自院の規模と目的を明確にしたうえで、必要な機能や十分なセキュリティ対策、手厚いサポート体制が備わっているか確認してください。導入前には、評価制度を見直し、従業員にシステム導入の理由を説明します。
本記事を参考に、自院に合う人事評価システムを導入して、働きやすい環境を実現しましょう。