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総務のあり方。「まず、スタッフとして、どうあるべきか!?」

総務から会社を変えるシリーズ

総務のあり方。「まず、スタッフとして、どうあるべきか!?」

この記事の著者
株式会社月刊総務 代表取締役社長   戦略総務研究所 所長 

そもそもスタッフとは

総務部門の課題をいろいろと見てきました。今回からは、総務のあり方をみなさんとともに考えていきたいと思います。総務部門は「間接部門、バックオフィス」と言われることもあります。もう少し高い次元で見ると、総務は「ラインとスタッフ」で言えば「スタッフ」の位置づけとなります。

Wikipediaにはこのように記されています。

「組織論においては、ラインアンドスタッフ型組織において、実務を担当するラインに対し補佐的な役目をスタッフと呼ぶ。これは軍隊のスタッフ(参謀)を一般化した概念である。企業では、ラインは商品を直接製作・販売・営業するのに対し(購買物流、経理事務等のサービス部門もラインに含まれる)、スタッフはその商品の企画や、購買層の調査、それによって得られた情報アドバイス、計数管理、人事、法務、総務等を行い、または直接的な制作の補佐や助言をする。会社の規模が大きくなってくるとスタッフが必要となるが、通常、スタッフ部門はライン部門から独立しており、また、両部門の関係は対等なものである。利益を生み出すプロフィット部門(ライン部門)に対してノンプロフィット部門(スタッフ部門)と呼ばれる。」

端的に表現すると、効率良い組織運営のために、前線で戦う組織と、後方支援する組織との分業、と言えるでしょう。

さらにスタッフを企業組織において二つに分けると、経営者の後方支援としての「ブレーン」と、現場社員の後方支援としての「サービス・スタッフ」に区別できます。企業規模が大きくなればなるほど、ブレーンとサービス・スタッフに分化していきます。一方、企業規模が小さくなると、ブレーンとサービス・スタッフは同一の組織で対応することになるでしょう。

みなさんの総務部門は、ブレーン、経営企画機能、戦略立案機能も兼ねているでしょうか? どちらが良い悪いという話ではありません。どちらが効率的か、成果をあげられるか、ということです。ただ、サービス・スタッフとしての機能のみでは、どうしても「言われてやるスタッフ」ということになりかねません。戦略立案機能があって初めて「仕掛けるスタッフ」「会社を変えるスタッフ」として機能することになるのではないでしょうか。


スタッフの成果とは?

ブレーンにせよ、サービス・スタッフにせよ、スタッフはラインに貢献して初めて、その存在価値があるのです。自部門だけのために一生懸命頑張ったとしても、それでは意味がありません。誰に対して仕事をするのか、誰が自分の顧客なのかをしっかりと認識する必要があります。そうでないと、仕事のための仕事、いわゆるお役所仕事に陥ってしまいます。

ドラッカーも、スタッフについて、このように記しています。

「スタッフの成果とは、現業の人間の効率をあげ、生産性をあげることである。スタッフは、現業の人間に対する支援部隊であって、現業の人間に代わるものではない」

現場の生産性をあげること。まさに働き方改革のことを言っています。スタッフの成果とは、現場の生産性をあげること、支援という活動を通じて現場に貢献することであり、それが成果であると言っているのです。

そして「支援」について、このように述べている人もいます。

舘岡康雄氏(日産自動車中央研究所入社。研究開発、生産技術、購買、品質保証部門を経て、人事部門にて世界一のV字回復と謳われた日産ウェイの確立と伝承を推進。現・静岡大学大学院教授)の著書『利他性の経済学 支援が必然となる時代へ』の中の言葉です。

「管理は、自分から出発して相手を変える行動様式。支援は、相手から出発して自分を変える行動様式」

この言葉の持つ意味は非常に重要です。「管理」という言葉から連想されるのは、先述のお役所仕事であったり、「これはダメ、あればダメ、こうしろ、ああしろ」と言っているばかりの部署、つまり典型的な従来型の総務ではないでしょうか。確かに、一定のルールや規律は必要です。しかしこれだれに終始すると、VUCA時代と言われる、何が起こるかわからない今の時代に対応することはできなくなります。

当初は良いと思われた総務部門の施策も、環境変化により、時代遅れとなったり、リスクとなったりすることもあるかもしれません。現場からの問合せや依頼事項についても、総務部門の立場を振りかざすのではなく、依頼の裏に隠れている意図を読み取り、時代に即した対応をするために、総務部門自身が変化して新たな対応方法で対処することが必要なのです。

それを舘岡氏は、「相手から出発して自分を変える行動様式」と表現しているのです。この場合の相手は、現場従業員、経営者、企業を取り巻く全てのステークホルダーであり、外部環境と内部環境の両面から捉えることが重要だと思います。

ダーウィンの言葉。

「最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が生き延びるのでもない。唯一、生き残るのは変化できる者である」

これは組織にも当てはまると考えられます。外部環境の変化、直近ではコロナ禍による働き方の変化への対応は、まさにスタッフである総務部門の仕事でもありました。変化への対応の最前線に立つスタッフ自身が、変化しないままで対応できるとはとても思えません。広い意味で、「相手から出発して自分を変える行動様式」が大変重要となるのです。


戦略総務は変えること

いま総務部門の目指すべき一つの方向性として、「戦略総務」という言葉があります。総務のプロと言われる方々が語る戦略総務を、私は次のように定義します。

「戦略総務とは、総務が自ら考え、自ら会社を変えること。そのために、まず、総務自身が変わること」

自ら変わることが重要です。変化とは、「マインドセット」「進化という変化」「スキルの進化」「知識の進化」を意味します。それがあって初めて、会社を変え、成果をあげ、貢献することができるのです。

一気に最終目標である戦略総務についてお話ししました。ここに至るにはどうしたら良いか、徐々にお話ししますので、ご安心ください。

スタッフである総務部門には「変化」が大変重要である、ということをまずはご理解ください。

次回からは、もっと具体的な総務部門のあり方についてお話ししましょう。

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著者プロフィール

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豊田 健一

株式会社月刊総務 代表取締役社長 戦略総務研究所 所長

早稲田大学政治経済学部卒業。株式会社リクルートで経理、営業、総務、株式会社魚力で総務課長を経験。日本で唯一の総務部門向け専門誌『月刊総務』前編集長。現在は、戦略総務研究所所長、(一社)ファシリティ・オフィスサービス・コンソーシアム(FOSC)の副代表理事として、講演・執筆活動、コンサルティングを行う。

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