このページはJavaScriptを使用しています。JavaScriptを有効にして、対応ブラウザでご覧下さい。

マネージャーのための伝わる文章作成術

著者: 中小企業診断士  伊藤伸幸

マネージャーのための伝わる文章作成術

昨今のコロナ禍において、リモートワークやオンラインでの打ち合わせが増加し、対面で意志を伝える機会が減少しています。これに伴い、メールや資料などで指示をする機会が増え、文章による非対面でのコミュニケーションの重要性が増しています。

その一方で、自分が考えていることを部下にうまく伝えられず、悩んでいるマネージャーの方もいるのではないでしょうか?

今回は、文章によるコミュニケーションをより効果的に行うための、「伝わる文章作成術」をご紹介します。



1.あなたの文章は伝わっていますか?

あなたの書いた文章はあなたの部下にきちんと伝わっていますか? 

「自分ではきちんと伝えたはずだったのに、部下に間違った解釈をされてしまった」

という経験をしたことはないでしょうか?

もしも上記のような経験があれば、それはあなたの文章が読み手である部下に正しく伝わっていなかったことになります。その要因として、以下が考えられます。

*自分の伝えたいことが整理されていないため、読み手が理解できていない

*読み手にとってわかりにくい内容、表現になっているため、間違って解釈されている

対面で話す場合は相手の反応を見ながら補足説明ができますが、文章ではそれができません。文章だけで情報を伝えることは、対面と比べて非常に制約が大きいのです。過去の研究結果によると、メールの意図や内容が読み手に正しく伝わる割合は5割程度といわれています。このように、文章によるコミュニケーションは難しいものなのです。


2.伝わる文章とは

それでは、読み手に正しく伝わる文章を書くためにはどうしたらよいのでしょうか?

まずは読み手の視点になって文章を書くことが重要です。せっかく書いた文章も、読み手に正しく伝わらなければ意味がありません。「自分は上司だから一方的に伝えればよい」という考えではなく、発想を変えて「部下がきちんと理解できる内容になっているか」を考慮して書く必要があるのです。

これは、「伝える」ではなく「伝わる」文章を書くということを意味しています。

「伝える」というのはあくまでも自分の主観であり、このスタンスだと読み手のことをあまり考慮しなくなります。これに対して、「伝わる」というのは読み手が主体であり、読み手に理解してもらえたかどうかに重点を置くことになります。常にこの点を意識して文章を書くとよいでしょう。


3.伝わる文章作成のポイントは2つ

いわゆるキャッチコピーなどの広告の世界では、「何を言うか」(What to say)と、「どう言うか」(How to say)の2つの基本的な考え方があります。「何を言うか」とは、読み手に何を伝えたいかを明確にすることです。次に「どう言うか」とは、伝えたいメッセージが読み手に伝わるように表現を工夫することです。まずは伝えるべきメッセージを決めてから、具体的な伝え方の方法を考えるという流れになります。


そして、この考え方はビジネスの文章をつくる際にもそのまま当てはまるのです。

それでは、この2つの考え方による文章作成のポイントを説明していきます。

ポイント1:何を言うか(What to say)

最初に文章の目的を考えた上で、読み手に何を伝えたいのかを明確にします。自分の文章を伝えた後に、読み手にどういった行動をしてほしいのかをイメージしておくのです。文章を書く前に、まずはこの点を意識しておく必要があります。

そして伝えたいことを整理するために、紙にメモ書きすることをおすすめします。紙に書き出すことで重要な項目を「見える化」して整理できます。その結果、頭の中で考えながら文章を書いていくよりも、伝えたいことを速く書くことができるのです。また事前に必要な項目を確認できるので、ヌケやモレを防ぐことにもつながります。

さらに一度に多くのことを盛り込まず、極力絞った方がよいでしょう。あれもこれもと欲張ってたくさん盛り込んでしまうと、何が言いたいのかはっきりしなくなってしまいます。最悪の場合、どれも伝わらなくなる可能性があるのです。

ポイント2:どう言うか(How to say)

何を伝えたいかが決まったら、次はわかりやすく伝えるようにします。文章をひと通り眺めてみて、概要がすぐに理解できるようになっていることが理想です。具体的には次のような工夫をするとよいでしょう。

  • 最初に結論を書く

最初に結論、もしくは要件が書かれていれば、読み手はそれを踏まえて読み進めることができます。その結果、何についての内容かを意識しながら読むことができ、理解が深まります。

  • 1文は短くする

1文が長いと、どうしても読みにくくなってしまいます。また文章の内容を理解しづらくなるので、読み手が拒絶反応を起こす可能性が高くなります。そのような事態を避けるためにも、1文はできれば60字以内、長くても80字以内に収めるようにしましょう。

また1文の中に複数の情報が入っていると文章が長くなりがちです。そのような場合は、文章を2つ、もしくは3つに分けるようにしましょう。

 

  • 漢字とひらがなのバランスを考える

漢字が多い文章は硬い印象を与え、読みづらくなります。読みやすさを考慮した場合、理想的な漢字とひらがなのバランスは3:7といわれています。この比率を意識して文章を書くようにしましょう。ただしパソコンやスマホなどで文章を作成する場合には注意が必要です。パソコンの変換ソフトが自動で漢字に変換してくれるので、ついつい普段使わないような漢字を使ってしまいがちです。しかし、ビジネスにおける文章に、格調の高さは必要ありません。自動変換に任せるのではなく、常に読みやすさを意識して漢字を使うようにしましょう。

  • 段落を分けて見やすくする

連続した文章が続くと読み手に圧迫感を与えてしまい、読みにくい印象を持たれてしまいます。文章の適度なところで段落を分けるようにしましょう。同じ内容の文章ごとに段落が分かれていることが理想です。また段落を分ける際には、行間を空けてスペースを取ると効果的です。読み手が段落の固まりをイメージしやすくなるため、視認性が高まり読みやすくなります。

  • 小見出しやタイトルを活用する

文章のボリュームが多くなる場合は、段落の固まりごとに小見出しを付けると読みやすくなります。小見出しを付ける場合は、その段落が何について書かれている内容なのか、一目でわかるようなタイトルにしましょう。これはメールのタイトルにも同じことが言えます。タイトルだけで内容がイメージできるようになると効果的です。

  • 箇条書きを有効活用する

複数の項目がある場合に、これらを文章で長々と説明してしまうと、読み手は何がポイントなのかわからなくなってしまいます。そのような場合には、ポイントを箇条書きで整理する方法が有効です。項目ごとの言葉も短くなるため、読み手の負担も減らすことができます。


まとめ:

いかがでしたでしょうか。文章を書く際に今回ご説明したポイントを意識することで、伝わる文章になる可能性が確実に高まります。

この記事に関連する最新記事

おすすめ書式テンプレート

書式テンプレートをもっと見る

著者プロフィール

author_item{name}

伊藤伸幸

中小企業診断士

PROFILE

ライター、コンサルタント

1966年生まれ,愛知県名古屋市出身。関西大学社会学部卒

2017年中小企業診断士登録

2019年2級ファイナルシャル・プランニング技能士取得(AFP)

メーカーにて事業戦略およびマーケティングを担当。得意分野は事業戦略、方針管理、マーケティング、ビジネスライティング全般。

お問い合わせ先

株式会社プロデューサー・ハウス

Web:http://producer-house.co.jp/

Mail:info@producer-house.co.jp

この著者の他の記事(全て見る

bizoceanジャーナルトップページ