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ゆとり・さとり・つくし世代とは? 年齢別の違いや仕事における特徴を一覧で解説!

監修者: 2級キャリア・コンサルティング技能士(国家資格) キャリアコンサルタント(国家資格)CDA(career development adviser) ハラスメント対策認定アドバイザー  五十嵐 美貴

ゆとり・さとり・つくし世代とは? 年齢別の違いや仕事における特徴を一覧で解説!

さまざまな年代のことを「○○世代」と表す言葉があります。

昨今、よく耳にするのは「さとり世代」。「ゆとり世代」はなんとなくわかっていても、さとり世代はよくわからないという人も多いのではないでしょうか。

さとり世代は、2024年時点で19歳~34歳ぐらいの人が該当します。現在、就職前の学生や若手社員から中堅社員まで、今後の会社を支えていく人材がまさに「さとり世代」です。

そこで、さとり世代の社員を、どのように育成したらよいのか、そのポイントをまとめました。

さとり世代の仕事に対する特徴も併せて解説しますので、ぜひ参考にしてください。


さとり世代とは?

さとり世代について説明します。言葉が生まれた背景や、ゆとり世代との違いなどを見ていきましょう。

さとり世代が生まれた背景・由来

「さとり世代」という言葉は、現実に安定を求め、欲望を抱かない姿が「まるで悟りを開いているかのよう」に見えたことが由来です。

発端は「2ちゃんねる」(インターネット上の匿名掲示板サイト)から広まったとされ、「2013年新語・流行語大賞」にもノミネートされました。

この世代は、1980年代後半~2000年代前半の不景気のなかで生まれ、インターネットやスマートフォンの普及により、情報に溢れた環境で育った世代です。

社会の厳しい現実を目の当たりにし、「夢や目標を持たなくても今が安定していればいい」という考えを持つに至り、その姿勢が悟っているように見えることから「さとり世代」と呼ばれるようになりました。

リスクを負ってまでの挑戦や高望みをせず、ほどほどに生きていくという堅実な世代とも言えるでしょう。

ゆとり世代・つくし世代との違い

ゆとり世代はいわゆる、「ゆとり教育」を受けてきた世代のことです。詰め込み教育ではなく、個性尊重の教育を受けています。

ワークライフバランスの考え方が普及してきた時代でもあり、プライベート重視のライフスタイルを好む傾向があるようです。終身雇用の意識も薄く、転職者が多い特徴もあります。

10代の頃から携帯電話やスマートフォンを使い慣れているため、悩む前にすぐ検索する習慣があり、物事を行う場合は、合理的で効率的な手段を好む傾向があるとされています。

ゆとり世代とさとり世代に続き、新たに生じた言葉が「つくし世代」です。つくし世代は、共感能力が高く、周囲の人々に尽くすことを喜びとするような、献身的な意識が高い世代です。

個性を重んじ、他人の長所を評価する能力があると言われています。また、WEB上でのコミュニケーション能力も高いところが特徴です。

ゆとり世代とさとり世代は、年代的に重なっている部分があるため、共通している特徴が少なくありません。

安定志向、消極的、コストパフォーマンス重視、プライベート重視、マイペースなどの共通点があります。

相違点としては、さとり世代は、ゆとり教育を受けておらず、「脱ゆとり世代」とも呼ばれている点です。

また、幼少期から不景気が続いていたという背景があるため、将来への期待は薄く、高望みをせず、シンプルに生きようとする点がゆとり世代よりも強い傾向がうかがえます。

ゆとり世代、さとり世代、つくし世代の年齢層

では、世代別の年齢層を詳しく見ていきましょう。

ゆとり世代の年齢層

ゆとり世代は、1987年~2004年生まれの世代のことを指します。新しい学習指導要領に基づいて2002~2010年に実施された「ゆとり教育」を義務教育中に受けた世代で、「ゆとり教育」が名前の由来です。

ゆとり教育は豊かな人間性を育む目的で始められましたが、授業時間数が減らされたことにより、学力低下を招いたとされています。

さとり世代の年齢層

いつからいつまでに生まれた人という明確な定義はなく、おおよそ1990年~2005年生まれの世代が対象とされています。ゆとり世代と重なっている時期もあり、共通した特徴も多いです。

さとり世代は、幼少期から不景気で、リストラ・就職難・転職・独立などの社会問題を目にしてきています。

そのため、将来への期待感が少なく、安定した生活を目指して歩んでいくという特徴があります。

つくし世代の年齢層

つくし世代は、1985年以降に生まれた世代を指します。つくし世代とは、他人に尽くし、献身的なイメージが強い「尽くし世代」ということからきた造語です。

ゆとり世代やさとり世代と同世代にあたります。一方で、つくし世代初期では、バブル崩壊後の不安定な日本の経済状況のなかで、共働きする両親の姿を見て育ちました。

そのため、思いやりの気持ちを持ち、人に尽くすことを喜びとする世代だと言われています。

※参考:HR用語の基礎知識 (gakujo.ne.jp)|「つくし世代」とは?


さとり世代の仕事における特徴

さとり世代について理解は深まったでしょうか。

では、実際に従業員にさとり世代がいた場合、どのような仕事ぶりを発揮するのか、その特徴を解説します。

自身の成長やスキルアップに対して積極的

リーマンショックやそれに伴う不況など、不安定な社会情勢を目のあたりにしてきているため、会社に頼らず、自分自身の成長やスキルアップなどに高い意欲と信念を持つ人が多いようです。

根底には「穏やかで安定した生活を送りたい」という思いがあるものの、この会社では自分が成長できないと思ったら、すぐに転職をしたり、副業を始めたりする傾向があります。

ITスキルが高い

物心ついたころからパソコンやインターネットが普及していた環境で育ったため、ITスキルが高く、パソコンを駆使した仕事を得意としています。

多くの情報から必要な情報を選択することに長け、スピーディーで効率的な仕事ぶりを発揮できるようです。

スマートフォンやパソコンを活用した情報収集力が高く、知識も豊富で、新しい機能やソフトにも勘を働かせて、すぐに使いこなせるようになります。

指示どおりに仕事をこなすが、無駄な努力はしない

指示されたとおりに仕事をこなしますが、さらに高い目標の達成のために無理をしてまで努力をしようとはせず、もっと効率よく楽に物事を進めていくことを好むようです。

不景気のなかで育ったため、叶うか否か確証のない夢や目標は非合理なものとして、当初から選択肢にない場合も。

従って、「根性」「願えば叶う」などの精神論は通じないでしょう。「〇〇したい」という情熱に乏しく、諦めの早さも特徴ですが、興味のある事には熱心に取り組むという矛盾した傾向があります。

プライベート重視

仕事とプライベートをはっきりと区別しているため、残業や仕事後の飲み会などの付き合いを避けたがります。その日の仕事を終えると、定時に即退社する傾向があります。

また、プライベートに関して、他人から詮索されることも好まない傾向が強いようです。

お金よりもプライベートの時間の充実に重きを置いているため、仕事においても効率重視でコストパフォーマンスのよい働き方を好み、手際のよさを発揮するでしょう。

会社への帰属意識が低い

会社への愛着や帰属意識が薄く、「どこにいても自分は自分」とマイペースな働き方をする傾向があるようです。

自らの責務はしっかり果たすものの、その根底には会社へ貢献をするという意識があるわけではなく、単に生活のために働いていたり、経験を重ねて自らのスキルアップを図るために働いていたりする傾向があります。

職場の人間とも深い付き合いに及ぶことはないため、周囲の人間からは、つかみどころのない人物のように見えるかもしれません。

ストレスを避ける

「高い目標を掲げる」「出世する」「人と競い合う」「高収入を得る」などのために力を尽くすなど、困難な状況に関わることを面倒に感じるようです。

それらの欲求を満たすよりも、平穏でストレスのない生活を送ることを望んでいるようです。

そのため、ストレス耐性は高くありません。そもそもストレスがかかるような状況を最初から避ける人物が多いでしょう。


さとり世代の育成のポイント

組織内において人材育成を行う場合、個々に対応することが求められます。

では、社員にさとり世代がいた場合は、どのように育成すればよいのかポイントを紹介します。

仕事はロジカルに説明する

この世代は無駄な労力を好まず、効率を重視し、合理的で論理的な思考をするため、曖昧で非合理的な精神論や熱血指導は理解できず「ウザイ」と思われるだけで効果はありません。

また、指示どおりの仕事はきちんとこなしますが、それ以外の仕事はやらず、自主性や柔軟さに欠ける面があります。

従って、仕事の指示やアドバイスは、具体的な理由や論拠を示したうえで、論理的に説明することが重要です。

上司や先輩のやり方から見て学んだり、とりあえずやってみることが苦手なため、仕事の手順ややり方、評価基準を明記したマニュアルを用意したりするのも良案と言えるでしょう。

理由を明確に伝える

仕事は順調かつ計画どおりに進むことばかりではなく、予想外の出来事やトラブル、顧客の要望で急な変更も日常茶飯事です。

たとえ顧客の要望で不可抗力であったとしても、仕事をやり直すことは、さとり世代にとっては非効率的で無駄な仕事であり、モチベーションも下がることでしょう。

「客の要望なんだから、とにかくやれ」「仕事なんだから仕方ないだろう」と有無を言わせぬ命令口調ではなく「なぜこういう結果になったのか、だから次はこういうやり方をするのはどうだろう」と理由や意図を明確に説明したうえで、対応方法を具体的に提案するとよいでしょう。

納得しないとなかなか行動しない面はありますが、納得すれば行動につながる可能性が高くなります。

必要以上の干渉を避ける

ワークライフバランスを重視し、どちらかというとプライベート生活の充実により重きを置くため、自分自身の個人的な状況やプライベートに介入されることを嫌います。

従って、彼らと接する際は仕事上の関係にとどめ、必要以上にプライベートな面に立ち入ることは避けたほうがよいでしょう。

飲み会やレクリエーションの誘いを断られたとしても「遠慮しているのかも」「何か早く帰らなければならない事情があるのかも」と、根掘り葉掘り理由を尋ねたりするなどの余計な配慮は不要です。

スキルアップの制度を整える

会社への帰属意識が低く、自分自身の成長やスキルアップへの関心が高い世代ですので、職場が自らの成長やスキルアップにならないと判断した場合は、離職につながってしまいかねません。

そこで研修制度や資格支援制度など、社員のスキルアップにつながる仕組みを整え、チャレンジしたことを評価する環境作りをすることが重要です。

社員のキャリアプランを定期的に確認し、そのバックアップ制度をホームページや掲示物などで社員に告知するなどして、魅力ある環境作りに努めることも効果的です。

個性に応じたコミュニケーションを取る

自分のプライベートな領域に立ち入られることを好まず、周囲の人間とも一定の距離を保って深入りしない面があり、仕事以外での付き合いは避ける傾向があります。

だからといって決して感じが悪いわけでも、人との接触をまったくしないわけでもありません。人との揉め事を起こさないように周囲には気を遣い、職場では良好な関係を保っていることでしょう。

さとり世代が、人からの深入りを好まないとはいえ、管理監督者は遠巻きに見ているわけにはいきません。一口に「さとり世代」と言っても、必ずしもこれまで紹介してきた人物像にすべて当てはまるとは限らず、一人ひとり個性があります。

どの年代にでも共通することですが「〇〇世代」だからと決めつけず、相手の話に耳を傾け、それぞれの個性に応じたコミュニケーションを取り、適切な対応や指導をすることが大事です。


その他の主な世代一覧

時代の流れや変化によって、その時代に育った人々の習性や特徴も異なります。それぞれの世代の特徴を掴んでおくことで、ビジネスシーンやプライベートシーンでもコミュニケーションをとりやすくなるかもしれません。

では上述した世代のほかに、どのような世代があるのか、それぞれの特徴と併せて確認していきましょう。

ミレニアル世代

ミレニアル世代は、1980年〜1990年代に生まれた世代のことを指します。ミレニアル世代の語源は、Millennium(千年紀)から来ており、2000年(21世紀)になってから成人や社会人になった世代がそう呼ばれるようになりました。

ミレニアル世代は、もともとアメリカの心理学者Jean Marie Twengeが定義し、アメリカなどでは「Millennials(ミレニアルズ)」と呼ばれています。

以下がミレニアル世代の主な特徴です。

  • ITスキルが高い
  • 対人関係を重視する
  • 個々の多様性を重んじる
  • ワークライフバランスを大切にする
  • 環境問題や社会への関心が高い

ミレニアル世代は、インターネットの普及が飛躍的に進んだ時代を過ごしてきたため、ネットやSNSなどの取り扱いが得意な傾向があります。

Z世代

Z世代は、1990年代後半~2000年代生まれの世代を指します。アメリカ発祥の「ジェネレーションX」(1960年〜1970年代生まれの世代の呼称)が語源の言葉です。

もともとは「ジェネレーションZ」と定義され、ジェネレーションXの世代以降、アルファベットの順に呼称されるようになりました。

Z世代の特徴は、以下のようなことが挙げられます。

  • デジタルコミュニケーションに順応
  • 安定性を目指す
  • 費用対効果(コストパフォーマンス)を重視
  • 時間対効果(タイムパフォーマンス)を重視
  • ワークライフバランスを大切にする

Z世代は、自然災害や新型コロナウイルスなど情勢が安定しない時代を過ごしてきたため、安定性を求める傾向にあります。

また、生まれた時からインターネットやSNSが身近な存在だったので、デジタルの扱いも得意です。

氷河期世代

氷河期世代とは、1990年代に起きたバブル崩壊から生まれた言葉です。不況のため企業が採用人数を一気に減らし、就職が難航した世代のことを指します。

別称ロストジェネレーション世代とも呼ばれており、1970年〜1980年代前半に生まれた世代のことです。

氷河期世代は、以下のような特徴があります。

  • 真面目で堅実
  • 自分への自信が持てない傾向にある
  • 適応能力が高い
  • 忍耐力が高い
  • 晩婚・未婚が多い
  • 変化に強い

不況で就職活動が難航したことにより、苦労して掴んだ職や業務への責任感が人一倍強いです。また、収入が不安定な状況が続いたため、未婚者が多く、晩婚化が進んだとも言われています。

そのなかでも氷河期世代は、変化に適応できる能力が優れている人が多く、社会には必要不可欠な世代です。


世代ごとの特徴を押さえたコミュニケーションが大切

社会進出を始めた年代にさしかかっているさとり世代について解説しました。再度、さとり世代の特徴をまとめると以下のとおりです。

  • 1980年代後半~2000年代前半の不景気のなかで生まれた
  • ゆとり世代とは年代が重なる部分があるが、違いもある
  • 自己成長やスキルアップに積極的
  • ITスキルが高い
  • 仕事はこなすが、無駄な努力はしない
  • プライベート重視
  • 会社への帰属意識が低くマイペース
  • ストレスを避ける傾向がある

さとり世代を育成するポイントとしては、説明は効率を重視する、理由を論理的かつ明確に伝える、スキルアップの制度を整える、公私をきちんと分けるなどがあります。

そのなかでも重要なのは、個々に合ったコミュニケーションを取り、それぞれの強みを活かした適切な対応や指導をすることのようです。

この記事が人材育成に役立つと幸いです。


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監修者プロフィール

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五十嵐 美貴

2級キャリア・コンサルティング技能士(国家資格) キャリアコンサルタント(国家資格)CDA(career development adviser) ハラスメント対策認定アドバイザー

フリーランスのキャリアコンサルタントとして、高校生から中高年までの幅広い年齢層の就職・転職支援、相談業務に従事。

高校や大学での面接指導、職業訓練校や就労移行支援事業所での講師兼キャリアコンサルタント、就職・転職フェアでの相談コーナーにて、求職者を支援。新卒・中途採用、次世代リーダー選別のアセスメント業務歴25年。適性診断テスト(文章完成法テスト)を用いての人物像把握など、これまで10数社の判定に携わる。

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