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第四回 読まれてなんぼの社内報。そのために注意したいこと その2

効果のある社内広報メディアの構築

著者:株式会社月刊総務 代表取締役社長  戦略総務研究所 所長  豊田 健一

第四回 読まれてなんぼの社内報。そのために注意したいこと その2

目に留まり、読まれ、行動に結び付けるには

次に必要なのは、企画意図である「どうしてほしいか」に到達できる企画に仕立て上げることです。そのページに目が留まり、思わず引き込まれるように読んでしまい、その結果、「どうしてほしいか」を実現できる企画にすることです。その前提として、目に留まり、読まれることです。読まれることで、掲載してあることを「知り」、内容がわかりやすく興味が持てれば「理解」され、記事の登場者の思いに触れることで「共感」されるのです。

下記に企画の上手な立案方法を記します。

知ってほしい企画

  • ■目に留まる工夫をすること
    ・ターゲット読者の関心を引くタイトル
    ・リード文で企画の趣旨を説明、小見出しである程度全体像が把握できるように
    ・読むより、「見て」理解できるように
    ・数多くの社員を登場させる
  • ■ターゲット読者に当事者意識を感じさせる内容
  • ■ターゲット読者と同じ年代、同じ階層、同じ職種の従業員を登場させる

理解してほしい企画

  • ■ターゲット読者の理解レベルに合わせる、読者目線を意識する
  • ■写真を多用し、キャプションを丁寧に付ける
  • ■テキスト完成後、発行前にターゲット読者に読んでもらい、理解できるか検証する

共感して行動してほしい企画

  • ■その行動に至った、個々人の「思い」を掲載する
  • ■誰でもできる、具体的な事例を紹介する

社内の協力を得るには

「社内の協力が得られない」。広報誌担当者からよく聞かれる言葉です。

もしみなさんが読者の立場で、いきなり全く知らない社内報担当者から、メールで「一週間以内に四〇〇字で、今年の抱負を書いてください」と依頼されたら協力しますか? 多くの方が、「忙しいのにそんなことしたくない」と、快く協力しないでしょう。しかし、それがもしよく知っている親友だとしたらどうでしょうか。「しょうがないなあ、協力してやるか」という気持ちにならないでしょうか。

多くの会社では、社内報担当者が自分自身を知られる努力をしないまま、協力が得られないと嘆いています。知らない人に協力をすることは少ないという事実を認識しましょう。社内報担当者として社内で知られ、好意を持たれて初めて、協力しようと思われるのです。社内報という物体より、社内報担当者という人間の方が、はるかにリアリティーがある存在なのです。あらゆる機会を通じて、「私が社内報担当者です」と社内PRをしましょう。

そして社内報担当者自身が、会社が好きか、ここで働く従業員が好きか、会社を良くしようと思っているか。そのような思いがあれば、読者に好感を持たれるはずです。というのも、記事の書き方、写真の撮り方一つにもそれが表れるからです。読者は敏感です。社内報担当者の人間観、会社に対する思いは、すぐに誌面に表れ、読者に伝わります。

従業員のことを知り、自らも知ってもらい、一緒になって会社を良くしていく。そのための社内報であるべきです。


eb社内報への移行

コスト削減、時代の変化のスピード化により、Web社内報のニーズは高まっています。またコロナ禍により、在宅勤務、リモートワークも当たり前となり、会社に出向かない従業員も多くなりました。ですので、リアルな冊子だと、なかなか読む機会もなくなってしまうという声もあります。コミュケーションツールとしてのチャットの活用もあり、デジタルツールで社内情報を取得する流れとなりつつあります。

Web社内報は、そのメリットとデメリットをしっかりと理解した上で導入しましょう。Web社内報について、社内報(以下、社内報と記す場合は、印刷社内報を意味します)との比較において、基本的な理解から始めましょう。

景気が悪くなると、多くの会社で社内報の予算が削減されます。また、カラーの社内報がモノクロになると従業員へのインパクトが大きく、社内の引き締めの象徴として利用されます。また、社内報を廃止してWeb社内報ヘシフトする会社もあります。

環境の変化にスピーディーに対応しないと生き残れない現代において、社内のコミュニケーションにもスピードが求められます。三か月に一度の季刊社内報でニュースなどの速報性を求められる情報を共有するのは難しくなってきているのも現状で、Web社内報の必要性がますます高まっています。

一人一台パソコンが配備され、グループウェアや社内イントラも整備され、社内の情報インフラが整ってきたことも、Web社内報の導入が加速する理由となっています。
まずは、社内報とWeb社内報の違いを確認しましょう。

社内報 Push型メディア

◆コミュニケーション性に優れている。閲覧、持ち歩きが自由で、「いつでも、どこでも、誰でも読める」。複雑な内容、じっくり読ませるコンテンツに適している。

メリット

  • 一覧性、閲覧性に優れ、見やすく、理解しやすい
  • 記事の重要度(優先順位)が明確である
  • 考えさせ、掘り下げた企画ができる
  • 保存性、頒布性に優れる
  • 全員に届く、共有できる
  • 家族、OBも読める
  • 印刷媒体ならではの存在感

デメリット

  • 速報性、同報性、機動性に欠ける
  • 配布に手間と費用がかかる
  • 機密性に欠ける
  • 発信量が限られる
  • コスト高

Web社内報 Pull型メディア

◆インフォメーション性に優れている。単純明快な内容をスピーディーに伝達するのに適している。
目的と意志を持って活用すると強みを発揮するメディア。

メリット

  • すぐに伝えたい情報をスピーディーに掲載できる
  • 多数の相手に一斉に配信でき、タイムリーに共有できる
  • 常に最新の情報を更新することができる
  • 階層を持つことができる(帯情報から詳細情報へ)
  • リンク機能によって、社内外の情報、人、機能へと拡張できる
  • 体系的に整理保存ができ、保存性、検索性に優れている
  • 双方向性に優れ、参加型のサービスを提供できる
  • アンケートなどの集計が簡単にできる
  • 誰でも気軽に発信できる
  • ターゲットを絞っての伝達が可能である
  • 訂正、加筆、加工が容易、カラー写真による掲載ができる
  • 印刷媒体と比較して出力が減り、コストが安い
  • ページの制約がない

デメリット

  • じっくりと読み込む、まとめて読むならば、紙の方が良い
  • パラパラとめくったり、斜め読みするならば、紙の方が良い
  • PCの起動が必要、閲覧までのハードルは紙の方が低い
  • 常時端末を閲覧できるかとうかが問題
  • 特定の場所でしか閲覧できない、携帯性は紙の方が良い
  • ー覧性に欠ける、一度に読むことのできる情報量に限界
  • 家族、OBが読めない
  • 更新を告知しなければならない

次に続く

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著者プロフィール

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豊田 健一

株式会社月刊総務 代表取締役社長 戦略総務研究所 所長

早稲田大学政治経済学部卒業。株式会社リクルートで経理、営業、総務、株式会社魚力で総務課長を経験。日本で唯一の総務部門向け専門誌『月刊総務』前編集長。現在は、戦略総務研究所所長、(一社)ファシリティ・オフィスサービス・コンソーシアム(FOSC)の副代表理事として、講演・執筆活動、コンサルティングを行う。

毎日投稿 総務のつぶやき 

毎週投稿 ラジオ形式 総務よもやま話

毎月登場 月刊総務ウェビナー

著作

マンガでやさしくわかる総務の仕事』(日本能率協会マネジメントセンター) 

経営を強くする戦略総務』(日本能率協会マネジメントセンター) 

リモートワークありきの世界で経営の軸を作る 戦略総務 実践ハンドブック』(日本能率協会マネジメントセンター)

講演テーマ:総務分野

総務の最新動向について

総務の在り方、総務のプロとは

戦略総務の実現の仕方・考え方

総務のDXWithコロナのオフィス事情

健康経営の進め方、最新事例の紹介、など

講演テーマ:営業分野

総務経験者が語る総務の実態、総務の意志決定プロセスを知るセミナー

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