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第1回 資金調達の成功に向けた戦略的な事業計画書の考え方・作成法

専門家に学ぶ!シーン別事業計画書の書き方

著者:村井知光税理士事務所 税理士  村井 知光

事業計画書は、事業家の経営における自己実現を約束したマニフェストであるとともに、財務戦略の実現に向けて重要な役割を果たしてくれる大切な相棒です。

以下、金融機関からの資金調達を成功させる事業計画書の戦略的な考え方と、その作成方法をご紹介させていただきます。


資金調達を目標とした事業計画書の考え方

まずは当たり前かもしれませんが、金融機関にとって事業資金融資は慈善事業ではないということを再認識しましょう。昨今の国際的な金融規制の流れ、内部統制の厳格化、組織防衛、担当者の個人評価、さまざまな要素を反映して金融機関は事業融資に関して非常に慎重で厳格な審査を行ないます。

原則として、我々の事業計画がリターンとリスク管理のバランスから安全で儲かると判断された場合にのみ金融機関は融資の決定を行なうのです。このような厳しい事業融資の現実に向かっていかに資金調達を成功させるか。何よりも審査する融資側の金融機関の立場・視点を戦略的に取り込んだ事業計画書であることが望まれます。

わかりやすさを第一に

事業資金融資を審査する金融機関の担当者は我々の事業の専門家ではなく、業界や当該ビジネスを熟知している可能性はむしろ低いといえます。しかし、事業計画を融資金融機関に理解してもらうことはすべてのスタートなのです。この現実を踏まえて、事業計画書は第一にわかりやすい、当該ビジネスを知らない一般人にも理解可能なレベルの平易さを心がけるべきです。

傾向として、事業家は自己の専門事業領域を相手が知っていることを前提とした表現をしがちです。自己の業界用語や専門用語の過度な多用を避け、平易、シンプルな表現を原則とし、まずは担当者に自己の事業計画を理解・把握してもらうことを心がけましょう。

客観的な数字やデータの重要性について

上記のわかりやすい平易な表現とともに、客観的な数字やデータを意識した表現も大切なポイントになります。たとえば「この市場は大きく成長している」と主観的に言われるよりも、「この市場はユーザーが約7万人おり、過去3年間15%の成長率を維持して拡大している」と客観的な指標を用いた表現のほうが読み手にとっては具体的にイメージをしやすく理解が容易になります。

数字だらけにするのはかえって読みづらく、その必要もありませんが、自己の事業の魅力を強くアピールしたいポイントにおいては主観的な熱い想いにプラスして客観的な数字やデータを用いて論証を補強することを心がけましょう。

リスクマネジメントへ最大限の配慮を

現実のビジネスが事業計画通りに全てうまくいくということはむしろ稀有です。また、まさに事業がうまくいかないときにこそ事業家としてのすべてが現れる局面でもあります。よって、リスクに対して非常に敏感な金融機関は事業計画において事業家がどれだけリスクマネジメントに配慮をしているかを大きなチェックポイントとしています。

事業計画書はその傾向として、積極的な攻めの姿勢を反映した表現のオンパレードになりがちですが、柔軟な事業修正や危機対応、リカバリーに対する戦略、計画を盛り込むことによってリスクマネジメントにも最大限の配慮をした事業計画書作りを心がけましょう。

事業家の人間性という要素について

現実の事業融資の審査において、事業計画以上に事業家の人間性、また目、容姿、姿勢等から受けるインスピレーションを大事な判断要素とするという審査担当者は少なくありません。これらは主観的なものであり、また実際に相対しないと判断できないものです。しかし、これらを推測可能なエッセンスとして事業計画書に盛り込み、戦略的に反映させることは可能です。

第一義には事業による利益創出という視点に重きを置きつつも、プラスして自己の事業における社会的意義の観点、また社会貢献に対する自己の考え方等に触れることによって事業家としての自分、人間性をより深く理解してもらえるような事業計画書作りを試みてみましょう。

ガイドのポイント

  • 事業計画書は事業家の経営実現に向けたマニフェストである。
  • 審査担当者の立場・視点に立った戦略的な事業計画書作りを。
  • 事業計画書は常に携行して絶え間なくブラッシュアップを。

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著者プロフィール

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村井 知光

村井知光税理士事務所 税理士

税理士、経営コンサルタントとしてIT・ソフトウェア業界を中心に多数の支援実績を有する。相談者の立場、目線に立ったわかりやすい実践的なアドバイス、きめ細やかなサポートが特色。

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