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初めての年末調整

著者: 税理士  辛島 政勇


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サラリーマン時代に、年末に所得税が戻ってきたという経験をされた方は多いと思います。それは、会社が皆さんの年末調整をしてくれていたからです。
しかし、起業すると社長ご自身はもちろん、従業員さんの分まで会社が年末調整しなければなりません。そのためにも、年末調整の仕組みについて理解しましょう。

年末調整ってなに?

「年末調整」という言葉は知っていても、実際にどのようなことをするのでしょうか?
社長ご自身はもちろん、従業員さんに給料を払うときには給料の額に応じて所得税を控除しなければなりません。控除する所得税の金額は、国税庁が発行している「源泉徴収税額表」にあらかじめ定められています。
しかし、実際の所得税の金額は年間の給料の合計額がわからなければ計算できません。そのため、「給料から引かれている所得税の合計額」と「年間の給料に対する実際の所得税」の金額は一致しません。この差額を調整する作業を「年末調整」といいます。

年末調整する人?しない人?

年末調整は、給料を出した人全員にするわけではありません。
【年末調整の対象となる人】
(1)1年間ずっと働いている人
(2)年の途中で入社し、年末まで働いている人
(3)年の途中で退社した人で次に該当する人
① 死亡により退社した人
② 12月中に支給する給料をもらったあとに退社した人
(4)海外支店等などへの転勤により非居住者となった人 など
【年末調整の対象とならない人】
(1)今年中の主たる給料の額が2,000万円を超える人
(2)2ヶ所以上から給料をもらっている人で、他の会社などで「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出している人や、年末調整までに「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出していない人
(3)非居住者 など

年末調整の対象となる給料とは?

年末調整では、1月1日から12月31日までの間に支払うことが決まった給料が対象となります。そのため、資金繰りの都合などで支給が翌年になってしまったとしても、その未払いの給料も年末調整の対象となるので含めて年末調整しなければなりません。
また、年の途中で入社した人が、入社前にほかの会社で給料をもらっていた場合は、この給料も合算して年末調整を行わなければなりません。そのため、途中で入社した人には、前の会社でもらった「源泉徴収票」をすみやかに提出してもらいましょう。「源泉徴収票」の確認ができない場合は、年末調整をすることができないので注意してください。

年末調整はいつ行うの?

年末調整は、12月の最後の給料を支払うときに行います。また、最後の支払いが賞与になる場合は賞与を支払うときに行います。ただし、年末の賞与が最後の給料より先に支給される場合には、その賞与を支払うときに年末調整をすることも認められています。この場合には、12月の給料はまだ支給されていないので見積額で年末調整を行うことになります。ただし、実際に支払った給料と見積額が違う場合は再度年末調整をしなければならないので注意しましょう。
また、給料をもらっていた人が死亡退職した場合はその退職のときに、海外支店等への転勤により非居住者となる人はその出国のときに年末調整を行うことになります。

年末調整の計算方法って?

年末調整の計算は、まず年間の給料・賞与の総額を集計します。その金額から「給与所得控除」を差し引きます。これは、自営業者でいうところの必要経費だと考えてください。年間の給料・賞与の総額に応じて差し引ける「給与所得控除」の額はあらかじめ決められています。さらに、そこから生命保険料控除や配偶者控除などの各種「所得控除」を差し引きます。そして、この金額に所得税率を掛けて年間の所得税を計算します。
住宅ローン控除の適用を受けている人は、住宅ローン控除額を差し引いたものが年間の所得税額となります。初めて住宅ローン控除を受ける年は、年末調整では控除できず、確定申告が必要となるので注意しましょう。

ガイドのポイント

  • 年末調整は、所得税の差額を調整する作業。
  • 年末調整は、全員が対象となるわけではない。
  • 年末調整は、その年の全ての給料・賞与が対象。

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著者プロフィール

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辛島 政勇

税理士

税理士・行政書士として月10社超の会社設立サポート実績!商工会議所主催の創業塾の講師も努める起業支援のスペシャリストです。

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