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第2回 売上、仕入、経費の計上方法

著者:村上健税理士事務所 税理士  村上 心理


入金≠売上、出金≠仕入、仕入≠売上原価

損益計算書でその年の利益を計算する場合、1年分の売上や仕入、各種経費の金額を集計する必要があります。では、どのようなものをその年の売上等に計上すればよいのでしょうか?
今回は、売上・仕入、各種経費、売上原価の計上について注意すべきポイントをご説明します。下記の点に注意して、適正な利益を計算しましょう。
その際、「売掛金・買掛金・未払金管理表」などの書式を利用すると、整理しやすいですよ。

売掛金、買掛金

「平成23年の売上高=平成23年中に入金があった金額」ではありません。例えば、「平成23年にお客様に商品の引き渡しやサービスの提供をしたけど、入金は平成24年になったもの(売掛金)」については、平成23年の売上に計上する必要があります。
同様に、「平成23年に仕入商品を受け取ったけど、支払は平成24年になったもの(買掛金)」については、平成23年の仕入に計上する必要があります。

反対に、前受・前払のもの、つまり「商品やサービスの提供は平成24年だけど、平成23年に事前に入金や支払を済ませているもの」については、平成24年の売上・仕入となるため、平成23年の申告では売上・仕入とはせず、前受金・前払金として処理します。

未払金

仕入以外の諸経費についても考え方は上記と同様で、平成23年中に物品の引き渡しやサービスを受けた場合には、その支払いがいつであろうと平成23年の必要経費に計上する必要があります。

ただし、地代家賃や保険料などを前払いした場合、継続適用を要件に、その支払った日の属する年分の必要経費に計上することができるという特例もあります。
ちなみに、この特例は、「一定の契約に基づき継続的に役務の提供を受けるために支出した費用であること」、「その支払った日から1年以内に提供を受ける役務にかかわるものであること」等の要件があるため、給料や広告宣伝費などは対象外です。
トータルで見ると必要経費の前倒しに過ぎず、減税効果があるのは初めて適用を受けた年のみであるため、節税とはいいにくいですが、突発的に利益が出た場合などに利用するといいかもしれません。

棚卸資産

その年の売上原価の金額は、単純にその年に仕入れた金額ではなく、「期首在庫+当期仕入-期末在庫」で計算します。
ですから、「今年は利益が出そうだから年末にたくさん商品を仕入れて利益を減らそう」と考えたとしても、年末に仕入れたものが12月31日現在で在庫として残っていれば、売上原価の計算上、仕入金額から期末在庫金額を控除するため、利益を減らすことはできません。
また、粉飾(利益の水増し)のため、期末在庫を実際在高より多く計上するケースも見受けられます。しかし、「その年の期末在庫=翌年の期首在庫」となるため、その年の期末在庫を増やすと翌年にしわ寄せが来て、翌年に利益を出すのがより難しくなります。このような方法は採らないほうが賢明です。

<第3回 税務署への届出>

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著者プロフィール

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村上 心理

村上健税理士事務所 税理士

岡山県 担当顧問先の80%以上を創業・会社設立から支援してきた「起業サポートのプロ」。 顧客定着率も高く、平均年齢60歳の税理士業界において、33歳という若さで、同世代の経営者から「話が合う」と好評。

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