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第3回 フォームのポイントをチェックしよう!

著者:弁護士法人あすなろ 弁護士  池田 直樹


ケーススタディ

あなたが自社の新製品のデザインの一部をデザインオフィスに依頼する場合を想定しましょう。あなたがデザインのイメージを伝えてベストのデザインを提案してもらうなら、業務委託契約になります。

紛争ポイントをチェックする!

上記フォームは、業務を特定し(1条)、委託期間中に仕事をしてもらい(2条)、納品後に料金を支払い(3条)、成果物は依頼主に帰属する、というシンプルなもの。ただ、これで大丈夫でしょうか?

デザインについては、お互いがどのレベルを考えているのかすれ違いが起こりがち。「ここまでやって当然だろ?」「この料金でそこまでやれだなんて無茶!」こういった紛争を幾度も見てきました。契約は結婚と同じく、お互いに同じ夢を見ていると信じて結びます。ただし、もめて別れる場合を冷静に想定し、それを防ぐ詰めやそれでもダメなときの別れ方まで決めるのが契約です。

契約目的を詰めてチェックする!

そのとき、より複雑な書式が参考になります。本書式の中のホームページ制作業務委託契約を見てみましょう。

■ホームページ制作業務委託契約書
http://www.bizocean.jp/doc/detail/102312/

まず業務について、委託者がこんな内容でここまでやって欲しいという希望を仕様書で具体化し、受託者も「それは無理です」と告知できる内容になっています(2条)。受託者は仕様書を確認してから見積もりと納期予測を提出します(3条)。中心の業務に付随する業務も詳しく特定しています(4条)。満足のいく内容でなかった場合の代金の処理や再制作のルール(9条)もありますね。
人は期待を裏切られたときに争います。何をどこまででやってもらうのかを具体的に詰めることが一番重要なのです。

基本ルールの見落としがないかチェックする!

誰が成果物の権利を持つのかは大事なチェックポイントです。代金を支払ったからといってすべての権利が受注者にあるとは限りません。ホームページの契約で著作者である受託者が著作権を持っているのはその例ですが(11条)、代金を支払って委託者が譲り受けてしまうこともできます。

まとめ

①シンプルな書式で基本をつかむ
②その契約でどのような紛争が生じがちか(特に契約目的についての食い違い)を考える
③詳しい書式から、紛争予防対策の条項を見つけ出して応用する
④基本事項のルール化を忘れない。

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著者プロフィール

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池田 直樹

弁護士法人あすなろ 弁護士

1961年愛媛県生まれ。87年大阪で弁護士登録。93年ミシガン州弁護士。あすなろ法律事務所パートナー。中小企業法務を中心としつつ、社会起業家やNPOの支援など公益活動にも力を入れている。

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