第2回 相続のスケジュールを使い「相続手続」の流れを簡単におさえよう!
知らない事がトラブルの元!相続手続きのスケジュール
前回は「遺言書」について解説を致しましたが、今回は「相続手続き」について解説を致します。
まず「相続」は亡くなられた時から開始となります。
相続開始後は、通夜に始まり、葬儀、法要、お香典返し、納骨などの親戚・ご近所づきあいをする上でも大切な仕事がたくさんあるため、相続に関しては後回しになってしまうことが多々あります。”落ち着いてから、相続手続きを進める”という方もおりますが、その時にあせらないための「相続手続きスケジュール」についてご紹介していきます。
手続きには期限があるものも存在する
相続発生後に、行わなければならない手続きは少なくありません。なかには期限がある手続きもあるので、しかりポイントを押えておくことが重要です。
今回ご紹介させて頂いた書式「相続手続きのスケジュール」に、相続発生後の流れがまとまっております。
流れとしては、
- 被相続人が死亡したら、7日以内に死亡診断書等を添えて、死亡届を市区町村に提出する
- 遺言書の有無の確認および検認
- 相続人の確定
- 遺産の調査相続財産の確定
- 相続の放棄または限定承認
- 被相続人の所得税の申告・納付
- 遺産分割協議
- 不動産等の各種財産の名義変更手続き
- 相続税の申告・納付
となります。
ここで押えておきたいポイントは、5,6,9に関しては期限が決められていることです。
5…自己のために相続の開始があったことを知ったときから3ヶ月以内
6…相続の開始があったことを知った日の翌日から4ヶ月以内
9…被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10ヶ月以内と期限の定めがあるため、注意が必要です。
トラブルを回避するためのポイント
遺産の分割方法については、多く出版されているハウツー本でも解決事例が紹介されておりません。それだけ遺産相続は個性があり、一般的なことはいえないのだと思います。
よくあるケースとして、「遺産の調査」がトラブルになったということがあります。
日本では、相続財産の約半分は不動産です。不動産の評価をめぐってトラブルが生じることも多いのです。当然ながら不動産の相続人は評価を下げて足りない分をお金でもらおうとしますし、不動産の相続をしない人は不動産の価値を上げて評価しようとします。
この様なトラブルを防ぐためにも、予め不動産の価値を評価し、遺産総額を確定してから法定相続分に応じて分けるなど対策が必要です。
これらトラブルは、遺言書が無いと収拾が付かないほどのトラブルになる場合もあるため、やはりそういった意味でも遺言書の存在は重要といえます。
遺言書でトラブルを防ぐ
『遺産をどのように分けるか』ということについては、遺産として存在している財産を分ける方法、物を分けるうえで差額を代償金として支払金銭で調整する方法、そもそも遺産を売却してしまう、ということが考えられると思います。
この様な決め事を相続発生後に行うことがトラブルのもとになると言えます。
その様な意味で、遺言の存在は大きいといえます。なにせ遺言は、遺産分割の指示書になります。
例えば、親の資産が不動産などの分配が難しい場合、子供同士がどの様に分配するのかなども予め指示しておくと良いでしょう。一番良いのは、親と同居していた子が全て相続をし、それ以外の子は財産を放棄するというのが美しい形なのでしょうが、なかなかそういうわけにはいきません。
もしも同居していた子に現金があるのであれば、「不動産を全て相続し、遺留分は現金で支払う」などの対応が可能になるため、その様なことも考慮し、遺言書を作成するとよいでしょう。
もっとも、遺留分の計算は複雑です。その過程は、遺留分算定の基礎を確定し遺留分をかけ、遺留分権利者が特別受益を受けている場合は、それを引いた金額ということになりますが、その判断が難しい場合は専門家への相談をすすめます。