このページはJavaScriptを使用しています。JavaScriptを有効にして、対応ブラウザでご覧下さい。

インターンシップとは?企業が実施する意味や目的・事前準備を紹介

監修者:officeたまこぶ 代表 / 国家資格キャリアコンサルタント  宗像 陽子

インターンシップとは?企業が実施する意味や目的・事前準備を紹介

この記事では、インターンシップとはどういうものなのか、企業にとってどんなメリットがあるのか、インターンシップをよりよいものにするためには何が必要かなどを説明します。

また、2023年からインターシップ制度が変更になることはご存じでしょうか。それをきっかけに、参入企業も増えることが予測されます。

インターンシップを初めて利用される企業にとっては、わからないことも多いでしょう。インターン生を受け入れる際の事前準備や心構えなども整理しましたので、併せてご紹介します。


大学生が参加するインターンシップとは?

ここでは、インターンシップの定義や期間、行う時期について詳しく説明します。2023年から変更になる点もまとめましたので、参考にしてみてください。

インターンシップの定義

インターンシップとは、学生が在学中に自らの専攻、将来のキャリアに関連した就業体験を行うことをいいます。学生は社会に出る前に企業で仕事の体験ができる一方、多くの企業は採用活動と紐づけて実施してきました。

2023年からは、インターンシップで集めた学生の情報を採用活動へ利用することが認められます。労働と時間の対価として給料をもらうアルバイトに対し、インターンシップは仕事内容や自分の適性理解と目的が異なります。

インターンシップの期間

インターンシップの期間は、2~3日の「短期型」、1週間前後の「中期型」、1カ月以上の「長期型」に分類されます。また、1日のみの就業体験を「1day仕事体験」と呼びます。

それぞれ適している人は以下のとおりです。

  • 1日完結のタイプの人は1day仕事体験
  • 働くイメージがつかない人や、たくさんの企業や業界を知りたい人は短期型
  • 志望業界や職種など方向性が固まり、企業をより理解したい人は中期型
  • 具体的に明確な目標がある人や、長期間でリアルな実地体験をしたい人は長期型

2023年以降のインターンシップの4類型

なお、2023年からは経団連と大学関係団体などで構成される「採用と大学教育の未来に関する産学協議会」で、学生のキャリア形成支援としてインターンシップを4類型に整理しました。

  1. オープン・カンパニー(大学入試に向けて開くオープン・キャンパスの企業版。学生が「企業・業界・仕事を具体的に知る」のが目的。1日タイプで就業体験はなし)
  2. キャリア教育(主に大学1、2年生向け。学生が「自らのキャリア(職業観・就業感)を考える」のが目的)
  3. 汎用型能力・専門活用型インターンシップ(主に大学3、4年生および大学院生向け。学生が「その仕事に就く能力が自ら備わっているか見極める」のが目的。大学などの正課および大学院博士課程を除き、卒業・修了前年度ないし卒業・修了年度の長期休暇期間中に実施)
  4. 高度専門型インターンシップ(大学院生の実践研究力の向上が目的)

3と4は、インターンシップで得た学生の評価材料などの情報を、採用活動時に利用できるようになります。

また、多くの学生が関係する③は実施期間が決まっており、「汎用的能力活用型」は5日間以上「専門活用型」は2週間以上で、半分以上は職場での就業体験にあてなければなりません。

参照:「産学協働による 自律的なキャリア形成の推進」

インターンシップの時期

短期型や中期型のインターンシップは、概ね6月~翌年3月にかけて実施されます。大学の長期休暇に合わせて行う夏のインターンシップは、複数日程で業務に触れる就業体験型が多いのが特徴です。

一方、週末や冬休みなどに開催する秋冬型は、社員との懇談・座談会や講義・講座を中心に、2〜3日間で完結する短期型が多い傾向です。

2023年からは、「汎用的能力活用型」などのインターンシップを長期休暇に行い、秋冬に「オープン・カンパニー」を実施する企業が増えそうです。

※参考:産学協議会|インターンシップを始めとする学生のキャリア形成支援に係る 取組の推進に当たっての基本的考え方


企業がインターンシップを開催する意味や目的は?

ここまでは、インターンシップについて紹介してきました。ここからは、企業がインターンシップを利用することで得られるメリットやその目的について詳細に見ていきます。

優秀な人材の早期発見と確保

企業がインターンシップを行う目的のひとつに、早めに学生と接点を持てることが挙げられます。学生の多くは「業種理解を深めたい」「実際の職場を見たい」と、意欲的に参加します。こうした学生に対し、インターンシップは自社の認知度を上げる絶好の機会です。

多くの企業は採用活動の一環として実施しており、インターンシップに対する学生の満足度が上がれば、選考を受けてくれる可能性が高まり、人材確保につながります。

学生のミスマッチを防ぐ

採用のミスマッチを防ぐのも、企業がインターンシップを行う目的のひとつです。企業はホームページや求人票に文章で業務内容や事業内容の情報提供をしますが、学生には実際の雰囲気は分かりません。

就職活動が始まる前に学生が企業の中に身を置いて実際の仕事に取り組めば、企業の雰囲気はもちろん、業種や職種の理解が深まります。理想と現実のギャップが埋まれば、結果として早期離職の防止につながるでしょう。

実務経験を積んでもらい経験を積ませる

長期型のインターンシップでは、学生に実際の業務を任せるため、早期育成が期待できます。とくに、内定者向けのインターンシップを入社前の育成期間と位置づけ、入社後の即戦力として活躍してもらえるように実務経験を積ませて成長につなげるケースも。

同時に学生のサポート役を若手社員に任せることで、社内の人材育成にも一役買うといった副次的な効果も期待できます。


インターンシップ前に企業が準備すべきこと

インターンシップの受け入れに慣れていない企業もあるでしょう。ここでは、企業側が準備すべきことをお伝えしていきます。意外と細かい事前準備が必要になりますので、参考にしてみてください。

プログラム内容とスケジュールを作成

インターンシップ実施の目的や日程を考慮し、プログラムの内容やスケジュールを作成します。詳細を決めておかないと、準備段階を含めて運営に支障をきたし、学生の満足度低下につながる可能性があるからです。

プログラムが決まらないと、自社サイトや就職情報会社のナビサイトから効果的な告知ができません。また、協力社員との情報共有が不足すれば、学生との関係構築がスムーズにいかないなど、当日、混乱する原因になります。

インターンシップ担当部署・社員を選定

インターンシップは、あらかじめ協力してもらえる部署や人材を選び、協力を仰ぐ必要があります。営業同行のような仕事体験から社員との懇談・座談会まで、社員の協力なくして成り立たないからです。

実施の目的から環境整備、当日の動きまで、事前に打ち合わせを重ねて受け入れ態勢を整えます。重視したいのは、学生をしっかりフォローできるかどうか。丁寧にかかわり、フィードバックできるように、担当社員のサポートも必要です。

とくに、2023年からインターンシップの制度が変わると、「就業体験では、職場の社員が学生を指導し、インターンシップ終了後、学生に対しフィードバックを行う」のが要件に入ってきます。学生と年齢が近く、かつ、指導できる人材を選定しておく必要があるでしょう。

伝達事項やトラブル時に備えて連絡手段を決めておく

プログラム設計の段階で、電話やメール、SNSなど、担当者と参加学生が直接、連絡できる手段を決めておきます。学生から遅刻や欠席の連絡のほか、災害などで開催中止の連絡など、当日の緊急性のある連絡に備えます。

複数の就職情報サイトを利用し、ナビサイトからしか連絡が取れないとなると、参加者が通知を見落とす可能性があります。エージェント経由では、学生との連絡に時間を要しますので、連絡手段の一本化が必要です。

インターンシップ開催の環境整備

プログラムが決まれば、環境や書類の準備を進めましょう。対面開催なら場所を確保し、必要な資料や文具用品、音響施設、昼食を含めた飲食物などの備品をそろえます。オンラインの場合は、ビデオ会議システムのURLが開催ごとに必要です。

長期型の場合は、業務用アカウントの発行のほか、有給なら労働基準法に基づき、雇用契約書を交わす必要があります。万が一に備え、災害補償の確保も必要で、大学と協議したうえで学生に保険加入を促します。

参加学生に対するアンケート作成

学生の生の声が聞ける終了後のアンケートは、プログラムを改善する役割があります。同時に採用活動の一環として、社員の懇談・座談会といった今後のイベント連絡など、学生フォローにも積極的に活用できます。

アンケートに記載したい項目は、「インターンシップの満足度や感想」「印象に残ったプログラム」「登録する就職情報サイト」「興味がある業界や職種」「今後のイベントの参加可否」「選考の案内の可否」が挙げられます。


インターンシップ実施中の企業の心構

インターンシップ実施中は、学生を大人と扱いつつ、充実した時間が過ごせるような対応を心掛けます。スムーズにプログラムに取り組んでもらうために、導入が大切です。実施の目的やゴールの共有、社内ルール、企業や業界の概要などを説明する時間を設けます。

現場の社員が、学生に進んでコミュニケーションを取る姿勢も重要です。同じ職場の仲間として学生に接すれば、学生も早くなじむことができ、前向きな取り組みにつながります。

壁にぶつかったときの声掛けや、仕事に対するきめ細かいフィードバックも、学生の満足度アップに効果的。一方で責任を持って業務に当たるように、ときに指導や注意も必要です。

また、現場の安全確保やハラスメント対応にも気を配りましょう。万が一、学生がパワーハラスメントやセクシャルハラスメントを受けたと感じ、SNSで拡散されてしまうと、会社の信用問題になりかねません。

無意識な言動がハラスメントと受け取られる可能性があると、企業全体で事前の確認が必要です。


インターンシップについてのまとめ

インターンシップについてご紹介してきました。

まとめると、以下のの4点です。

  • インターンシップの開催期間や時期は決められている
  • インターンシップを行う目的はさまざまある
  • インターンシップを実施するには事前の準備が必要である
  • インターンシップ実施中には注意点がある

インターンシップを行うことは、学生側にも企業側にもメリットがあります。

終えたあとにお互いのスキルアップやキャリアアップにつながるよう、ぜひインターンシップ利用に役立てください。

【書式のテンプレートをお探しなら】

この記事に関連する最新記事

おすすめ書式テンプレート

書式テンプレートをもっと見る

監修者プロフィール

author_item{name}

宗像 陽子

officeたまこぶ 代表 / 国家資格キャリアコンサルタント

大学卒業後、地方新聞社のスポーツ記者などを経て、キャリアコンサルタントに転身。

公共機関や都内私立大学で学生や既卒者の就職支援に当たった後、フリーランスとして独立。

現在は、「その人のありのままを受け止める」姿勢を大切に、複数の大学で学生のキャリア支援に従事するほか、氷河期世代や高校生向けの講座への登壇、ライティングと幅広い活動を展開している。

新聞記者経験で積み上げた文章力を活かした応募書類作成や講座が得意。

この監修者の他の記事(全て見る

bizoceanジャーナルトップページ