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PMIとは? 意味や重要性、手法をわかりやすく解説

監修者: 一級ファイナンシャル・プラニング技能士  川崎 翔太

PMIとは? 意味や重要性、手法をわかりやすく解説

PMIとは、企業がM&Aを行う際に効果を最大化させるための統合プロセスのことです。M&Aによる企業の統合の効果は、PMIによって大きく左右されます。

今回は、M&Aの効果を最大化するPMIの意味や重要性、手法をわかりやすく解説します。企業の経営者の方は、ぜひ参考にしてください。


PMIとは?

まずは、PMIとは何かについて解説します。

PMIの役割

PMIとは「Post Merger Integration(ポスト・マネージャー・インテグレーション)」の略です。企業がM&Aを行う際に、当初に計画したM&Aによる統合効果を最大化させるための統合プロセスを意味します。経営・業務・意識等の統合に関わる全てのプロセスが対象です。

PMIの重要性

PMIのプロセスでは「統合後のマネジメント」や「買収後のシナジー効果」、「企業文化」の違いに注視することが重要になってきます。最初の段階で統合相手についての「企業価値」について把握しておかないと、後々ギャップや企業文化の違いによる軋轢等の思いがけないリスクを負うことになりかねません。PMIでの事前準備の有無によって、統合後の効果が大きく異なります。


PMIの手法

ここからは、PMIの手法について解説します。

経営体制・組織の統合

M&Aによる経営統合をした後の、企業組織の編成や体制、企業のあり方等を検討する必要があります。M&Aの買い手・売り手の経営陣同士が納得していても、従業員から賛同を得られずにトラブルに発展するケースも珍しくありません。経営陣を始めとして、従業員も納得できるような組織編成・意思決定方法を定めることが重要です。

制度の統合

M&Aでは二つ以上の会社が一つになるため、人事・法務・総務関連での制度の統合も必須になります。各制度は企業ごとに異なりますが、特に給与・賞与等の報酬や人事評価制度、退職金制度は従業員のモチベーションに直結する分野です。買い手・売り手の従業員で格差が生まれないよう、考慮する必要があるでしょう。

事業や取引先の精査

事業を統合したことにより得られるシナジーの大きさを充分に考慮したうえで、今後注力すべき事業を策定することも必要です。新規事業の検討や、既存事業でも買い手・売り手の双方で重複している業務があれば、廃止することで事業の効率化を図りましょう。

また、双方の取引先の精査も行わなければなりません。買い手・売り手双方が同業の場合、それぞれ違う取引先から同じ商品を取り寄せる意味はなくなります。注文を1つにまとめて注文のロットを大きくするほど、発注コストが下がる可能性が高くなりますし、発注業務も1回で済みます。今後注力する事業の策定とともに検討を進めるようにしましょう。

業務システムの統合

買い手・売り手の企業それぞれで使っていた商品の仕入れや販売に使う業務システムもM&Aに伴って統合の検討が必要です。ただし、システム関連を統合するにあたっては多額の費用が発生します。

また、導入後の操作方法の周知やマニュアルの策定等にも気を配らなければなりません。業務への影響を充分に吟味したうえで、統合するようにしましょう。

業務評価システムの見直し

統合を機に、従来の業務評価システムを見直し改善を図ることも方法の一つです。たとえば、マネジメントサイクルやKPI(重要業績評価指標)の設定が挙げられます。KPIで設定した目標に対しての進捗度合いを測り、マネジメントサイクルを回していくように整備する等ガバナンスを整えておきましょう。


PMIで失敗する要因

PMIで失敗してしまう代表的なケースをまとめました。

デューデリジェンスの不足

デューデリジェンスとは、「Due Diligence」の略称で、M&Aを実施する際にM&Aの対象企業について詳しく調査を行うことを指します。デューデリジェンスの対象分野は財務・労務・法務等さまざまですが、基本的には全ての分野で行い実態を把握しておく必要があります。

デューデリジェンスによって今まで知らなかった事実が発覚するケースも珍しくありません。財務内容や労務関係に問題がないのに、取引先と訴訟中であることが発覚したケースもあります。

デューデリジェンスを専門家に依頼すると多額の費用がかかります。しかし、経費節約のためにデューデリジェンス経験の浅い自社社員等に任せると、細かい内容を見落としかねません。M&A後に後悔しないために、多少費用がかかっても専門家に依頼することをお勧めします。

不誠実な交渉

M&Aは企業間で買い手・売り手が発生する取引になりますが、実際やり取りするのは互いの経営陣同士です。そのため、お互いに相手企業の考えや意見を尊重する姿勢が重要です。

買い手側の方が事業規模が大きいため、不用意に売り手側に失礼な発言をしてしまい破談になるケースも散見されます。企業間の売買でも交渉するのは人間同士であることを肝に銘じることが大切です。


PMIを成功させるためのポイント

PMIはかなりの時間がかかります。PMIを厳密に行いすぎた結果、M&Aのタイミングを逃してしまうリスクもあります。そのため、ギリギリまで引き延ばしにするのではなく、早めの準備をしておきましょう。

たとえば、M&Aの案件が出た段階で準備を始めておくことで、精査された情報が得られますし、想定外の事が発覚した際も余裕を持って対応することができます。

また、時間の関係で全てを精査するのが難しい場合は予め実施する期間を設けましょう。より重要度の高いものに優先順位を決めて取り組むことでPMIの効率がさらに上がります。


PMIについてのまとめ

PMIとは、企業がM&Aを行う際に効果を最大化させるための統合プロセスのことです。M&Aによる企業の統合の効果はPMIによって左右されるため、事前に十分な準備が必要です。

M&Aの効果を最大化するためには、従業員が納得できる形で組織・経営体制や人事評価制度、各種システムの統合を行わなければなりません。PMIにはかなりの時間がかかりますので、優先順位をきめたうえで余裕を持って対応するようにしてください。


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監修者プロフィール

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川崎 翔太

一級ファイナンシャル・プラニング技能士

東証一部上場金融機関に勤め、以後投信生保販売業務や法人融資業務に従事。

2019年に独学で1級ファイナンシャルプランニング技能士に合格。

個人・法人問わず幅広くライフプランや節税相談を行っておりFP分野全般を得意とする。

現在新たに事業承継・M&A分野の業務も行っており日々活動の幅を広げている。

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