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決算報告書の仕組みを知って、経営に活かそう!

著者:   高橋 彰

決算報告書とは、事業の「成績表」のようなものです。そこには1年間の事業結果が記載されてあり、経営の良し悪しが判断できます。

決算報告書は株主などの外部関係者に報告する書類ですが、経営者自らが分析し、対応策を考えることにより、今後の経営に活かすことができる書類でもあるのです。


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事業の成功には遅れのない経理が必要

経営とは計画→実行→検討(修正)の繰り返しです。ドンブリ勘定を脱却し、こうした経営のサイクルを行うためには、正確な経営データがどうしても必要です。それを作るのが日々の経理であり、決算報告書はそれらの集大成です。
まずは経理を遅れなく行うことが大切です。会計ソフトを使えばスムーズに経理ができますが、税務申告が決算結果をベースに作成する関係もあって、税務の知識がないと判断が難しい場面も少なくありません。
顧問税理士との連携を密にし、タイムリーな経理作りから経営の成長循環を築き上げていきましょう。

貸借対照表と損益計算書から分かること

決算報告書のメインは貸借対照表と損益計算書です。これらの書類からは事業の様々な状況が読み取れます。
例えば、貸借対照表にはお金をどのように調達し、それをどのように使ったのかが表され、資金の健全性が判断できます。また、損益計算書には売上や売上原価、経費、利益などが記載されますが、利益1つをとっても変動費を考慮した限界利益や本業から生まれた経常利益や特別利益などの分析により、経営の安全性、採算性が判断できます。
儲かる仕組み、潰れない仕組みを作るためには、税理士などによる、こうした説明を定期的に受けながら、経営の現状を正しく把握しておくことが何よりも大切になってきます。

決算報告書はどこに「報告」するもの?

株式会社では決算後に株主総会が開催されます。決算報告書はそこで報告され、株主の承認を受ける手続きに使われます。
また、全ての会社は本来、総会後に官報などに決算内容の公告が義務付けられていますが、上場以外の会社が公告することは事実上稀です。
そのため、公告されていない企業との取引に際して、民間の調査機関から決算データを入手する必要が出てきます。取引を受ける企業側もそれを見込んで、調査機関に決算情報を登録するケースが少なくありません。
その他、決算報告書の「報告」としては、銀行融資時に提出が求められ、融資審査の資料となります。また、税務申告書にも添付しますので、税務署の税務審査の資料にもなります。

融資審査で、銀行が一番重視するところ

融資に提出する決算報告書で、銀行が一番注目するのは自己資本比率といわれるものです。
貸借対照表上の自己資本が総資産に対しどの位あるかを示すもので、比率が高いほどよく、一般に30%以上なら倒産しにくい会社と判断されます。自己資本比率が低い会社ほど借入に依存して資金繰りが厳しいと見られるため、銀行も融資を控えるようになるのです。
つまり、自己資本比率の小さい会社は信用されず、この比率が高くなれば会社の信用アップにつながります。
自己資本比率を高めるためには、税引後利益の蓄積である利益剰余金を増加させるか、固定資産や売上債権、在庫などを極力抑えて資産を減らす方法を考えなくてはなりません。

決算書で税務署はココを注目する

税務署は、決算書から決算利益が正しいかどうかを判断します。
例えば、売上から売上原価を差し引いた売上総利益がマイナスなら、期末の在庫が正しいか疑問視されるでしょう。営業損益が大幅な赤字なら役員給与などが過大に計上されているかもしれません。荒利が安定しているはずの業種で、毎年その比率が大きく変わっているなら売上もれなどが疑われます。
意図的に利益をもらす「脱税」は論外ですが、税務特有の処理に気付かずに決算を組んだとしても、税務署はそれを許すことはありません。日頃の顧問税理士のチェックや相談をしっかり受けて、うっかりモレや税務判断の誤りを防ぐことが大切です。

ガイドのポイント

  • 決算報告書で、経営の健全性や安全性が判断できる。
  • 銀行は自己資本比率を重視。改善して信用アップを図ろう。
  • 税務申告では決算利益の正しさと税務特有の処理がポイント。

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著者プロフィール

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高橋 彰

会計事務所・起業コンサル会社にて、起業家支援活動に従事。独立後は、年間100社を越える起業家を支援。事業計画支援、会社設立、資金調達、経理財務、人事労務、法務支援等を得意とする。

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