コピー代の経費は? 勘定科目別に仕訳方法を解説!
部署に関わらず、日々の業務でコピーを取る機会は多いでしょう。
コピー代(印刷代)の勘定科目は状況によって異なるため、経理担当者は適切に仕訳できるよう判断基準を把握しておく必要があります。
この記事では、コピー代の勘定科目と仕訳例を、よくあるシーン別に解説します。
コピー代の勘定科目はさまざま
コピー代(印刷代)の勘定科目の決め方は、法令で定められていません。
そのため、書類をコンビニなどで印刷した場合や、チラシ・パンフレットを印刷した場合など、状況に合わせて適切に仕訳を行う必要があります。
一度使用した勘定科目は、原則としてその後も変更せずに使用することになります。状況別に基本的な仕訳方法を把握しておきましょう。
コピー代の勘定科目とシーン別の仕訳方法
コピー代の勘定科目と仕訳方法を、具体的なシチュエーション別に見ていきましょう。
消耗品費
日常の業務で発生するコピー代については、コピー用紙やトナーを消耗するという点に着目して「消耗品費」とすることが可能です。
<定例会議に利用する資料のコピー代が1,000円発生した場合>
借方 |
貸方 |
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消耗品費 1,000 |
普通預金 1,000 |
雑費
コピーを利用する機会が少なく、コンビニエンスストアなどで数十円程度のコピー代を支払う場合は「雑費」とすることが可能です。
<コンビニエンスストアでコピー代10円を支払った場合>
借方 |
貸方 |
---|---|
雑費 10 |
現金 10 |
広告宣伝費
チラシやポスター等、会社の宣伝に利用する資料をコピーにより作成する場合のコピー代は、広告宣伝目的で発生する費用であることから「広告宣伝費」に計上することが可能です。
<新聞の折込みチラシのコピー代が10,000円発生した場合>
借方 |
貸方 |
---|---|
広告宣伝費 10,000 |
普通預金 10,000 |
印刷製本費
社史や決算書類など、会社として長期に保管することを前提とする書類を大量に作成するために発生したコピー代は、日常の業務で発生する少額のコピー代と区別するために「印刷製本費」に計上することで、その発生額を管理することが可能です。
<社史を100部作成するために100,000円のコピー代が発生した場合>
借方 |
貸方 |
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印刷製本費 100,000 |
普通預金 100,000 |
事務用品費
日常の業務で発生するコピー代は「消耗品費」とするケースが多いですが、コピー用紙やトナー(事務用品)に係る費用として「事務用品費」とすることも可能です。
「消耗品費」とするか「事務用品費」とするかについては、会社のルールにより異なります。
<定例会議に利用する資料のコピー代が1,000円発生した場合>
借方 |
貸方 |
---|---|
事務用品費 1,000 |
普通預金 1,000 |
外注費
プレゼン資料や会議で配布する大量の資料を外部の業者に委託して作成する場合に発生するコピー代は、資料の作成を外部に委託することにより発生するコストであることから、その他に発生した外注に係る費用とともに「外注費」に計上することが可能です。
<学会で利用する資料の作成を外部の業者に委託してコピー代を1,000,000円支払った場合>
借方 |
貸方 |
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外注費 1,000,000 |
普通預金 1,000,000 |
仕入
在庫となる商品ラベルのコピー代は、在庫に計上する必要があるため「仕入」に計上します。
<化粧品在庫の容器に張り付けるラベルのコピー代100,000円を支払った場合>
借方 |
貸方 |
---|---|
仕入 100,000 |
普通預金 100,000 |
通信費
取引先に文書を送付する際に同封する「送り状」をコピーにより作成する場合は、取引先との文通費用として「通信費」に計上することが可能です。
借方 |
貸方 |
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通信費 1,000 |
普通預金 1,000 |
コピー代の勘定科目に関する注意点
前述のとおり、コピー代はケースによって計上する勘定科目が変わります。以下では、コピー代の勘定科目に関する注意点を2つ解説します。
使用する勘定科目を細分化しすぎない
コピー代を仕訳する際は、勘定科目を細分化しすぎないようにしましょう。勘定科目を細分化しすぎると、仕訳が複雑になり、運用が難しくなります。
特に、消耗品費や事務用品費といった、日常の業務で発生するコピー代は、どちらか一つに固定しておくとよいでしょう。
ただし、日常の業務であっても、社内のコピー機の不具合で、一時的に社外のコピー機を使用した場合は、雑費として仕訳をする場合があります。
一度使った勘定科目は原則変更しない
勘定科目は一度決めたら、原則変更してはいけません。経理処理においては、企業会計原則というルールが適用されます。
そのうちの継続性の原則によって、同様の取引については継続して同じルールに基づき仕訳を行わなければなりません。
したがって、会社で発生するコピー取引を整理したうえで、取引のケースと適用する勘定科目について、ルール化が必要です。
担当者によって仕訳が異なることがないように、勘定科目のルールについて、社内共通の業務手順書を作成するとよいでしょう。
面倒なコピー代の仕訳を効率化する方法
コピー代は、日常的な業務の中で頻繁に発生しています。そのため、コピー代の仕訳を人力で行うのは、労力がかかるほか、勘定科目の間違いも起こりやすいでしょう。
以下では、コピー代の仕訳を効率化するための、会計ソフトの活用方法について解説していきます。
会計ソフトを導入し入出金データを自動入力する
コピー代の仕訳入力の効率化のために、会計ソフトを導入するとよいでしょう。会計ソフトに銀行やクレジットカード、電子マネーを連携することで、入出金データの自動入力が可能です。
そのため、特に現金以外の決済が多い企業は、会計ソフトの導入を検討してみてください。
また、会計ソフトは、自動仕訳機能がついているものがおすすめです。自動仕訳機能を使うと、勘定科目が自動で設定されるので、更に仕訳業務を効率化することができます。
会計ソフトで仕訳をパターン化して登録しておく
会計ソフトを導入したら、よく取引される項目について、仕訳をパターン化して登録しておきましょう。
自動仕訳機能がついていても、会社の仕訳のルールと一致しない場合もあります。頻度の多い仕訳パターンを登録しておくと、会計ソフトによるミスが軽減でき、仕訳を間違えた際の修正も容易になります。
自動仕訳機能が搭載されていない会計ソフトの場合は、伝票辞書・仕訳辞書機能を活用しましょう。伝票辞書では主に伝票上で頻度の多い仕訳パターンを、仕訳辞書では主に帳簿上で頻度の多い仕訳を登録できます。
事前に仕訳をパターン化して登録しておくことで、日常的に発生するコピー代の仕訳業務が効率化できます。
会計ソフトのショートカット機能を活用する
コピー代は、ケースごとに勘定科目が異なります。そのため、自動仕訳機能などを使わず、人力で会計ソフトに仕訳入力をする状況もあるでしょう。
その際は、会計ソフトにあらかじめ設定されているショートカット機能を活用することで、効率よく仕訳入力が行えます。
会計ソフトには、コピーと貼り付け、削除と登録など、よく使う操作に対してショートカットキーが割り当てられています。
ショートカットキーは、会計ソフトごとに違いがあるので、事前によく使うものを説明書等で把握しておきましょう。
コピー代の勘定科目についてのまとめ
コピー代の勘定科目は状況によって異なります。用途別に細かく勘定科目を設定することもできますが、事務処理が余分に増えるだけでなく、間違いのもとにもなります。
社内でわかりやすくルールを定め、それに従って適切に仕訳を行いましょう。
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