勘定科目の雑費とは? 似た項目との違いや見直し方法を解説
一言で「経費」と言ってもその内容はさまざまで、毎月固定のものもあれば、臨時的なものもあるでしょう。
この臨時的な経費のうち、明確に勘定科目が定められていないものの仕訳に使うのが「雑費」という勘定科目です。
しかし、どこまでを雑費として計上して良いのか、またどのように記帳すれば良いのか悩むこともあるでしょう。
今回は、雑費とほかの勘定科目との違いや記帳方法、雑費が増えすぎた場合の見直し方を解説します。
勘定科目の雑費とは
勘定科目の「雑費」とは、事業上の費用のうち、ほかの経費に当てはまらないものと定義されています。
参考:国税庁「雑費」
該当の経費がほかの勘定科目のいずれにも該当せず、イレギュラーで比較的少額の場合に雑費を用います。
何でも雑費に計上して良いわけではなく、あくまで適切な勘定科目がない場合に用いるもので、適切な勘定科目を選択できないからといって、「とりあえず」で雑費を使用しないようにしましょう。
のちのち、費用の正確な把握や分析が困難となってしまいます。
雑費として計上する項目
雑費として計上する項目の一例は、下記のとおりです。
前述のとおり、適切な勘定科目がなく、比較的イレギュラーで少額のものが対象となります。
- 突発的な清掃料
- ごみ処理代
- 引っ越し代
- 少額のキャンセル料・違約金
- 有料サービスの月会費や、クレジットカードの年会費
- 証明書の手数料
- 神社のお守り代
- オフィスに設置する花のような装飾
勘定科目の判断に迷う費用があった場合、まず用いている会計システムでほかに適切な費用がないか検討することがポイントです。
そのうえで、どの費用項目にも該当しない場合に雑費を用います。
最近の会計システムや会計ソフトはかなり細かいレベルで勘定科目が設定されているため、イレギュラーな費用が雑費に計上される傾向です。
もし雑費科目の金額がほかの勘定科目に比べて突出して多い場合、適切な勘定科目が使用されていない可能性があります。
事例で学ぶ雑費の仕訳例
雑費の仕訳例を、2つの事例とともに学びましょう。
事務所の清掃代金の仕訳例
事務所の清掃代金として、5万円を掛けで支払った場合の仕訳例を解説します。
事務所の清掃代のように日常的に発生しない費用で、「清掃費」という勘定科目が会計システムにない場合は雑費を使用します。
この例では現金払いではなく請求書払いを想定しているため、相手勘定科目は「未払金」となります。
ポイントは仕訳の概要欄や摘要欄に「事務所清掃費」と記載し、雑費のなかでも何の費用だったか分かるようにすることです。
借方 |
貸方 |
|||
---|---|---|---|---|
科目 |
金額 |
科目 |
金額 |
概要 |
雑費 |
50,000 |
未払金 |
50,000 |
事務所清掃費 |
事務所に飾る花の代金の仕訳例
事務所に飾る花の代金として、1万円を現金で支払ったケースです。
少額で直接的なビジネスの費用でない場合、雑費を使用します。
仕訳の概要や摘要欄には上記例と同じく「事務所花代」と明記し、何に対する雑費だったか分かるようにします。
借方 |
貸方 |
|||
---|---|---|---|---|
科目 |
金額 |
科目 |
金額 |
概要 |
雑費 |
10,000 |
現金 |
10,000 |
事務所花代 |
雑費と似た項目との違い
勘定項目には、「消耗品費」「雑損失」もあります。
一見、雑費と字面や意味合いが似ていますが、内容は全く異なります。
消耗品費との違い
消耗品費は、以下のように定義されます。
- 帳簿・文房具・用紙や包装紙といった事務用品や、ガソリンなどの消耗品の購入費
- 什器備品のうち、使用可能期間が1年未満または取得価額10万円未満のものの購入費
参考:国税庁「消耗品費」
そのため上記に分類される費用は雑費ではなく、消耗品費に計上します。
雑損失との違い
雑損失は、災害・盗難・横領が原因で資産に受けた損失額のうち、災害が生じた年の分の雑損控除として控除しきれない金額が該当します。
なお、ここで言う「資産」に、以下のような生活に通常必要でないものは含まれません。
- 別荘
- 骨とう品
- 事業用以外の競走馬
雑費が多い際の見直し方法
細かく仕訳をしても雑費が多くなる場合、いくつかの方法を試すことで適切な金額にできる場合があります。
ほかの勘定科目としての計上を検討する
雑費が多い場合、まず雑費の中身を精査し、ほかに該当する勘定科目がないか調べます。
特に雑費と間違えやすい勘定科目として、以下が挙げられます。
- 消耗品費
- 新聞図書費
- 寄付金
- 通信費
例えば、ノートやペン、コピー用紙などの事務用品は雑費でなく消耗品費で計上します。
雑費を精査できるようにするため、雑費を計上する際は仕訳の概要や摘要に何の費用か明記すると良いでしょう。
精査した結果、ほかの勘定科目が適切であれば正しい勘定科目に振り替えます。
対前月や対前年同月で増減分析をする
別のアプローチとして、雑費科目を対前月や対前年同月で増減分析する手法も有効です。
ほかの月の雑費と比較することで、雑費の異常値を把握できます。
仕訳ミスで雑費に計上されたものも、発見できるでしょう。
雑費のまとめ
雑費は事業の経費のうち、該当する勘定科目がないものに使用します。しかし無闇に使うと、支出を正確に把握できません。
とはいえ毎回雑費の精査をしたり、増減分析をしたりするのも面倒なものです。
これを機に、テンプレートやマニュアルを活用して会計業務の効率化を始めてはいかがでしょうか。
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