定型約款書き方コラム その2_利用規約の作り方
利用規約の作り方_その2
⑤ID、パスワードの管理
利用者が自身で設定するIDやパスワードの管理については利用者の自己責任であることを規定しています。IDやパスワードは自己管理が甘かったりすると、外部に流出してしまったり、何らかの方法で第三者に乗っ取られてしまうということがありえます。
自己管理を行うべきIDやパスワードが不正に使用されたような場合でも、サービスを提供する事業者が責任を負うことがないようにしておきます。
⑥禁止事項
利用者が悪意をもって登録を行い、サービスにダメージを与えるような場合や、不正な目的でサービスを利用したり、他人の名誉やプライバシーを侵害するような内容の投稿がなされたりといったこと発生することがないように、禁止事項を明確にしておきます。
しかし、単に禁止事項を列挙するだけではあまり意味がありません。そこで、ここで記載された禁止事項に該当する場合には、次の条項で利用の制限や登録の抹消を行うことができるようにします。
⑦利用制限と登録の抹消
利用者による違法な行為や問題のある行為、虚偽の申請などがあった場合に、サービスを提供している事業者が、利用者の使用制限を行ったり、登録の抹消を行ったりすることができるようにする規定です。
こういった規定を設けておかなければ、違法な行為や問題のある行為が発生したような場合、事態を収めることが難しくなってしまいます。
⑧免責事項
ここでは、サービスの提供に関してサービス提供事業者が負うべき責任の範囲を定めています。責任の上限を定めておくことで、提供しているサービスの内容に比べて大きすぎる責任を負うことがないようにすることができます。
更に、利用者と第三者との間に発生した紛争についても、当事者間で解決すべきで、サービスの提供事業者が責任を負うことがないようにもしてあります。
⑨サービス内容や規約の変更
事業の内容や、新たな事情が生じたことによる規約の変更について、その都度事業者側から全ての利用者との間で交渉し、合意を得るとなると多くの利用者がいる場合などはとても困難になります。
ここでは、そういった変更については事前の了解を得ることなく、変更することが可能となるようにしておきます。実際に内容や変更が生じる場合には、事前に告知することも必要です。
⑩サービスの停止
一時的なサービスの停止が事前にわかっている時は、お知らせなどで利用者に告知することも可能ですが、風水害や地震、システム上のトラブル発生、メンテナンスの関係などで急遽、一時的にサービスを停止しなければならないようなことがあったような場合にも利用者から事前の了解を得ることなくサービスを一時停止することができるようにしておきます。
また、ここでもサービスの停止に伴って発生した利用者側の損害についても免責の規定を設けてあります。
⑪準拠法と裁判管轄
利用者との間でトラブルが発生し、訴訟になってしまうこともありえます。インターネット上のサービスは、日本だけではなく海外でも対応できる場合がほとんどです。
準拠法とは、「どこの国の法律が適用されるか」ということです。日本に本社がある会社などは、一般的に日本の法律が適用されるほうが有利です。また、裁判となった場合に、どこの裁判所で争うか(これを裁判管轄といいます)について、できれば「日本法」で「本店所在地を管轄する裁判所」が有利になることは間違いありません。利用規約だけではなく、通常の契約であっても、事前に準拠法と裁判管轄を決めておくことができます。
ここでは、日本の法律を準拠法として、本店所在地を管轄する裁判所を裁判管轄とする形で作ってみました。