このページはJavaScriptを使用しています。JavaScriptを有効にして、対応ブラウザでご覧下さい。

源泉徴収票の見方と記載内容を分かりやすく解説

監修者: 税理士・米国税理士・認定心理士  竹中 啓倫

源泉徴収票の見方と記載内容を分かりやすく解説

源泉徴収票は、収入や所得税の納税額などを記した書類です。確定申告や転職などの場面で必要になるものです。

ここでは、源泉徴収票の内容や見方について、詳しく解説していきます。


源泉徴収票とは?

まずは、源泉徴収票とはどのようなもので、どのようなときに交付するものなのかを見ていきましょう。

源泉徴収票とは

源泉徴収票とは、給与や報酬の支払いを行う人が、誰に対していくら支払い、源泉徴収した所得税額がいくらなのかを証明する書類です。

また、給与や報酬を支払われた人は、源泉徴収票を税務署に提出することが義務づけられています。

源泉徴収票が作成されるのはいつ?

源泉徴収票の交付が必要な場面には、以下の3つが挙げられます。

1.給与所得に該当する場合

2.退職所得に該当する場合

3.公的年金(雑所得)に該当する場合

それぞれ見ていきましょう。

1.給与所得に該当する場合

給与所得に該当する支払いには、源泉徴収票を交付する必要があります。

源泉徴収票には、1月1日から12月31日までに支給された給与と、それに対応する源泉徴収税額が記載されます。確定申告では、12月31日までに支給される給与について申告するため、源泉徴収票は翌年1月31日までに交付しなければなりません。

また、退職した人に対しては、退職後1か月以内に源泉徴収票を交付しなければなりません。このとき交付した源泉徴収票は、退職者の次の勤務先に提出されます。

2.退職所得に該当する場合

退職に際して退職金を支払う場合、源泉徴収票を交付する必要があります。退職金を受け取った人が確定申告する際には、このとき交付された源泉徴収票が必要となります。

3.公的年金(雑所得)に該当する場合

公的年金の支払いに際しても、源泉徴収票の交付が必要です。源泉徴収票には、1月1日から12月31日までに支給される公的年金と、それに対応する源泉徴収税額が記載されています。確定申告では必要になります。


源泉徴収票の見方について

源泉徴収票に記載されている事柄には、以下の4つがあります。

1.支払金額

2.給与所得控除後の金額

3.所得控除の額の合計額

4.源泉徴収税額

それぞれ見ていきましょう。

1.支払金額

「支払金額」の欄には、支払いされた金額の総額が表記されています。ただし、所得税が課税されない交通費などは除かれます。

2.給与所得控除後の金額

「給与所得控除後の金額」の欄には、文字どおり、支払金額から給与所得控除額を差し引いた金額が記載されます。給与所得控除額は55万~195万円で、支払総額によって異なります。詳しくは以下の表を参照してください。

給与等の収入金額
(給与所得の源泉徴収票の支払金額)

給与所得控除額

1,625,000円まで

550,000

1,625,001~1,800,000円

収入金額×40%-100,000

1,800,001~3,600,000円

収入金額×30%+80,000

3,600,001~6,600,000円

収入金額×20%+440,000

6,600,001~8,500,000円

収入金額×10%+1,100,000

8,500,001円以上

1,950,000円

出典:国税庁「No.1410 給与所得控除

3.所得控除の額の合計額

「所得控除の額の合計額」の欄には、所得税を計算する上で、控除される金額の合計を記載します。控除の内容は以下のとおりです。

対象となる人

控除

概要

金額

家族などに対して支援を行っている場合に適用となる控除

障害者控除

本人もしくは家族が障害者である場合に受けられる控除

最大75万円

※障害の程度による

ひとり親控除

結婚しておらず、子どもがおり、合計所得金額5百万円以下のときに受けられる控除

35万円

寡婦(寡夫)控除

夫と死別して、扶養家族がおり、合計所得金額が5百万円以下で、なおかつひとり親控除に当てはまらないときに受けられる控除

27万円

配偶者控除

納税者本人の合計所得金額が1千万円以下で、所得金額が48万円以下の配偶者がいる場合に受けられる控除

最大48万円(本人の所得金額と、配偶者の年齢により変動)

配偶者特別控除

納税者本人の合計所得金額が1千万円以下で、所得金額が48万~133万円の配偶者がいる場合に受けられる控除

最大38万円(配偶者の所得により変動)

扶養控除等

扶養する家族がいる場合に受けられる控除

最大63万円

※扶養親族の年齢、同居の有無などで異なる

自身が行った金銭支払いなどに対する控除

雑損控除

災害・盗難・横領などの被害を受けた際に受けられる控除

以下のうち金額が多い方


(差引損失額)(総所得金額等)×10%

(差引損失額のうち災害関連支出の金額)-5万円

医療費控除

医療費が一定額を超えた際に受けられる控除

(実際に支払った医療費の合計金額-保険金などで補填される金額)-10万円

社会保険料控除

社会保険料を支払った場合に受けられる控除

支払った保険料の同額

小規模企業共済等掛金控除

小規模企業共済などの掛金を支払った場合に受けられる控除

支払った掛金の同額

生命保険料控除

生命保険料、介護保険料、個人年金保険料を支払った場合に受けられる控除

最大12万円

寄附金控除等

特定の団体に寄付をした場合に受けられる控除

以下のうち金額が少ない方から2千円を差し引いた金額


・その年に支出した特定寄附金の額の合計額

・その年の総所得金額などの40%相当額

自身の状況に対して受けることができる控除

勤労学生控除

働きながら学校に通っている学生(勤労学生)が受けられる控除

※ただし、合計所得額が75万円以下などの範囲条件がある 

27万円 

基礎控除

合計所得金額2千5百万円以下であれば誰でも受けられる控除

48万円

※合計所得額に応じて異なる 

4.源泉徴収税額

「源泉徴収税額」の欄には、1年間に納める所得税額を記載します。

給与所得控除後の金額-所得控除の額の合計額✕所得税の税率

この計算式によって導き出されます。

なお、所得税は超過累進課税のため、所得金額が増えるに従って税率は増加します。また、令和19年までは、復興特別所得税が2.1%付加されます。


源泉徴収票についてのまとめ

源泉徴収票は、個人の所得税を計算するために重要な書類で、確定申告を行う際にも必要です。また、従業員が他社に転職する際にも交付しなければなりません。

この記事に関連する最新記事

おすすめ書式テンプレート

書式テンプレートをもっと見る

監修者プロフィール

author_item{name}

竹中 啓倫

税理士・米国税理士・認定心理士

上場会社の経理部門で個別決算を中心とした決算業務に従事する傍ら、竹中啓倫税理士事務所を主宰する。
税理士事務所では、所得税・法人税を中心に申告業務を行っている一方で、外国税務に関するセミナー講師を行っている。
心理カウンセラーとして、不安を抱える人々に対して寄り添って、心の不安に答えている。
税理士会の会務では、名古屋税理士協同組合理事を務める。

この監修者の他の記事(全て見る

bizoceanジャーナルトップページ