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年末調整の扶養控除とは? 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書についてわかりやすく解説

著者: 税理士  川邉 憲一

年末調整の扶養控除とは? 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書についてわかりやすく解説

今回取り上げるのは、扶養控除。これは、納税者に所得税法上の控除対象扶養親族となる人がいる場合には、一定の金額の所得控除が受けられるというものです。

扶養控除以外にも、「障害者控除」「寡夫控除」「ひとり親控除」などがあります。

本コラムでは、扶養控除に必要な申請書や必要書類について解説します。


1.給与所得者の扶養控除等(異動)申告とは

給与の支払いを受ける人(給与所得者)が、その給与について扶養控除などの諸控除を受けるために行う手続きです。

給与等の支払者に、その年の最初に給与の支払いを受ける日の前日(中途就職の場合には、就職後最初の給与の支払いを受ける日の前日)までに提出します。

なお、当初提出した申告書の記載内容に異動があった場合には、その異動の日後、最初に給与の支払いを受ける日の前日までに、異動の内容などを記載した申告書を提出します。

また、非居住者である親族に係る扶養控除または障害者控除の適用を受ける場合には、その年最後に給与の支払いを受ける日の前日までに、その親族と生計を一にする事実を記載したうえで提出します。

年末調整の時期になりますと、次年度の扶養控除等(異動)申告書と当年度の保険料控除申告書、配偶者控除申告書、基礎控除申告書を提出しております。

当年度の扶養控除申告書に異動(扶養親族から外れる、扶養親族が増えるなど)がある場合は、担当部署に事実があったときからすぐに、記載の変更をするようにしてください。


2.扶養控除

扶養控除とは、納税者に所得税法上の控除対象扶養親族となる人がいる場合には、一定の金額の所得控除が受けられるというものです。

控除対象扶養親族とは、扶養親族のうち、その年の12月31日現在の年齢が16歳以上の人をいいます。

控除額は、扶養親族の年齢や同居の有無などにより、下の表のとおりです。

区分 控除額
一般の控除対象扶養親族 38万円
特定扶養親族 63万円
老人扶養親族 同居老親等以外の者 48万円
同居老親等 58万円

(注)同居老親等の「同居」については、病気の治療のために入院していることで納税者などと別居している場合は、その期間が結果として1年以上といった長期にわたるような場合であっても、同居に該当するものとして取り扱って差し支えありません。

ただし、老人ホームなどへ入所している場合には、その老人ホームが居所となり、同居しているとはいえません。

①扶養控除の対象者

扶養親族とは、その年の12月31日(納税者が年の中途で死亡または出国する場合は、その死亡または出国の時)の現況で、次の4つの要件のすべてに当てはまる人です。

(注)出国とは、納税管理人の届出をしないで、国内に住所および居所を有しないこととなることをいいます。

  1. 配偶者以外の親族(6親等内の血族および3親等内の姻族をいいます)または都道府県知事から養育を委託された児童(いわゆる里子)や市町村長から養護を委託された老人であること
  2. 納税者と生計を一にしていること
  3. 年間の合計所得金額が48万円以下(令和元年分以前は38万円以下)であること(給与のみの場合は給与収入が103万円以下)
  4. 青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払いを受けていないこと、または白色申告者の事業専従者でないこと

②国外居住親族の扶養控除等の適用について

給与等または公的年金等の源泉徴収および給与等の年末調整において、非居住者である親族(以下「国外居住親族」といいます)に係る扶養控除、配偶者控除、障害者控除または配偶者特別控除(以下「扶養控除等」といいます)の適用を受ける居住者は、その国外居住親族に係る「親族関係書類」や「送金関係書類」(これらの書類が外国語で作成されている場合には、その翻訳文を含みます)を源泉徴収義務者に提出、または提示する必要があります。

(1)親族関係書類

「親族関係書類」とは、次のAまたはBのいずれかの書類で、国外居住親族が居住者の親族であることを証するものをいいます。

  • A. 戸籍の附票の写しその他の国又は地方公共団体が発行した書類及び国外居住親族の旅券(パスポート)の写し
  • B. 外国政府又は外国の地方公共団体(以下「外国政府等」といいます)が発行した書類 (国外居住親族の氏名、生年月日及び住所又は居所の記載があるものに限る)

(2)送金関係書類

「送金関係書類」とは、次の書類で、居住者がその年において国外居住親族の生活費または教育費に充てるための支払いを必要の都度、各人に行ったことを明らかにするものをいいます。

  • A. 金融機関の書類又はその写しで、その金融機関が行う為替取引により居住者から国外 居住親族に支払いをしたことを明らかにする書類
  • B. いわゆるクレジットカード発行会社の書類又はその写しで、国外居住親族がそのクレジットカード発行会社が交付したカードを提示してその国外居住親族が商品等を購入したこと等により、その商品等の購入等の代金に相当する額の金銭をその居住者から受領した、又は受領することとなることを明らかにする書類

3.障がい者控除

納税者自身、同一生計配偶者または扶養親族が所得税法上の障害者に当てはまる場合には、一定の金額の障害者控除を受けることができます。

なお、障害者控除は、扶養控除の適用がない16歳未満の扶養親族を有する場合においても適用されます。

区分 控除額
障害者 27万円
特別障害者 40万円
同居特別障害者(注) 75万円

(注)同居特別障害者とは、特別障害者である同一生計配偶者または扶養親族で、納税者自身、配偶者、生計を一にする親族のいずれかとの同居を常況としている人です。

障害者控除の対象となる人の範囲

障害者控除の対象となるのは、精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある人、児童相談所、知的障害者更生相談所、精神保健福祉センター、精神保健指定医の判定により、知的障害者と判定された人、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の規定により精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている人などに該当する場合です。


4.寡婦控除

寡婦に該当する場合は、寡婦控除を受けることができます。

寡婦控除の控除額は27万円です。

寡婦とは、原則としてその年の12月31日の現況で、「ひとり親」に該当せず、次のいずれかに当てはまる人です。納税者と事実上婚姻関係と同様の事情にあると認められる一定の人がいる場合は、対象となりません。

  1. 夫と離婚した後婚姻をしておらず、扶養親族がいる人で、合計所得金額が500万円以下の方
  2. 夫と死別した後婚姻をしていない人または夫の生死が明らかでない一定の人で、合計所得金額が500万円以下の人

5.ひとり親控除

納税者がひとり親であるときは、一定の金額の所得控除を受けることができます。これをひとり親控除といいます。

ひとり親控除の控除額は35万円です。

ひとり親とは、原則としてその年の12月31日の現況で、婚姻をしていないことまたは配偶者の生死の明らかでない一定の人のうち、次の3つの要件のすべてに当てはまる人です

  1. その人と事実上婚姻関係と同様の事情にあると認められる一定の人がいないこと
  2. 生計を一にする子がいること
    この場合の子は、その年分の総所得金額等が48万円以下で、他の人の同一生計配偶者や扶養親族になっていない人に限られる
  3. 合計所得金額が500万円以下であること

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著者プロフィール

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川邉 憲一

税理士

1975年茨城県生まれ。1998年早稲田大学社会科学部卒業。2006年税理士試験合格。2007年税理士登録。2009年大原大学院大学会計研究科卒業。2016年行政書士登録。川邉憲一税理士事務所所長。

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