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パソコンの勘定科目と仕訳方法を金額別・ケース別に解説!

パソコンの勘定科目と仕訳方法を金額別・ケース別に解説!

パソコンの勘定科目は購入時の金額や状況によって複数あります。また、仕訳方法も異なるため、正しく処理を行うには知識が必要です。

例外的な処理方法もあり、仕訳方法について詳しく理解しておく必要があります。

そこでこの記事では、パソコンの勘定科目や仕訳方法をさまざまなケースで解説するので、ぜひ参考にしてみてください。


この記事の監修者
しずおか経営会計 税理士深尾宏事務所  税理士 

パソコンの勘定科目は購入金額によって異なる

パソコンを購入したときの勘定科目は金額によって異なります。

ここでは、金額別に勘定科目と処理方法を解説するので、参考にしてみてください。

10万円未満のパソコン

10万円未満のパソコンを購入した場合の勘定科目は、消耗品費や事務用品費で全額を処理できます。

消耗品費と事務用品費はどちらでも構いません。

例えば、7万円のパソコンを購入したときの仕訳例は以下のとおりです。

借方

貸方

消耗品費

70,000円

現金

70,000円

10万円以上20万円未満のパソコン

10万円以上20万円未満のパソコンを処理する場合、以下の3つの仕訳方法があります。

  • 原則的な処理
  • 一括償却資産での処理
  • 少額減価償却制度を利用した処理

それぞれの仕訳方法について紹介します。

原則的な処理

10万円以上のパソコンを購入した場合、原則的には資産として考えます。そのため、勘定科目は「備品」や「工具器具備品」などが適切です。

例えば、18万円のパソコンを購入したときの仕訳例は以下のとおりです。

(取得時)

借方

貸方

備品

180,000円

現金

180,000円

(決算時)

期首が4月、期末が3月の会社が、2月に購入した場合(定額法の場合)

借方

貸方

減価償却費

7,500円

備品

7,500円

一括償却資産での処理

一括償却資産とは、取得価額が20万円未満の資産に適用できる制度です。

一括償却資産は3年で減価償却するため、1年ごとに3分の1ずつ減価償却します。

原則的な処理をする場合、備品パソコンの耐用年数は4年となりますが、一括償却資産で処理をする場合には、3年で償却です。

原則的な処理による場合、パソコンの減価償却費は、購入した月に応じて月割計算します。

期首が4月、期末が3月の会社が2月に購入した資産の場合は、2月から3月までの2カ月分だけ減価償却を行うこととなります。

減価償却費は7,500円(=180,000÷4年×2月/12月、定額法の場合)です。

一方、一括償却資産では月割計算は行いません。

年度末の3月に購入したとしても全体の1/3の減価償却費60,000円(=180,000÷3年)を計上することとなります。

一括償却資産は、償却資産税の対象外となるため、固定資産税の計算から外れるメリットもあります。(固定資産税の節税メリット)

18万円のパソコンを購入したときの仕訳例は、以下のとおりです。

(取得時)

借方

貸方

一括償却資産

180,000円

現金

180,000円

(決算時)

借方

貸方

減価償却費

60,000円

一括償却資産

60,000円

少額減価償却制度を利用した処理

少額減価償却制度とは、青色申告をしていて従業員数が500人以下、資本金が1億円以下の法人である中小企業に適用できる特例です。

取得価額が30万円未満のパソコンであれば少額減価償却制度を利用すると、全額費用に計上することができます。

個人事業主の場合でも、青色申告をしていて従業員が1,000人以下であれば適用可能です。

この制度を利用する際は、取得時に資産として計上し、そのあとに減価償却費として全額計上します。

18万円のパソコンを購入したときの仕訳例は、以下のとおりです。

借方

貸方

備品

180,000円

現金

180,000円

借方

貸方

減価償却費

180,000円

備品

180,000円

なお、取得時に消耗品費や事務用品費などの科目で経費計上することもできます。

この場合には、摘要に少額減価償却資産であることが分かるように記しておきましょう。

20万円以上30万円未満のパソコン

20万円以上30万円未満のパソコンを購入したときも同様に、原則的な処理のほか、中小企業であれば少額減価償却制度を利用できます。

26万円のパソコンの計上を原則的な処理で行う場合、仕訳例は以下のとおりです。

(取得時)

借方

貸方

備品

260,000円

現金

260,000円

(決算時)

期首が4月、期末が3月の会社が、10月に購入した場合(定額法の場合)

借方

貸方

減価償却費

32,500円

備品

32,500円

また、条件に当てはまる中小企業が少額減価償却制度を使う場合の仕訳例は、以下のとおりです。

借方

貸方

備品

260,000円

現金

260,000円

借方

貸方

減価償却費

260,000円

備品

260,000円

なお、取得時に消耗品費や事務用品費などの科目で経費計上することもできます。

この場合には、摘要に少額減価償却資産であることが分かるように記しておきましょう。

30万円以上のパソコン

30万円以上のパソコンを購入した場合は、固定資産として計上します。「備品」や「工具器具備品」として処理しましょう。

40万円のパソコンを購入した場合の仕訳例は以下のとおりです。

(取得時)

借方

貸方

備品

400,000円

現金

400,000円

(決算時)

期首が4月、期末が3月の会社が、10月に購入した場合(定額法の場合)

借方

貸方

減価償却費

50,000円

備品

50,000円


【ケース別】パソコンの勘定科目と仕訳方法

パソコンの勘定科目と仕訳方法は、状況によっても変わります。ここではケース別に仕訳方法を紹介します。

複数台購入した

パソコンを複数台購入した場合は、単価に応じて処理方法が異なります。

例えば、7万円と26万円のパソコンを購入した場合、前者は消耗品費として計上し、後者は備品、または一括償却資産、あるいは少額減価償却資産として計上します。

複数のパソコンを購入しても、それぞれの処理方法は、それぞれの単価に合わせて行いましょう。

分割払いで購入した

分割払いで購入したとしても、パソコンの経理処理の方法は総額で判定します。

25万円のパソコンを5回払いで購入する場合、1回あたりの支払額は5万円(10万円以下)ですが、総額で判定するため、償却資産(原則的な処理、一括償却資産、少額減価償却資産のいずれか)として計上しなければいけません。

分割払いの場合は、支払いのたびに振替処理を行いましょう。

原則的な処理の場合は、以下のとおりです。

借方

貸方

備品

250,000円

未払金

250,000円

引き落としが発生したときは、以下のとおりです。

借方

貸方

未払金

50,000円

預金

50,000円

保証料を別途支払った

パソコンの購入時に保証料を別途支払うケースもあるでしょう。保証料は全額を費用として計上できません。

長期保証であれば期間経過に合わせて処理を行います。

9万円のパソコンを購入し、別途3年間で1万5,000円の保証に加入した場合の仕訳例は、以下のとおりです。

借方

貸方

消耗品費

90,000円

現金

90,000円

長期前払費用

15,000円

現金

15,000円

決算時の仕訳例は、以下のとおりです。

借方

貸方

修繕費

5,000円

長期前払費用

10,000円

前払費用

5,000円

周辺機器を購入した

パソコンと同時に周辺機器を購入する場合、例えばデスクトップ型パソコンの場合では、本体、モニター、キーボード、マウスがないと使うことができません。

これらを1単位とし、合計価額を取得価額として処理方法を判定します。

その総額が10万円以下であれば消耗品費、20万円未満であれば、原則処理、一括償却資産または少額減価償却制度で処理をします。

例えば、パソコン15万円、ディスプレイモニター2万円、キーボードとマウスで1万円を購入した場合です。

仕訳例は原則的な処理をする場合、以下のとおりです。

借方

貸方

備品

180,000円

現金

180,000円

ソフトウェアを同時購入した

ソフトウェアを同時購入した場合も、パソコンと合わせた金額で処理を行います。

パソコンを購入した後に別途ソフトウェアを購入したのであれば、それぞれの単価で計上可能です。

8万円のパソコンと3万円のソフトウェアを同時に購入した際の、仕訳例は以下のとおりです。合計で10万円以上なので、固定資産として計上します。

借方

貸方

備品

110,000円

現金

110,000円

パソコンとソフトウェアを別で購入した際の、仕訳例は以下のとおりです。どちらも10万円以下なので、費用として計上します。

借方

貸方

消耗品費

80,000円

現金

80,000円

消耗品費

30,000円

現金

30,000円


パソコンの消費税の勘定科目

パソコンの消費税は、企業が採用している経理方式によって異なります。

ここでは、2つの経理方式について解説します。

税抜経理方式

自社が税抜経理方式を採用している場合、パソコンが一括償却資産に該当するのか、少額減価償却資産に該当するかの金額の判断は、税抜価額で判定します。

つまり税抜価格が20万円未満であれば一括償却資産に該当し、税抜価格が30万円未満であれば少額減価償却資産に該当します。

(取得時)

借方

貸方

備品

280,000円

現金

308,000円

仮払消費税

28,000円

税込経理方式

税抜価格が28万円のパソコンの場合、税抜経理方式では少額減価償却資産に該当します。

税込経理方式では税込価格が308,000円(=税抜価格280,000円+消費税28,000円)となるので、少額減価償却資産に該当しないです。

よって、税抜経理方式の方が少額減価償却資産、一括償却資産に計上することができる範囲が広くなることがわかります。

少額減価償却資産の特例の限度額は300万円です。

30万円未満の資産すべてがその年の経費に計上できるわけではないので注意しましょう。

なお、年の途中に新規開業するなど会計期間が1年未満の場合には、300万円を月数按分した額が限度額となります。

(取得時)

借方

貸方

備品

308,000円

現金

308,000円

参考:国税庁HP タックスアンサー
No.5408 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例


パソコンの勘定科目・仕訳に関する注意点

ここでは、パソコンの勘定科目・仕訳に関する注意点を紹介していきます。

償却資産税の申告

事業を行っている者は、各市町村に対して、償却資産税の申告を行う必要があります。(期限は1月31日)

なお、償却資産税の資産に含めるものと含めないものがありますので、注意しましょう。

10万円未満で費用処理したもの、20万円未満で一括償却資産にしたものは、償却資産税の資産に含める必要がありません。

一方、少額減価償却資産は、償却資産税の申告の対象になりますので、償却資産税の申告を行う際に計上漏れとならないようにしましょう。

特例を受ける場合は、申告書に必要な別表を添付する

一括償却資産の適用を受ける場合には、適正な会計処理をしたうえで、法人税の申告書に別表16(6)一括償却資産の損金算入に関する明細書を添付します。

また、少額減価償却資産の特例の適用を受ける場合には、適正な会計処理をしたうえで、法人税の申告書に別表16(7)少額の減価償却資産の取得価額に関する明細書を添付します。

別表の添付がなかった場合、特例の適用が否認されることがありますので、忘れずに添付しましょう。

帳簿書類等の保管期間

帳簿や領収書等の書類は、7~10年間保存しなければなりません。

参考:国税庁HP タックスアンサー
No.5930 帳簿書類等の保存期間


パソコンの勘定科目についてのまとめ

パソコンの勘定科目や仕訳方法や、取得価額や消費税の処理方法によって異なります。購入時の状況や金額によっても処理が変わるので、あらかじめ把握して適切な処理を行いましょう。

また、特例を受ける際の注意点などもあるため、正しい経費処理を行えるようにこの記事を参考にしてみてください。


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監修者プロフィール

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深尾 宏

しずおか経営会計 税理士深尾宏事務所 税理士

大学卒業後、静岡銀行へ入社、シンクタンク、東京のベンチャー企業、食品メーカーを経て、税理士法人に勤務した後、独立。

銀行融資、製造、営業、販促など数々の現場をリアルに体験している税理士。主体的な提案により、クライアントの立場を理解して話ができると評価が高い。

キャッシュを増やすために、どうしていけばよいのか、経営計画、節税提案、資金調達、銀行対策といったスキルを使って、財務コンサルとして、クライアントをより強い企業に成長させるためのサポートをしている。

多くの会社において、報酬以上の節税効果や利益の向上、資金繰り改善といった効果を実現している。

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