領収書の宛名「上様」とは? 経費精算をする際の注意点も解説
領収書の宛名に、社名や部署名、個人名ではなく「上様」と書かれている場合があります。「上様」とは、相手の正式な名称や名前を避けて簡易的に用いられる宛名です。
一般的に、宛名に「上様」と記載された領収書でも経費精算は可能とされています。企業によっては禁止している場合もあるため、自社の規定を確認すると良いでしょう。
「上様」の由来や「上様」と書かれた領収書を経費精算する際の注意点を解説します。
領収書の宛名に書かれる「上様」とは?
「上様(うえさま)」とは、相手の正式な名称や名前を避けて簡易的に用いられる宛名で、目上の人を指す呼称です。
上様の由来には、2つの説があります。1つは、江戸時代に天皇や将軍を「上様」と呼ぶ慣習があり、これがお客様に対する敬意の表れとして採用されたとする説です。
もう1つは「上得意様」や「上客様」を略して生まれたもので、特に重要な顧客への尊敬の念を込めて使用されているという説です。
いずれにせよ、丁重に扱いたい人に対して使う言葉と考えると良いでしょう。
「上様」でも経費精算はできる?
宛名が「上様」の領収書でも、経費精算は原則可能です。
ただし一部、領収書として認めてもらえないケースもあります。自社や取引先の基準を確認し、慎重な対応に努めてください。
領収書の宛名が「上様」でも経費精算はできる
領収書の宛名が「上様」であっても、経費精算は原則として可能です。本来の事業のために使われたのであれば、宛名が具体的な社名でなくても問題ないのです。
所得税法や法人税法といった法律でも、「上様」の宛名を禁止する条文はありません。
宛名が「上様」だと使えない場合
ただし企業によっては、宛名が「上様」の領収書は認められないケースもあります。本当に仕事上の支出だったのかが、判別できないためです。
もし「上様」の宛名の領収書を認めてしまうと、社内の誰が、何の用途で使用した経費なのかが特定しづらくなります。
特に社員数の多い大規模な企業では、誰が提出した領収書なのか調査するだけでも一苦労です。こうしたことから、宛名が社名になっている領収書しか認められないこともあります。
宛名が「上様」でも問題ないか、自社の規定を確認しておきましょう。
「上様」を領収書の宛名にするのは避けたほうが良い?
領収書の宛名は、会社の「正式名称」で発行してもらうことが望ましいでしょう。
「上様」はあくまでも、宛名を省略する際に使われる宛名です。本来は、支払った会社や個人事業主の正確な名前を記載しなければなりません。
また、たとえ社内では認められていても、税務調査時にトラブルの原因になる可能性もあります。
少々手間はかかりますが、店頭でメモを借りて宛名を書いたり、社名や屋号が入った名刺を見せたりして、正式名称で書いてもらってください。
上様の領収書を経費精算する場合の注意点
宛名が「上様」の領収書を経費精算する際、以下の点も心がけましょう。
- 補足資料を用意する
- 訂正は発行元にお願いする
もしこういった点を怠ってしまうと思わぬトラブルになる可能性もあるため、丁寧に対応してください。
補足資料を準備する
「上様」の領収書を経費精算する場合、支出が事業に使われたことを証明するための補足資料を添付しましょう。
一例として、以下のようなものが補足資料になります。
領収書をもらったシーン |
補足資料になるもの |
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打ち合わせで飲食店や貸し会議室などを利用した |
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セミナーへ参加した |
申込書や申し込みをしたメールのコピー |
こうした資料を「上様」の宛名の領収書とともに提出することで、経理担当者が内容を確認しやすくなり、スムーズな処理ができるでしょう。
税務調査の対象になった際も、参考資料として活用できます。
訂正は発行元にお願いする
領収書の宛名に誤りがある際の訂正は、発行元に依頼しなければなりません。
発行元のところへ行って、誤った箇所へ二重線を引き、訂正印を押して正式な名称を追記してもらいましょう。
もし、自身で訂正してしまうと、領収書の内容の正確性・真実性が下がってしまったり、不正利用を疑われたりするリスクがあります。
なお、企業の規定によっては訂正した領収書が認められない場合もあります。その場合は、発行元に依頼して、領収書を再発行してもらってください。
まとめ
領収書を早くもらいたい、毎回社名を伝えるのが面倒といった理由で、領収書の宛名を「上様」にしている方もいるかもしれません。
しかし、「上様」の宛名でもらった領収書は社内で受け付けてもらえなかったり、税務調査の際にトラブルの原因になったりするため、避けましょう。
内容に誤りがあった場合は、発行元を訪ねて訂正や再発行をしてもらわなければなりません。領収書をもらったら、その場で内容を確認することをおすすめします。