資産管理における内部統制の進め方 固定資産管理台帳での管理
固定資産管理台帳での管理
固定資産の購入申請が決裁され、発注手続きが行われ、現物が納品された後、その現物を固定資産管理台帳に記載して管理するようにします。
固定資産管理台帳に記載する項目ですが、固定資産を購入すると、資産の管理単位ごとに固有の「固定資産番号」を付けます。
番号は、経理において「勘定科目に従った資産の種別番号」「使用する部門番号」、あるいは「部門コード」、そして「購入年と月」を順番に付けるとわかりやすいでしょう。
たとえば「080‐E012‐1309」というように固定資産番号を振ります。
その次に、その固定資産を取得した年と月、その固定資産を実際に使用する部署を記入します。
その次には、その固定資産の減価償却費を負担する管理部門を記載します。
実際に使用する部署と費用負担をする部署が異なる場合は、この欄を設けます。
次に、資産の種類(複合機なのか、パソコンなのかといった種別)を記載し、次に具体的な名称を記入します。
あとは数量と取得価格、その資産に付随している書類を書き込み、書類は資産番号とリンクさせる形で保管しておきます。取扱説明書は使用部門に置いておきますが、保証書、契約書などは総務部で保管しておくと良いでしょう。
実際の使用管理については使用部署が行いますが、資産の統括管理は総務部が固定資産管理台帳にて管理します。台帳管理を行う理由としては、固定資産は長期間使用されることになるため、購入から数年経過したときには購入時の経緯がわからなくなってしまう場合があることと、大元の固定資産管理台帳を基に各部門の保有資産管理票を作成し、一年に一回各部門で固定資産の実査をしてもらう必要があるからです。
会社資産にもかかわらず廃棄してしまった、固定資産とリース物件を混同してしまい固定資産を返却してしまった、あるいはリース物件を廃棄してしまった、という事例もあるからです。
現物が納品されたのを確認して、購入申請書と納品時に渡される書類をベースに固定資産管理台帳への記載を総務部が行います。あわせて、固定資産管理台帳で振った固定資産番号を記したシールを当該資産に貼ります。
会社の資産であると明示する意味と、現場での実査を容易にするためです。使用する際に頻繁に移動する資産や、シンクなど水回りの資産はシールが剥がれやすいので、注意しましょう。
固定資産の移動の際の注意点
次に、固定資産を他部門に移動する際の注意点について記します。
固定資産の移動には、以下の二つの場合があります。固定資産の設置場所や使用場所等が移動するケースと、物理的移動を伴わない管理部門の移動です。
どちらの移動の場合も、移動申請書を記入してもらい総務部に申請してもらいます。移動を申請する場合は、必ず現物に貼ってある固定資産番号のシールでの固定資産番号の確認をしてもらいましょう。
物理的な移動の場合、移動の決裁が下りて実際に現物が移動した先でも、シールの固定資産番号の確認を要請しましょう。移動申請書のほかに受け渡し書類も作成して、移動先部署からの受取印をもらうと、なお確実です。
このようにしておけば、勝手に固定資産を移動されて現物の所在がわからなくなったり、移動する固定資産を誤り帳票と現物との整合性が取れないことを防げます。
総務部門では、移動申請書を基に固定資産管理台帳の変更を行うとともに、減価償却費の負担部門を変更する場合は、経理部門にその旨を連絡します。
固定資産の廃棄の際の注意点
次に、固定資産を処分する際の作意点について記します。
現物の寿命や故障、組織変更など、さまざまな理由から固定資産を廃棄するケースがあります。会社の持ち物ですから、部門の勝手な判断により廃棄されないように、廃棄申請書で申請させるようにします。
固定資産の廃棄方法には、廃棄、売却、入れ替え、譲渡などがあります。固定資産を実際に使用している部門において、廃棄先や売却先、譲渡先を確定させることはあまりないと思います。むしろ内部統制的には、総務部門において廃棄業者、売却先、譲渡先を決める方が良いでしょう。
廃棄においても金銭の出入りが発生しますから、総務部門が適切に処理することをお勧めします。
使用部門において注意して欲しいことは、廃棄対象資産を間違えず、廃棄業者なり引き渡し先に渡すことです。廃棄対象資産に貼られている固定資産番号シールを確認してから、引き渡します。場合によっては、固定資産番号シールを剥がして、引き渡し完了報告書とともに総務部に提出させると良いでしょう。
次回に続く