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会社説明会

著者:一般社団法人日本テレワーク協会 相談員  小山 貴子

会社説明会

求職者に自社を説明する重要な場である「会社説明会」には、さまざまなケースがあります。

このコラムでは、それぞれの会社説明会とその対応について説明します。



1.採用サービス提供会社等が主催する合同説明会

コロナ前までの合同説明会では、大きな会場にたくさんの会社や求職者が集まって、各社のブースで会社説明会が行われることがイメージされますが、昨年、今年とリアルでの合同説明会開催が困難になったことを受けて、一気にオンライン化が進んできました。

昨年は主催側も試行錯誤しながらの開催でしたが、今年は開催方法が定着してきた感があります。1コマ1時間くらいで時間を区切り、各社が説明する時間をサービス提供会社が管理。同時にいくつかの仮想会議室で説明会が実施される形式が多く見られます。

採用サービス提供会社としても、会場という箱をおさえたり、そのための人を配置したりする必要がなくなりました。求人側も、説明会の内容が録画され、再利用も可能となっていることもあり、広告としての効果や効率が望めるものとなっています。これまでは主要都市で開催されていた合同説明会に都度足を運んでいた採用担当者からすると、その業務も省ける状態になったと言えます。そして求職者側も効率良く多くの会社の情報を入手できるようになりました。

コロナ以降、「やはりリアル開催がいい」という希望も復活してくるかもしれませんが、以前のように「大きな会場で」のみの合同説明会とはなりえないでしょう。


2.大学等が主催する会社説明会

大学での会社説明会も、これまでは採用担当者が直接各大学に出向いて開催されていたわけですが、こちらもオンライン化が進みました。都市部にある大学であってもすべての大学に採用担当者が足を運ぶことはなかなか困難でもあり、参加する大学を選定しなければならなかったわけですが、この業務が大幅に効率化しました。また地方大学の学生を採用していた会社にとってはなおのこと、足を運ぶことなく交流の機会を増やすことができるようになったのは大きな利点でしょう。


3.インターンシップ

新卒採用において、この10年ほどで大手企業を中心に、サマーインターンシップや1Day企業研究等の名称でインターンシップを開催することが一般化してきました。インターンシップは、学生が興味のある企業などで実際の業務や職場体験を通じて、業務内容や働くことの理解を深めることを目的としますが、ここを選考の登竜門としている企業もあり、感度の高い学生は3年生になるとこれに参加するための準備をし始めます。実際の職場体験を主としていますので、これまでは来社してもらい対面形式で行われてきましたが、こちらもオンライン開催の企業が増えてきました。

インターンシップを実施する際には人事業務に携わっている人のみならず、現場の社員にも多くの協力をもらう必要があります。特に「職業体験」を目的にしたインターンシップであれば、現場に配属されることにもなります。ご縁があれば入社することになる人に対し、現場の社員に「どのように接してもらいたいか」を人事からあらかじめ伝える必要があります。場合によっては現場担当者に研修を行って、インターンシップの趣旨を理解してもらったり、学生とのコミュニケーションの取り方を学んでもらったりした方がいいと思います。学生とのやり取りに慣れていない社会人にとっては、デジタルネイティブ世代とは生まれ育った時代背景も大きく違いますので、そのような情報のインプットも必要になります。また、業務の厳しさと面白さを伝え、学生の「期待値調整」を意識したコミュニケーションも重要になります。業務の厳しさを強く伝え過ぎる、もしくは美しい将来を伝えることに一生懸命になり過ぎる等は避ける必要があるでしょう。


4.単独会社説明会

単独会社説明会は、採用サービス提供会社が運営している採用サイトや自社の採用サイト等で説明会の日程を広報し、初めてエントリーした人に行うものです。上記1、2で接点を持った求職者に対して更に単独会社説明会を案内することはあまりないと思いますが、職業体験を目的にした3の場合にはこの案内することもあるでしょう。

自社の採用サイトを準備する際にも、いろいろ注意が必要です。コロナ以前は、とりあえず説明会に参加してからリアルな情報を得ようとする(事前に会社のサイトにあまり目を通さずに参加する)求職者も多くいましたが、コロナ禍ではリアルな情報を得ることが難しくなったこともあり、事前にサイトに目を通して(詳しく情報収集し理解を高めてから)説明会に参加する人が多くなっている印象があります。

そのためにも、今は志望者を増やすよう工夫したコンンツづくりが必要です。会社が欲する意識の高い求職者は、企業理念に共感したので応募するか、もしくは具体的に働くイメージが持てる状態になって「この会社に応募したい」と思うことでしか、その会社にアプローチすることはありません。

社会に出ていない就活生にとっては、社会人の実態が想像できていない人も多くいます。本来仕事とは地道な泥臭いものだといくら伝えても、ホームページからはどうしてもキラキラした壮大な毎日を描きがちです。よくあるのは 「ある社員の1日」といった、時間軸で業務を紹介するコンテンツ。 複数の社員が登場し、さまざまな業務があることを見せたり、所属している部署によって違いがあることを伝えたりする必要がありそうです。残業があるにもかかわらず「残業がないように見せかける」企業もありますが、それでは入社後の不満につながります。例えば、繁忙期には残業があること、業務効率を上げて残業を減らすよう個人の進捗管理を徹底していること、コミュニケーションを大切にしていることなど、直面する状況や課題についてきちんと公開すべきでしょう。就活生は必ずしも残業の有無を気にしているのではありません(ずさんな労務管理体制ではないか、いわゆる「プラック企業」ではないかを気にしているのです)。情報としてぜひ付加してほしいのが「人事理念」や「キャリアプラン」です。大手企業のサイトには掲載するところが多くなりましたが、中小ではあまり見かけません。

このように、第一接触の機会となる採用サイトには、志望動機を高める工夫を数多く盛り込めます。入口となるサイトの次に「伝える」チャンスとなるのが、会社説明会です。サイトの情報をより理解した状態で説明会に参加するのであれば、更に具体的な話を聞くことで満足度が高まり、その後の志望度にも大きく影響してくるでしょう。

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著者プロフィール

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小山 貴子

一般社団法人日本テレワーク協会 相談員

1970年生まれ。12年間のリクルート社勤務後、ベンチャー企業の人事、社労士事務所勤務を経て、2012年社会保険労務士事務所フォーアンド設立。ただいま、テレワーク協会の相談員と共に、人事コンサル会社の代表取締役、東証一部上場企業の非常勤監査役、一般社団法人Work Design Labのパートナー、東京都中小企業振興公社の専門相談員等にも携わる。2年半ほど横浜と大分の2拠点生活を実施中。

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