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リフレクションの意味と効果とは?社内教育での活用方法と注意点を解説

リフレクションの意味と効果とは?社内教育での活用方法と注意点を解説

人事に携わる担当者の方は、「リフレクション」という言葉を聞く機会が増えてきたのではないでしょうか。

昨今、人材教育手法の一つとして注目を集めていますが、いざ導入しようとすると、どうしたらよいか戸惑うことはないでしょうか。

そこで、人材教育としてのリフレクションに焦点を当てて、具体的な活用方法や注意点などを解説していきます。


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リフレクション(reflection)とは?意味と使い方もチェック

人材教育の場において、リフレクションとは、自分の過去の業務体験を淡々と振り返ることを意味します。自分がやってきた仕事上の経験を客観的に見つめ直すことによって、さらなる理解や知見が広がっていくことが期待されます。

リフレクションと反省・フィードバックの違い

リフレクション(reflection)を日本語に訳すと、「内省」「反映」といった意味になります。

社内教育の場では、主に内省という意味で用いられます。漢字の一文字が同じだったり、言葉が似ていることから、「反省」や「フィードバック」と同義に捉えられがちですが、人材教育の場においては全く異なる意味を持ちます。

そのため、混同せずにその違いをはっきり認識して、正しく使い分ける必要があります。

反省との違い

「反省」は、過去の行為を振り返って、次に同じことが起こらないように改善することです。何か失敗したり不都合なことがあったりした際のみ、次回は改善するという意図を持っています。

一方で「内省」は反省と比べて、過去のある時点での体験を通して、考え方や価値観を省みるものです。内省は、何か失敗していなくても、その時の自分の考え方や行動が正しかったかどうかを振り返ります。

また、内省では感情を抜きにして、自分自身を客観的に捉え、自分を責めることなく淡々と問題点を洗い出していきます。

浮かんできた問題点を分解して、次に同様の体験をする際には、より最適な行動が取れるように努めます。端的に言えば、反省は主観的で感情も混じったもの、内省は客観的に理性で俯瞰して捉えるものと分類でき、似て非なるものです。

フィードバックとの違い

リフレクションは、「フィードバック」とも間違えられがちです。

しかし、リフレクションが、自分自身の行動を客観的に見つめ直し、評価することであるのに対して、フィードバックは、他人から自分の行動を評価してもらうことです。

例えば、同僚同士でお互いの行動を評価したり、上司が部下の行動を評価する行為が、フィードバックに当たります。両者には、自分の評価を自分でするのか、若しくは他人にしてもらうのかという、明確な違いがあります。


リフレクションの効果

リフレクションを社内教育に取り入れることで、企業にはどのようなメリットがあるのでしょうか。

代表的なものとしては、「新たな発見や気づきを得られる」「考え方・行動に変化が生まれる」といったことが考えられます。

以下では、リフレクションがもたらす効果を3つ紹介します。

新たな発見や気づきを得られる

自分の価値観を客観的に振り返ることによって、新たな発見や気付きを得られ、今後の生活や仕事に対する姿勢に生かすことができます。反省して暗い気持ちになるのではなく、淡々と客観的に過去の問題を整理すれば、解決策を見つけることが可能です。

未来で何か問題に遭遇した際も、リフレクションによる発見や気づきが強い味方となってくれます。

考え方・行動に変化が生まれる

新しい発見があると、行動も変わっていきます。

過去の自分を客観的に振り返ることにより、気付きが得られ、考え方がまったく変わることもあるでしょう。自分の体験を客観的に振り返り、そこでの発見を次の行動に生かすというサイクルを繰り返すことで、考え方や価値観がブラッシュアップされていくでしょう。

物事を点として見るのではなく、俯瞰して捉えることができるようになり、気負わずにリーダーシップも取れるようになります。

今後の改善策を導くことができる

リフレクションを取り入れれば、物事に対してどういった行動を取るべきだったのか、改善策を導き出すことも可能です。

自分のとった行為を客観的に振り返り、「次はこういうふうに対応しよう」と考えておくことで、今後何か問題が起きた際にも、落ち着いて行動することができるでしょう。


企業におけるリフレクション教育の重要性

企業によるリフレクション教育には、会社運営に不可欠な人材を育てるという側面があります。

リフレクション教育では、社員の客観性や主体性を育てることが可能です。そしてリフレクションには相乗効果があり、個から会社全体に移ります。

つまり、リフレクション教育を取り入れることで、問題が起きた際に自分事として狭義に捉えて感情に左右されるのではなく、全体を俯瞰してみることが可能な、リーダーシップを持った貴重な社員を育成できるのです。

また、このような社員がいることによって、従業員全体の力が底上げされ、社内が活性化するという好循環を生みます。


リフレクションのやり方・実践方法

ではリフレクションは、どのように実践すれば良いのでしょうか。

ここからは、具体的な例を挙げながら、リフレクションを取り入れるための方法について説明していきます。

1. リフレクションの対象となる経験をピックアップ

まずはじめに、リフレクションの対象となる具体的な体験をピックアップします。

抽象的な事象ではなく、実際にあった過去の出来事から一つの経験を選び出し、検証していきましょう。

例えば、「小売店で昼休みにお客様が来店した際、目的の品物が切れていて、怒り気味に帰ってしまった」などが、リフレクションの対象となる体験として考えられます。

2. 経験のプロセスを分解

一つの体験は、さまざまなプロセスから出来上がっています。先の小売店の例で言えば「タイミングが悪すぎた」「短気なお客様だった」と額面どおりに振り返るのでは、せっかくのリフレクションが功を奏しません。

例えば、「経験の浅い社員しか対応できなかった」「お客様にも時間がなかった」「在庫の数が適切ではなかった」といった具合に、ひとつの体験を分解していきましょう。物事が複数のプロセスから構成されていると捉え、そのひとつひとつを省みていくことが大切です。

3.できていたこと・できなかったことを振り返る

プロセスを分解した後は、一つのプロセスごとに、できていたこと・できなかったことを考えていきます。

「どんな結果だったか」「理想とする結果はどうだったか」「どう変えれば満足な結果に繋がったか」など、徹底的に突き詰めていきましょう。

ただし、注意点があります。「しまった」と感情的に反省したり、「誰々の行動がいけなかった」と責任の所在を考えてしまったりすると、リフレクションの効果がなくなってしまいます。

リフレクションの目的は、あくまで内省であるため、良かった点も悪かった点も客観的に考えるようにしましょう。

4. プロセスの再構築を行う

最後に、分解して内省したプロセスを再構築します。

この時には、どうすべきだったか答えが出ているはずです。次に似たようなことがあれば、リフレクションでの思考を生かして、実践に移しましょう。


企業での活用方法“リフレクション会議”

リフレクションは、個人での振り返りにも有用ですが、企業の社員教育にも効果を発揮します。ひとりでは、もし間違った方向へ進んでしまっても気づくのが難しいので、慣れるまでは会社からサポートするのがおすすめです。

具体的な事例として「リフレクション会議」を重視している企業もあります。

これは毎週リーダー層を集めてリフレクションを行うもので、自身の経験を内省し、発表し合います。

ひとりで内省しても、自身に良い影響を与えるのみで効果は限定的です。そこで得た気付きを仲間と共有することによって、また新しい気付きを得られるという相乗効果が生まれます。リフレクション会議は複数人が出席するため、他者の内省をたくさん聞くことができ、効果的なスピードで成長することができます。

リフレクション会議でも、話し手が自身の実体験を元に内省することが大切です。話し手の苦悩や、リフレクションの過程を聞くことが、聞き手の心に響き、聞き手もまた自分事のように捉えて内省できるからです。

正のスパイラルに入って好循環を呼び、全体的に成長することができます。

また、リフレクション会議以外にもリフレクション教育として実践できるフレームワークがあります。例えば「KPT法」は、振り返りによって、仕事やプロジェクトの改善を図る手段です。

「Keep(良かったことを続ける)」「Problem(問題点・課題を見つける)」「Try(問題点・改善点に挑戦する)」という3点に絞って内省することにより、次にすべきことが明確になります。多様性のあるメンバーが集まっているときに有用です。

「YWT」は、「日本能率協会コンサルティング」が提唱したもので、「Y(やったこと)」「W(わかったこと)」「T(次にやること)」の3点で振り返りを行います。こちらは、経験したことをまず振り返って次のステップに進みます。

簡潔にまとめ、思考の習慣づけもできるので、短い時間でもリフレクションを行うことができます。


リフレクション教育を行う際の注意点

リフレクション教育を実施するに当たっては、注意点があります。効果を最大限にするためにも、下記で紹介する4点に留意すると良いでしょう。

対象者の仕事の成果を正しく理解する

リフレクション教育を受ける対象者がどの役職の場合でも、対象者の仕事の結果を正しく理解しなければなりません。現時点における成果を数字ベースで客観的に捉える必要があります。

例えば、会社全体で上位何%の層に入っているのか、前の期と比較してどの程度の成果を上げているのかなど、可能な限り客観的に把握しましょう。

目標設計が適切であるか確認する

最初に立てた目標と結果を比較して、当初の目標が適切だったかを確認します。特に入社したての社員の場合は、高い目標を掲げすぎていることが多々あります。

リフレクション教育を通して、目標設定が適切か、自分の能力を過信しすぎていないかを確認することが必要です。

感情に流されず客観的に行う

リフレクション教育では、感情という要素を省いて、自分を客観視することが重要です。

しかし、慣れないうちは、失敗だけを反省したり、客観視できなかったりと、感情に流されてしまうことがあります。

そのような場合は、講師や上司が上手くリード・サポートして、正しくリフレクションができるよう導きましょう。

失敗だけに目を向けない

失敗した体験のみをピックアップし、振り返る行為は「反省」にあたり、有効なリフレクションではありません。

リフレクションの目的は、前向きに捉えて次に生かすことです。できなかったことだけでなく、できていることにも目を向けて、次に失敗しないようにしたり、できることを増やしていきましょう。

人材の育成は、企業の円滑な運営に欠かせない要素であり、リフレクション教育はその有用な手段です。これを上手く取り入れることで自身の体験を材料として学びに変え、前向きに成長できる新たな視界が開けます。

人材育成に新しい風を入れたいと考えているのなら、リフレクション教育がぴったりなのではないでしょうか。

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