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インボイス制度に対応した適格請求書を発行する際の9つの注意点

インボイス制度に対応した適格請求書を発行する際の9つの注意点

インボイス制度(適格請求書等保存方式)は、仕入税額控除の要件に、インボイス(適格請求書)の保存を要件とするものです。また、一定の記載事項を記載した書類(請求書、領収書等)をインボイス(適格請求書)といいます。

今回は、インボイス制度に対応した適格請求書を発行する際の9つの注意点をご紹介します。


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インボイスを発行するために

インボイスを発行するためには、納税地の所轄税務署長に登録申請書を提出する必要があります。

インボイスは課税事業者しか発行することができず、免税事業者は課税事業者になってインボイスを発行するか判断する必要があります。


インボイスを発行する際の9つの注意点

インボイス発行には様々な注意点があります。今回ご紹介する注意点は以下の通りです。

  • 請求書に追加事項を記載
  • 小売業等に係る取引は記載項目の省略が可能
  • 端数処理を行う必要がある
  • 仕入れ明細書等の保存で控除可能
  • 複数書類の組み合わせも可
  • 電子データでの送付
  • 交付義務の免除
  • 税額の計算
  • 経過措置

インボイス発行にあたり押さえておきたい9つの注意点を、自身の状況と照らし合わせながら確認しましょう。

注意点1:請求書に追加事項を記載

最初の注意点としては、今使っている請求書等が使えなくなるということです。正確には、現状求められている記載事項に、以下の2点を追加で記載する必要があります。

1:適格請求書発行事業者の登録番号

2:適用税率ごとに区分計算したその適用税率

項目に誤りがある請求書では、仕入税額控除が受けられない恐れがあります。受け取る事業者も、項目が網羅されているかを判断できるように、チェックリストや業務フローを作成しておきましょう。

インボイスに誤りがあった場合には、修正したインボイスを交付する必要があります。

注意点2:小売業等に係る取引は記載項目の省略が可能

現行制度でも採用されていますが、小売、飲食、タクシー業などの場合は、書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称の記載が不要となります。スーパーやタクシーでの領収書に自身の名称が入らないのはそのためです。

注意点3:端数処理を行う必要がある

消費税額の端数処理は1円単位で、処理方法(切上、切捨、四捨五入)は任意となっています。その端数処理をどの段階で行うかが問題です。

端数処理は請求書単位かつ、税率ごとに1回行います。同じものを10個買った場合、1個単位で端数処理を行うと税額が減ってしまうので、それは認められません。

注意点4:仕入れ明細書等の保存で控除可能

仕入れ明細書は消化仕入れという取引で使用されます。実例としてはデパートなどで採用されています。

デパートは商品を仕入れて販売しているわけではなく、展示しているだけで、販売された商品だけを問屋から仕入れるという方法を採用しています。そのため、デパートから問屋に仕入れ明細書が送付されることになります。その仕入れ明細書も適格であれば、仕入税額控除が受けられます。

その場合インボイスに記載する登録番号は問屋の番号となります。事前に問屋の番号を把握しておく必要があるので注意しましょう。

注意点5:複数書類の組み合わせも可

インボイスとして認められるためには、一定の事項を記載する必要があります。ただし、1枚の書類にすべて記載する必要はなく、納品書と請求書など、関係する書類に分散して記載しても、どちらも保存することで、仕入税額控除の対象となります。

注意点6:電子データでの送付

インボイスは相手方から交付の要請があった場合、交付義務が課されていますが、交付に代えて、電子データにより提供することも認められています。この場合、電子帳簿保存法の電子取引に該当することから、電子データのまま保存する必要があるので注意が必要です。

注意点7:交付義務の免除

交付が困難な場合は、インボイスの交付を免除しています。例えば、3万円未満の船舶バスまたは鉄道のチケットの購入や3万円未満の自動販売機での商品の購入等が該当します。

注意点8:税額の計算

インボイス制度により、消費税額が明確になるため、仕入れ税額の計算はインボイスに記載された消費税額等を積み上げて計算する「積み上げ計算」が原則となりました。

売上税額の計算は以前と同じように「割戻し計算」が原則となっており、「積み上げ計算」は特例となっています。

売上税額で「積み上げ計算」を採用した場合、仕入れ税額で「割り戻し計算」を採用することはできないので、注意しましょう。

注意点9:経過措置

インボイスを発行できない事業者からの仕入れについては、インボイスを保存できないため、仕入税額控除を行うことはできません。しかし、2029年9月30日までは一定の要件を満たせば、一定割合の仕入税額控除を受けることができます。


インボイスの発行について9つの注意点を押さえましょう

インボイス制度に対応するためには、様々な細かい要件を満たす必要があります。

今回解説した9つの注意点をしっかり押さえつつ、制度導入に向けた準備を進めましょう。

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