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第19回 働き方改革を促進する社内コミュニケーション活性化

第19回 働き方改革を促進する社内コミュニケーション活性化

働き方改革の目指す生産性の向上。企業が組織である限り、その構成員、従業員間のコラボレーションを促進することが何よりの施策である。そして、対話の中からヒントがあり、新たな着想、イノベーションにつながっていく。

また、働き方改革で実施されることの多いフリーアドレス。知った者同士であればすぐに会話に結び付くが、知らない者同士のフリーアドレスでは会話のしようがない。働き方改革の施策をより効果的なものにするためにも、社内コミュニケーションの活性化が必要となる。

今回は、社内コミュニケーションの活性化を実現するための方法を紹介する。


この記事の著者
株式会社月刊総務 代表取締役社長   戦略総務研究所 所長 

第1フェーズ:会話のきっかけの提供

「組織の活性化」と聞いて何を思い浮かべるだろうか? 具体的なイメージは、組織内でコミュニケーションが活発になされている状態だと思う。そこかしこでコミュニケーションや会話がされている。そのためには、誰がどの部署でどのような仕事をしており、プライベートはどうなのか、お互いがどのような人間なのかを知っておくことが大事となる。

社内報を創刊する際、社内報でどのようなことを知りたいかというアンケートを取ると、どの企業でも、「どのような部署があるのか、どのようなメンバーがどこにいるのかを知りたい」という要望が上位にくるものだ。部署紹介、人物紹介の企画がそれに該当する。

そのような企画を通じて、コミュニケーションを取る相手の人となりが分かり、会話の糸口が見つかる。同一部署内では、リアルな自己紹介がそれにあたる。社内報の部署紹介、人物紹介はメディアを通じての自己紹介となるのだ。

会話のきっかけの提供は社内報だけではない。イントラ内のウェブ社内報でも可能であるし、壁新聞も効果的だ。壁新聞は複数人で一緒に見ることができるので、記事を酒の肴にして会話が盛り上がる。現在はICT(情報通信技術)の進展により、デジタルサイネージとして多くの企業で活用されている。

第2フェーズ:偶発的な出会いの仕掛け

お互いを知るきっかけを社内コミュニケーションメディアで提供した後に効果的なのは、偶発的な出会いの場の仕掛けだ。特に、部門や専門が異なる社員が偶然出会うことはイノベーションに結び付くとされ、偶発的な出会いの場の効用が説かれている。

偶発的な出会いを生む具体的な施策は、オフィスレイアウト。コピーやプリンターなどの共用機材を集中配備して、コピーをする際や出力を待つ際の偶発的出会いを演出する。あるいは、オフィス内の主要通路のそばにコーヒーコーナーやリフレッシュスペースを配置して、ほっと一息する際に偶発的出会いを作る。オフィスは日常的に使う場なので、その中にいろいろと仕掛けをしていくことは大変効果的である。

社内イベントも施策の一つ。社員同士が和やかに歓談できる場がそれにあたる。キックオフの後の懇親会や、周年行事としての社内パーティーなどだ。久しぶりに会う同期や、いつもメールだけの間柄の社員同士が、懇親会の場で偶然出会い話が弾む。その会話を通じてお互いがより深い関係になっていく。そんな場を仕掛けるのだ。

偶発的な出会いの場の提供は、コミュニケーションが生まれる可能性に賭けることであるので、数多くその場を提供することがポイントとなる。

第3フェーズ:意図された交流の場の仕掛け

第2フェーズが偶発的な出会いの場であるのに対して、こちらは人事などの事務局側が意図した出会いの場の提供だ。事務局側が引き合わせたい社員同士をコミュニケーションの場に連れていく。

例えば食事会。仲の良い者同士の食事代を補助するケースもあるが、ここでの施策は、事務局側が食事会の参加者をピックアップして連れていく。普段話す機会のない社員同士をあえて同じ場に連れていき、お弁当を提供し、場合によっては話すテーマも選定する。

ワークショップも同様だ。各テーブルのグルーピングを事務局が選定する。この場で初めて会ってコミュニケーションをすることで、その後、仕事で困ったときの相談先になったり、プロジェクトチームを組むときのメンバーとして招聘するケースもあるだろう。

社内報の座談会も同様の効果がある。会話が弾むからといって、知り合いばかりを集めるのは意味がない。可能な限り、普段会話をすることのない社員同士を組み合わせることで、その後の展開に期待するのだ。

いずれにせよ、このフェーズでは、偶発的な出会いを待っていては出会わないようなメンバー同士を事務局が意図して出会わせる。そのため事務局側として、普段のコミュニケーションの実態を把握しておくことが肝要だ。

第4フェーズ:変える

最後は、特定のメンバーの場を変えてしまう施策。席替えであったり、レイアウト変更であったり、もっと直接的には人事異動などだ。こうしたことにより、新たな関係性が構築され、いままでの人的ネットワークを新たな働く場に接続することも期待できる。

このフェーズは、特定のメンバーを強制的に元の職場から異なる職場へ異動させる施策であり、どのメンバーを異動させるかによってその効果も大きく異なる。インフルエンサーと言われる影響力の大きなメンバーを上手に動かすことで、さまざまな部署でのコミュニケーションの活性化が期待できる。

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著者プロフィール

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豊田 健一

株式会社月刊総務 代表取締役社長 戦略総務研究所 所長

早稲田大学政治経済学部卒業。株式会社リクルートで経理、営業、総務、株式会社魚力で総務課長を経験。日本で唯一の総務部門向け専門誌『月刊総務』前編集長。現在は、戦略総務研究所所長、(一社)ファシリティ・オフィスサービス・コンソーシアム(FOSC)の副代表理事として、講演・執筆活動、コンサルティングを行う。

毎日投稿 総務のつぶやき 

毎週投稿 ラジオ形式 総務よもやま話

毎月登場 月刊総務ウェビナー

著作

マンガでやさしくわかる総務の仕事』(日本能率協会マネジメントセンター) 

経営を強くする戦略総務』(日本能率協会マネジメントセンター) 

リモートワークありきの世界で経営の軸を作る 戦略総務 実践ハンドブック』(日本能率協会マネジメントセンター)

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