卸売業向け販売管理システム10選! 導入メリットや選び方を徹底解説

卸売業界では、多品種少量取引や複雑な価格設定、煩雑な在庫管理に悩まされている企業も多いでしょう。従来の手作業やExcelによる販売管理には限界があり、取引が増えるにつれて、自動化や一元管理が必要になります。
そこで、卸売業の管理業務を効率化するために役立つのが販売管理システムです。本記事では、卸売業向け販売管理システムの機能から導入メリット、選び方までを詳しく解説します。
卸売業で販売管理システムを導入する前に
卸売業界では、他の業界とは異なる特有の習慣や業務が存在し、それらに対応できるシステム選定が重要です。汎用的な販売管理システムでは対応困難な要件も多く、業界特性を理解したシステム選択が欠かせません。
ここでは、卸売業が抱える課題と専用のシステムを選ぶべき理由について解説します。
卸売業が直面する特有の業務課題
卸売業は、多品種少量取引や複雑な価格設定、煩雑な在庫管理などといった業界特有の課題を抱えています。取引先ごとに異なる掛率設定や多段階価格、ロット管理など、他業界では見られない複雑な業務要件が特徴です。
また、業務の流れで1人の担当者に依存し、情報共有の遅れやミスが発生する企業も少なくありません。これらの課題解決には、業務全体を俯瞰し、効率化する仕組みの導入が不可欠です。
卸売業に特化したシステムを選ぶべき理由
卸売業に特化したシステムには、卸売業特有の商習慣や取引形態に対応した機能が搭載されています。このような自社の業界に合ったシステムの導入は、業務の円滑化に直結するため、おすすめです。業界標準のEDI連携や複雑な単価設定機能は、汎用システムでは対応が難しい場合があります。
元から専用のシステムを導入することで、導入後のカスタマイズ費用や手間を抑え、スムーズなシステム運用が実現できます。
卸売業向け販売管理システムの主な機能
ここまで、卸売業専用の販売管理システムを選ぶべき理由を紹介しました。では、専用のシステムにはどのような機能が備わっているのでしょうか。
卸売業向け販売管理システムの主要機能は、以下のとおりです。
- 受注から入金までを自動化
- 複雑な取引条件設定や在庫管理
- 外部システムとの連携
ここでは、上記の機能について解説します。
受注から入金までを自動化
販売管理システムでは、見積もり、受注、売上、請求、入金管理に至るまでの業務を自動化します。これらの機能により、販売プロセス全体が可視化され、進捗状況が格段に管理しやすくなるでしょう。
顧客情報や取引履歴も一元管理され、スムーズな問い合わせ対応と営業活動につながります。これは、見積もりから入金管理までのプロセスは変えたくないという企業にとって、魅力的です。
複雑な取引条件設定や在庫管理
卸売業向けシステムは、得意先ごとの掛率設定や多段階単価など、複雑な価格体系に柔軟に対応可能です。ロット管理や賞味期限管理、預かり在庫管理といった、卸売業特有の在庫管理機能が備わっています。
卸売業では、物理的な商品と在庫を取り扱い、それが利益に直結するので、正確な取引詳細と在庫管理が欠かせません。専用の販売管理システムを活用すれば、きめ細かな在庫コントロールと販売機会損失の防止、品質管理の向上が期待できます。
外部システムとの連携
会計ソフトと販売管理システムを連携することで、売上や仕入データを自動で取り込み、経理業務の負担を大幅に減らせます。EDIシステムと連携すれば、取引先との受発注データの自動交換が可能になり、入力ミスも防止できるでしょう。
倉庫管理システム(WMS)や顧客管理システム(CRM)との連携も、業務全体の最適化に貢献します。販売管理システムだけではカバーしきれない情報も、外部システムとの連携をすれば一元管理がしやすいです。
卸売業が販売管理システムを導入するメリット
ここまで、卸売業向けの販売管理システムの特徴や機能を解説しました。では、実際に導入することでどのような利点があるのでしょうか。
卸売業が販売管理システムを導入するメリットは、以下のとおりです。
- 煩雑な手作業を削減できる
- 欠品や過剰在庫を防げる
- 迅速かつ的確な経営判断ができる
- 顧客からの信頼が高まる
ここでは、上記のメリットについて解説します。
煩雑な手作業を削減できる
販売管理システムの導入で、見積書作成や受発注処理といった定型業務が自動化され、作業時間が短縮されます。業務が自動化され簡単に行えるようになれば、1人の担当者に依存してしまう心配もありません。
また、手作業による入力ミスや二重入力が減少し、取引データの精度が向上します。その結果、従業員は営業や販売状況の分析といった、より戦略的な業務に集中できるでしょう。
欠品や過剰在庫を防げる
システムがリアルタイムで在庫状況を把握するため、過不足ない在庫数を維持しやすくなります。過去の販売実績や需要予測を参考に発注を提案してくれるので、欠品リスクも低減するでしょう。
また、滞留在庫や不良在庫を早期に発見できるため、すぐに対応策を打ち出すことが可能になります。在庫管理とそれに基づく戦略が利益に直結する卸売業にとって、これは大きなメリットです。
迅速かつ的確な経営判断ができる
売上実績や利益率、顧客別・商品別の販売動向などの経営情報がリアルタイムで可視化されます。これらの正確なデータを活用すれば、市場の変化に即応した経営戦略を立案できるでしょう。
また、前述の発注提案機能のように、分析に基づいた提案を行う機能も、経営や営業の判断に役立ちます。経営層は客観的な指標を基に、より実態に即した意思決定を行うことが可能です。
顧客からの信頼が高まる
商品の仕入れから販売までの全履歴をシステムで追跡可能にし、品質管理体制を強化できます。「在庫がなかった」「受注漏れがあった」といったトラブル発生時にも、原因究明と的確な対応がしやすいです。
透明性の高い情報開示は、取引先や消費者からの信頼獲得につながり、企業価値を向上させます。
卸売業向け販売管理システムおすすめ10選
卸売業向けの販売管理システムには、さまざまな種類が存在します。そのなかから、自社に適しているシステムを費用や機能などを考慮して選ぶことが大切です。
ここでは、おすすめの卸売業向け販売管理システムをご紹介します。
楽商
項目 | 内容 |
提供形態 | クラウド/オンプレミス/SaaS/パッケージソフト |
従業員規模 | 制限なし |
従量課金 | - |
月額費用 | お問合せ |
初期費用 | お問合せ |
受注、売上、発注から在庫管理、請求・入金・支払まで、ビジネスの基本業務を網羅し、得意先別・仕入先別価格設定や輸出入対応など、業種特有の商習慣にも柔軟に対応できます。独自帳票やPOS・ハンディ端末との連携機能も充実しており、自社業務に合わせた高度なカスタマイズが可能です。
アラジンオフィス
項目 | 内容 |
提供形態 | クラウド/パッケージソフト/サービス |
従業員規模 | 50名~ |
従量課金 | - |
月額費用 | お問合せ |
初期費用 | お問合せ |
日本国内で5,000社以上に導入されている販売管理システム。特に卸売・小売・製造業をはじめ、ファッション、鉄鋼・非鉄金属、医療、食品、ねじ業界などの専門機能も装備されており、多様な業務にそのまま活用できる完成度の高さが特色です。
SKit FLEXi(スキットフレキシー)
項目 | 内容 |
提供形態 | クラウド |
従業員規模 | - |
従量課金 | - |
月額費用 | - |
初期費用 | - |
NTTデータセキスイシステムズが提供するクラウド型統合基幹業務システムで、販売、仕入、在庫、会計といった業務を受注から決算まで一貫して可視化します。卸売業を中心に年商30億〜500億規模の企業を中心とした運用業務全体を委託可能。
多拠点の導入やEDI連携を通じて、月次決算を15営業日から4営業日に短縮した実績もあります。
WorkVision販売管理
項目 | 内容 |
提供形態 | サービス |
従業員規模 | 全て |
従量課金 | - |
月額費用 | ~50,000円 |
初期費用 | - |
40年以上にわたり卸売・製造・食品業界など、幅広い業種に特化したノウハウを結集し、クラウド運用にも対応した高機能な基幹業務パッケージです。画面編集や項目辞書機能により、既存業務に合わせたフォーマットや帳票のカスタマイズが可能なため、導入後も違和感なく使い続けられます。
SmartF
項目 | 内容 |
提供形態 | サービス |
従業員規模 | - |
従量課金 | - |
月額費用 | 48,000円~ |
初期費用 | 300,000円~ |
Smart Fは、在庫・工程・原価・品質・設備管理など、必要な機能をモジュールで選べるスモールスタート設計により、中小から上場企業まで導入範囲が幅広い点が特徴です。バーコード・タブレットを活用した入出庫検品や作業実績の集計がスムーズで、手書き・Excel業務からの脱却を支援します。
弥生販売 25
項目 | 内容 |
提供形態 | オンプレミス |
従業員規模 | 制限なし |
従量課金 | - |
月額費用 | - |
初期費用 | 0円 |
弥生販売 25は、中小企業・個人事業主向けの販売管理ソフトウェアです。シンプルで分かりやすい操作性と、会計ソフト「弥生会計」との連携による業務のスムーズな一貫性が特徴。経理部門だけでなく、営業部門の業務効率化にも貢献し、売上状況の正確な把握をサポートします。
SANKA(販売管理システム)
項目 | 内容 |
提供形態 | クラウド |
従業員規模 | 制限なし |
従量課金 | お問合せ |
月額費用 | 0円~ |
初期費用 | 0円~ |
プロジェクト管理とタスク管理に特化したクラウドサービス。特徴は、直感的で分かりやすいインターフェースと、多様なプロジェクト形態に対応できる柔軟性です。
ガントチャート、カンバンボード、タスクリストなど、プロジェクトの進捗を視覚的に把握できる機能が充実しており、チーム全体の生産性向上を支援します。
商い哲人EX
項目 | 内容 |
提供形態 | クラウド |
従業員規模 | - |
従量課金 | - |
月額費用 | 0円~ |
初期費用 | 0円 |
商い哲人EXは、見積もりから回収までの一連の業務を効率的に管理できるクラウド型システムです。中小企業のニーズに合わせた柔軟なサービス選択と導入方法、そして明確な料金体系が特徴です。また、30日間の無料体験サービスも提供されており、導入前に実際の操作感を確認することができます。
V-ONEクラウド
項目 | 内容 |
提供形態 | クラウド |
従業員規模 | お問合せ |
従量課金 | お問合せ |
月額費用 | お問合せ |
初期費用 | お問合せ |
V‑ONEクラウド は、入金消込業務に特化したAI搭載クラウドサービスで、請求と入金の照合作業を“秒単位”で自動処理できます。
従来、目視や手入力を要した複雑な消込作業を、AIが最適な組み合わせを判定して提案し、精度高く処理。インターネットバンキング各行の入金データを自動取得し、複数入金や振込手数料にも柔軟に対応しています。
GrowOne 販売情報システム
項目 | 内容 |
提供形態 | サービス |
従業員規模 | 制限なし |
従量課金 | お問合せ |
月額費用 | お問合せ |
初期費用 | お問合せ |
卸売・商社をはじめとした、中堅~大手企業向けの販売管理クラウド/オンプレミスERPです。業種別テンプレートをベースにしたセミオーダー方式を採用し、受発注・在庫・購買・債権債務管理など、販売業務を包括的にカバー。自社業務に合わせた柔軟なカスタマイズが、短期間かつ低コストで可能です。
卸売業向け販売管理システムの選び方
ここまで、卸売業向け販売管理システムの機能とメリットを紹介しました。では、実際に自社にマッチするシステムをどのように選べばよいのでしょうか。
卸売業で販売管理システムを選ぶポイントは、以下のとおりです。
- 自社の業務フローに適合するか
- 必要な機能が搭載されているか
- サポート体制とセキュリティ対策は充実しているか
- 費用対効果を比較検討する
- 事業拡大に対応できるか
ここでは、上記のポイントについて解説します。
自社の業務フローに適合するか
卸売業では、システムが自社の独自の商習慣や複雑な業務プロセスに対応できるかが最も重要です。デモやトライアルを通じて、実際の業務を想定した操作を行い、操作性や不具合がないかをチェックしましょう。
必要なカスタマイズの範囲や費用、開発期間も事前に把握し、無理のない導入計画を立てることが望ましいです。
必要な機能が搭載されているか
自社の課題解決に不可欠な機能を具体的に洗い出し、導入を検討しているシステムが、それらの機能を網羅しているか確認しましょう。受発注処理を効率化したいなら自動化機能、在庫管理を正確に行いたいなら在庫管理機能など、自社が優先的に解決したい課題に対応した機能が充実しているかを評価してください。
この際、将来的な事業拡大や業務変更の可能性も見据え、拡張性のあるシステムを選定しましょう。多機能すぎても使いこなせないため、自社にとって本当に必要な機能を見極めることが大切です。
サポート体制とセキュリティ対策は充実しているか
導入時の設定支援から運用開始後の問い合わせ対応まで、手厚いサポート体制が整っているか確認しましょう。特に、自社に専門知識を持っている人が少ない場合、手厚いサポートを受けられるかがスムーズな導入に直結します。
また、データのバックアップ体制や障害発生時の復旧プランなど、セキュリティ対策の充実度も重要です。システムのアップデート頻度や、法改正への対応状況、サポート窓口の対応時間も把握しておきましょう。
費用対効果を比較検討する
システム選定の際は、初期費用だけでなく、月額利用料や保守費用、将来的なカスタマイズ費用など、総合的なコストで評価してください。システム導入によって得られる、業務効率化による人件費削減や売上向上効果を具体的に試算します。
特にオンプレミス型を選択する場合、自社でサーバーを運用する分、金銭だけでなく、人的コストも発生することを考慮しましょう。短期的なコストだけでなく、長期的な視点で費用対効果を多角的に評価し、投資判断を行います。
事業拡大に対応できるか
現在の業務だけでなく、将来の事業規模拡大や取扱品目の増加にも対応できるシステムかを見極めましょう。ユーザー数の増加、データ量の増大、新たな機能追加の柔軟性などは確認が必須です。
また、インボイス制度のような新設制度や今後の法改正にも対応しやすいサービスだと望ましいでしょう。その点、クラウド型のシステムであれば、事業拡大や法改正、市場の変化にもベンダー側で対応してくれるサービスが多いので安心です。
卸売業向け販売管理システム導入時の注意点
ここまで、卸売業向けの販売管理システムの選び方を解説しました。
それを踏まえて、システム導入前に注意しておくべきポイントは以下のとおりです。
- 導入目的を明確にする
- 無料トライアルやデモを活用する
- 移行計画と従業員トレーニングを実施する
- 継続的な運用改善に取り組む
ここでは、上記の注意点について解説します。
導入目的を明確にする
システム導入によって何を達成したいのか、具体的な数値目標を設定し、関係者間で共有することが成功の鍵です。現状の業務課題と、システム導入で期待される効果を明確にすれば、導入プロジェクトの方向性が定まります。
この際、経営層から現場担当者まで、システム導入の目的と目標を共有し、協力体制を築くことが重要です。導入プロジェクト側と現場での連携が取れないと、齟齬が発生し、従業員が使いにくいシステムを選んでしまったり、結局システムが定着しなかったりする可能性があります。
無料トライアルやデモを活用する
1つのシステムに絞らず、複数の候補をリストアップし、機能や価格、サポート体制を客観的に比較しましょう。この際、無料トライアルやデモンストレーションを積極的に利用し、実際の操作感や自社業務に合っているかを確認します。
また、導入企業の事例やユーザーレビューも参考にし、ユーザーレベルの情報も集めて、総合的に判断することが大切です。
移行計画と従業員トレーニングを実施する
既存システムからのデータ移行は、データが破損したり、新しいシステムに対応していなかったりすると、業務が停止してしまう恐れがあります。そのため、事前に計画を立て、データの整合性を確保しながら慎重に進めることが肝心です。
また、新しいシステムの操作方法について、従業員向けの十分なトレーニング期間と研修機会を設けましょう。導入初期は混乱も予想されるため、専任のサポート担当者を置くなど、手厚いフォロー体制が必要になります。導入時のトラブルも想定して、ベンダー側との連携をしっかり取るのが望ましいです。
継続的な運用改善に取り組む
販売管理システムは導入して終わりではありません。導入前に設定した目標(KPI)に対し、定期的にシステム導入の効果を測定し、客観的に評価しましょう。
実際にシステムを利用する従業員からのフィードバックを収集し、運用上の課題点や改善要望を把握します。システムの機能を最大限に活用できるよう、継続的に運用方法を見直し、改善していく姿勢が大切です。
販売管理システムを卸売業に導入し、ビジネスの成長を加速しよう
卸売業は、多品種少量取引や複雑な価格設定、煩雑な在庫管理といった特有の課題を抱えています。それらを解決するには、卸売業に特化した販売管理システムを導入することが効果的です。卸売業向け販売管理システムの導入は、受注から入金までを自動化し、複雑な価格体系や細かい在庫管理に対応します。
システムの選定時には、まずは導入目的と達成目標を明らかにすることがポイントです。そのうえで、必要な機能があるか、コストに見合っているか、サポート体制は十分かなどを総合的に評価しましょう。
本記事を参考に、自社のニーズに合った販売管理システムを見つけ、販売管理からビジネスを成長させてみてください。