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契約書の自動更新とは? メリット・デメリットから条項の書き方まで解説

契約書の自動更新とは? メリット・デメリットから条項の書き方まで解説

契約書の自動更新は、ビジネスの効率化を図るうえで重要な仕組みです。多くの企業が業務委託契約や賃貸借契約などで活用していますが、その運用には注意すべき点も存在します。

本記事では、自動更新条項の基本的な内容や導入によるメリット・デメリット、条項の書き方を解説します。契約管理の効率化を目指す方、自動更新条項の導入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。


この記事の監修者
弁護士法人山本特許法律事務所  パートナー弁護士 

契約書の自動更新(自動更新条項)とは?

契約書の自動更新条項は、契約期間が満了する際に、当事者から特段の意思表示がなければ、同一の条件で契約が自動的に更新されることを定めた条項です。この仕組みにより、契約期間満了のたびに新たな契約書を作成し、交渉や締結の手続きを行う必要がなくなります。

これにより、印紙税などのコストも削減でき、業務の効率化に大きく貢献します。特に、継続的な取引が前提となる業務委託契約、賃貸借契約、保守契約などで広く採用されており、現代のビジネスシーンにおいて欠かせない条項です。

「自動更新」と「自動延長」の違い

「自動更新」と「自動延長」は、実務上では同じ意味で使われることが多いものの、厳密には法的な違いが存在します。

自動更新は、契約期間満了時に元の契約と同一内容の新たな契約が成立する仕組みです。一方、自動延長では、元の契約がそのまま継続し、契約期間だけが延長されます。

この違いは、契約の同一性が問われる場面で重要になることがあります。例えば、保証契約や担保権の効力が新契約にも及ぶかという問題において、更新か延長かの区別が影響を与える可能性があるのです。

契約書を作成する際は、自社の意図する法的効果に応じて、適切な文言を選択することが求められます。

契約書の自動更新の必要性

自動更新条項は、ビジネスの継続性と安定性を確保するうえで重要な役割を果たします。

特に、システム保守やクラウドサービスなど、サービスの中断が事業に大きな影響を与える継続的な役務提供契約においては、その必要性が高まるでしょう。契約が途切れることなく継続されることで、サービス提供者と利用者の双方が安心して事業を運営できるようになります。

また、契約の継続を前提とした中長期的な事業計画を立てやすくなり、ビジネス上の予見可能性が高まるという効果もあります。自動更新条項は、単なる事務手続きの簡素化にとどまらず、事業の安定的な発展を支える重要な基盤となっているのです。


契約書を自動更新にするメリット

契約書に自動更新条項を設けることで、企業はさまざまなメリットを得られます。代表的なメリットは、以下のとおりです。

  • 契約手続きの手間とコストを削減する
  • 契約が途切れるリスクを防ぐ
  • 良好な取引関係を維持しやすくなる

ここでは、それぞれのメリットについて解説します。

契約手続きの手間とコストを削減する

自動更新条項の最大のメリットは、契約更新に関わる事務作業の大幅な削減です。通常、契約期間満了時には、新たな契約書の作成、条件交渉、押印手続きなど、多くの工程が発生します。

これらの作業を省略することで、法務担当者や事業担当者は本来の業務により多くの時間を割けるようになります。さらに、課税文書に該当する契約書の場合、更新のたびに必要となる収入印紙のコストも削減可能です。

契約が途切れるリスクを防ぐ

自動更新条項は、更新手続きの失念による契約の失効を防ぐのに有効です。特に、ITシステムの保守契約やソフトウェアライセンス契約など、一時的な中断も許されない重要な契約において、その価値は計り知れません。

もし契約が途切れてしまうと、サービスの提供が停止し、事業運営に深刻な影響を与える可能性があるでしょう。自動更新条項があれば、双方に解約の意思がない限り契約関係が継続されるため、安定したサービス提供が保証されます。

良好な取引関係を維持しやすくなる

契約更新のたびに条件交渉を行うのは、時として取引先との関係に緊張をもたらす場合があります。自動更新条項があれば、このような交渉の機会が減少し、双方が対立する場面を最小限に抑えることが可能です。

形式的な手続きに費やしていた時間を、サービス品質の向上や新たな協業の検討など、より建設的な議論に充てられます。また、交渉に伴う心理的な負担も軽減され、取引先との円満な関係を長期にわたって維持しやすくなるでしょう。


契約書を自動更新にするデメリット

自動更新条項には多くのメリットがある一方で、適切に管理されなければデメリットも生じます。

ここでは、以下のデメリットについて詳しく見ていきましょう。

  • 契約内容を見直す機会を逃す
  • 不利な条件で契約を更新してしまう
  • 管理を怠ると、不利な契約が増える

契約内容を見直す機会を逃す

自動更新に慣れてしまうと、契約内容を定期的に見直す習慣が失われがちです。市場環境や自社の事業状況は常に変化しており、当初は妥当だった契約条件が、時間の経過とともに実態にそぐわなくなることがあります。

例えば、ITサービスの利用料金は技術革新によって年々下落傾向にありますが、自動更新により、古い料金体系のまま契約を続けてしまうケースが見受けられます。また、より良い条件を提示する競合他社が現れても、既存の契約に縛られて機会損失を生む可能性も考えられるでしょう。

不利な条件で契約を更新してしまう

契約書の内容を十分に確認しないまま更新時期を迎えると、自社に不利な条項が含まれていることに気づかずに契約を継続してしまうリスクがあります。特に問題となるのは、担当者の異動や退職により、契約内容や更新時期に関する情報が適切に引き継がれないケースです。

更新拒絶の申し出期間を過ぎてしまうと、たとえ不要な契約であっても、さらに1年間継続しなければなりません。このような事態は、単なるコストの無駄にとどまらず、より有利な条件での新規契約の機会を失うことにもつながります。

管理を怠ると、不利な契約が増える

多数の契約で自動更新条項を設けている企業では、契約管理が複雑化し、全体像の把握が困難になりがちです。どの契約がいつ更新されるのか、更新拒絶の期限はいつなのかといった情報が散在し、適切な管理ができなくなります。

その結果、不要になった契約や条件の悪い契約が放置され、企業全体のコストが増加する恐れがあります。さらに、契約内容の重複や矛盾が生じても気づかず、潜在的なリスクを抱え込むことにもなりかねません。

契約管理台帳や専用システムによる一元管理体制がなければ、自動更新のメリットよりもデメリットのほうが大きくなる可能性があるのです。


契約書の自動更新条項の書き方

自動更新条項を適切に作成することは、将来のトラブルを防ぎ、円滑な契約管理を実現するために重要です。自動更新条項は、以下のポイントを基に書いていきましょう。

  • 盛り込むべき項目を定める
  • 雛形を活用する
  • 状況に応じた文例を参考にする
  • 相手方から提示された条項を確認する

ここでは、実務で使える自動更新条項の書き方を解説していきます。

盛り込むべき項目を定める

自動更新条項を作成する際は、以下の3つの要素を明確に定めるべきです。

  • 契約の有効期間
  • 更新後の契約期間
  • 更新を拒絶する場合の通知方法と通知期間

例えば、「契約期間満了の3ヶ月前までに、いずれかの当事者から書面による申し出がない限り」といった具体的な文言で、通知期間と方法を定めましょう。また、更新後の条件について「従前の契約と同一の条件で更新する」と定めるのか、それとも条件変更の協議余地を残すのかも必ず検討すべきです。

雛形を活用する

自動更新条項の基本的な雛形として、「本契約の有効期間は1年間とする。ただし、期間満了の3ヶ月前までに別段の意思表示がないときは、同一条件でさらに1年間更新され、以後も同様とする。」という文言が広く使用されています。

この雛形は、必要な要素をコンパクトにまとめているので、さまざまなケースに応用できます。

実際に使用する際は、この基本形をベースとして、自社の実情に合わせて細部を調整するとよいでしょう。例えば、「書面による通知」を「書面または電子メールによる通知」に変更したり、更新後の期間を「1年間」から「6ヶ月間」に短縮したりと、柔軟な対応が可能です。

状況に応じた文例を参考にする

基本的な自動更新条項に加えて、個別の状況に応じたアレンジを加えることで、より実効性の高い条項を作成できます。例えば、更新時に価格改定の協議を行いたい場合は、「更新に先立ち、甲乙協議のうえ、委託料などの契約条件を改定することができる」という文言を追加します。

また、無期限の自動更新を避けたい場合は、「本契約の自動更新は2回を上限とする」といった更新回数の制限を設けることも有効です。サービス内容が頻繁に変更される業界では、「更新時に最新のサービス仕様書を適用する」といった条項を加えることもあります。

相手方から提示された条項を確認する

相手方から提示された契約書に含まれる自動更新条項は、自社にとって不利な内容になっていないか、慎重に確認してください。特に注意すべきは、更新拒絶の通知期間が短すぎないか、通知方法が限定的でないかという点です。

通知期間が「1ヶ月前」などと短い場合、解約をされる場合の解約後の状況に関する検討や対応のための社内検討や手続きに、十分な時間が確保できません。そのため、最低でも3ヶ月程度の期間を確保するよう交渉することをおすすめします。

また、通知方法が「書面」のみに限定されている場合、実務上の利便性を考慮して、電子メールなどのデジタル手段も認められるよう、修正を求めることが重要です。


契約書を自動更新する際の注意点

自動更新条項を効果的に運用するためには、以下のような注意点があります。

  • 更新拒絶や条件変更の通知期間を明確に定める
  • 契約管理台帳を作成して、更新期限を管理する
  • 定期的に契約内容を見直す
  • 下請法などの関連法規に抵触しないかを確認する

ここでは、これらの注意点と具体的な対策について詳しく見ていきましょう。

更新拒絶や条件変更の通知期間を明確に定める

自動更新条項で最も重要なのは、更新を希望しない場合の通知期間を明確に定めることです。「期間満了の3ヶ月前まで」のように具体的な期間を設定し、この期限を過ぎると自動的に契約が更新される仕組みを明記しましょう。

通知期間は、自社の意思決定プロセスや社内手続きに要する時間を考慮して、無理のない期間を設定することが重要です。

また、通知期間の起算点が曖昧にならないよう、「契約期間満了日」を基準とした具体的な日付で管理してください。例えば、3月31日が契約期間満了日であれば、12月31日が更新拒絶の通知期限となるような形で、カレンダーに落とし込んで管理すると効果的です。

契約管理台帳を作成して、更新期限を管理する

自動更新条項を含む契約が増えてくると、個別の管理では限界があるため、契約管理台帳による一元管理が欠かせません。Excelやスプレッドシート、専用の契約管理システムを活用して、全契約の情報を集約すると管理がしやすいです。

台帳には、契約相手、契約内容の概要、契約期間、更新通知期限、担当部署などを記録し、誰でも契約状況を確認できる状態を維持しましょう。

特に重要なのは、通知期限の数ヶ月前に担当者へアラートが送信される仕組みの構築です。リマインダー機能を活用すれば、更新手続きの失念を組織的に防止し、計画的な契約管理が実現します。

定期的に契約内容を見直す

自動更新に任せきりにするのではなく、更新通知期限が来る前に必ず契約内容を再評価する習慣をつけるべきです。料金体系、サービス範囲、責任範囲といった主要な条件が、現在の市場相場や競合他社のサービスと比較して適正か、しっかり確認しましょう。

法務部門と事業部門が連携して、少なくとも年に一度は保有する全契約の棚卸しを行う体制を構築することが望ましいです。この定期的な見直しにより、不要な契約の解約、条件の改善交渉、より有利な代替サービスへの切り替えなどの判断が可能になります。

契約の見直しは、単なるコスト削減だけでなく、事業の競争力向上にも直結する重要な経営活動でもあります。

下請法などの関連法規に抵触しないかを確認する

親事業者が下請事業者と自動更新契約を結ぶ際は、下請法の規制に十分注意してください。下請法では、親事業者による不当な更新拒絶や一方的な条件変更は禁止されており、違反すると行政指導や罰則の対象となります。

また、下請法では契約書面の交付義務が定められているため、自動更新の際にも更新後の条件を明確にした書面を交付しなければなりません。自社が親事業者の立場にある場合は、自動更新条項の運用が下請法に違反していないか、法務担当者や弁護士に確認することが重要です。


契約書の自動更新を使いこなし、戦略的な契約管理を実現しよう

契約書の自動更新条項は、適切に活用すれば、業務効率化と取引の安定化に大きく貢献する有効なツールです。事務手続きの削減、契約の空白期間の防止、良好な取引関係の維持など、そのメリットは多岐にわたります。

一方で、契約内容の見直し機会の喪失や不利な条件での契約継続といったリスクも存在するため、適切な管理体制の構築が不可欠です。契約管理台帳による一元管理、定期的な契約内容の見直し、関連法規への配慮など、実務上の注意点を押さえることで、自動更新のメリットを最大限に活かせます。

自社も契約書の自動更新による戦略的な契約管理を実現し、企業の競争力向上と持続的な成長を目指しましょう。


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監修者プロフィール

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上米良 大輔

弁護士法人山本特許法律事務所 パートナー弁護士

2009年弁護士登録。大阪市内の法律事務所を経て、2012年にオムロン株式会社に社内弁護士第1号として入社、以降約7年にわたり企業内弁護士として、国内外の案件を広く担当した。特にうち5年は健康医療機器事業を行うオムロンヘルスケア株式会社に出向し、薬事・ヘルスケア規制分野の業務も多数経験した。

2019年、海外の知的財産権対応を強みとする山本特許法律事務所入所、2021年、弁護士法人化と共にパートナー就任。知的財産権案件、薬事規制案件を中心に、国内外の案件を広く取り扱う。

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