受付システムの費用相場を徹底解説! 料金体系や価格を抑えるコツも

受付業務の効率化を実現する受付システムですが、導入を検討する際に気になるのが費用面ではないでしょうか。システムの種類や機能によって料金は大きく異なり、自社に最適な選択をしなければ、無駄なコストが発生してしまいます。
本記事では、クラウド型・オンプレミス型のそれぞれの費用相場から、料金を抑える具体的な方法までを詳しく解説します。
【この記事のポイント】
- 受付システムの費用はクラウド型とオンプレミス型で大きく異なり、料金体系や機能、利用規模によって初期費用や運用コストが変動する。
- 費用の構成は初期費用、月額・年額費用、追加オプション費用に分かれ、必要機能の精査や契約形態の工夫でコスト削減が可能である。
- 費用を抑えるには機能の取捨選択、クラウド型の優先、複数社の比較、補助金の活用、無料トライアルによる検証などの方法が有効である。
受付システムの費用相場
受付システムの導入費用は、「クラウド型」「オンプレミス型」といった導入形態や、「買い切り型」「サブスクリプション型」などの料金体系によって大きく異なります。
ここでは、それぞれの料金体系の特徴と具体的な費用相場を詳しく見ていきましょう。
クラウド型の費用相場
クラウド型の受付システムは、インターネット経由で利用できるため、初期費用を抑えてスモールスタートが可能です。
月額費用の目安:5,000円~30,000円
初期費用:無料〜数万円程度
料金プランは、利用するID数や登録する拠点数に応じて変動する、従量課金制を採用しているサービスが多く、企業規模に合わせた柔軟な選択が可能です。基本機能のみのエントリープランから、AI機能や高度な分析機能を含むエンタープライズプランまで、幅広い選択肢が用意されています。
オンプレミス型の費用相場
オンプレミス型は、自社サーバー上にシステムを構築・運用する方式です。
初期費用の目安:50万円〜数百万円以上
月額費用:原則なし(ただし保守・運用の人件費が必要)
サーバー購入費やシステム開発費は高額ですが、自社のセキュリティポリシーに完全に準拠させられる点や、独自の要件に合わせて自由にカスタマイズできる点がメリットです。月額費用は基本的に発生しませんが、システムの保守や管理のために専門の人員を配置する必要があり、人件費が発生します。
また、システムのアップデートやセキュリティパッチの適用なども自社で対応する必要があるため、技術的なリソースが求められる点は注意が必要です。
買い切り型とサブスクリプション型の料金体系
買い切り型は導入時に一括で支払いを行うため、ランニングコストが発生しないのが最大の特徴です。初期投資は高額になりますが、長期的に利用する場合は月々の支払いを気にする必要がなく、予算管理がしやすいメリットがあります。
一方、サブスクリプション型は初期費用を大幅に抑えられますが、利用し続ける限り、月額または年額の費用が継続的に発生する点がデメリットです。
一般的に、2年以上の長期利用を想定する場合は、買い切り型のほうが経済的になる可能性があるため、事前に試算しましょう。
受付システムの費用内訳
受付システムの導入・運用には、さまざまな種類の費用が発生します。そのため事前に大まかな金額を把握しておくことが大切です。
ここでは、システム導入時から運用段階まで、具体的にどのような費用が発生するのかを詳しく解説していきます。
初期費用
初期費用には、システムのアカウント発行手数料や、導入時の各種設定を代行するサポート費用などが含まれます。クラウド型では初期費用が無料のサービスも多く存在しますが、オンプレミス型では高額なサーバー構築費が必須となり、数百万円規模の投資が必要です。
また、社員向けの操作研修や、既存システムからのデータ移行作業にかかる費用も初期コストとして忘れずに計上しておきましょう。
月額費用(ランニングコスト)
月額費用は、システムの利用権に対する基本料金です。利用可能な機能の範囲やユーザー数によって価格は大きく変動し、企業規模や用途に応じたプラン選びが重要となります。
この費用には、ソフトウェアのアップデート、サーバー保守、セキュリティ対策などの運用維持コストがあらかじめ含まれているのが一般的です。
なお、電話やチャットによるサポート費用が基本料金に含まれているサービスと、別途オプション料金となるサービスがあるため、契約前の確認が必要です。年間契約で月額料金が10〜20%程度割引きされるケースも多く、長期利用が確定している場合は検討してみると良いでしょう。
追加オプションで発生する費用
標準プランに含まれていない機能を利用する場合、追加費用が発生します。例えば、多言語対応、来訪者の顔認証機能、外部ツール(Slack・Teamsなど)との連携、高度なアクセス分析レポートなどが代表的なオプションです。
また、複数拠点の統合管理機能や、上長承認ワークフローの自動化なども、中〜大規模向けの上位プランや有料オプションとして提供されることが一般的です。
導入後にオプション機能を追加すると、割高になる場合もあります。将来的に必要となる機能がある程度見えている場合は、最初から上位プランを選択する方がコストパフォーマンスが高くなることもあるため、事前に比較・検討しておくことをおすすめします。
受付システムの費用を抑える方法
受付システムの導入には一定のコストがかかりますが、ちょっとした工夫で費用を抑えることも可能です。自社の目的に合ったサービスを選ぶことで、無駄な出費を避け、コストパフォーマンスの高い導入が実現します。
ここでは、導入費用を抑えるための5つの具体的な方法を詳しく解説します。
必要な機能に絞って検討する
費用を抑えるために効果的な方法は、本当に必要な機能だけに絞ってシステムを選ぶことです。
多機能な上位プランは一見魅力的に見えますが、実際には使わない機能が多ければ、その分のコストが無駄になってしまいます。例えば、「来訪者の記録」と「担当者への通知」だけで十分なら、シンプルなプランでも十分に業務改善が可能です。
まずは現在の受付業務の課題を明確にし、解決に必要な最低限の機能をリストアップしましょう。
クラウド型のシステムを優先的に選ぶ
クラウド型システムは、自社で高価なサーバーを用意する必要がないため、初期費用を大幅に削減できます。サーバーの維持管理コストも不要となり、情報システム部門の運用管理に関する負担を軽減する効果も期待できるでしょう。
比較的安価な月額料金で利用を開始できるため、まずは小規模に導入して、費用対効果を検証しながら拡大していくことが可能です。セキュリティ面でも、専門業者が管理するデータセンターで運用されるため、自社で管理するよりも高いレベルの安全性が確保されます。
複数のサービスから相見積もりを取る
見積もりを比較することは、最適なサービスを適正価格で導入するために欠かせません。少なくとも3社程度のサービスの比較検討により、市場相場を把握し、自社の要件に合った機能と価格のバランスを見極められます。
見積もりを依頼する際は、必要な機能やサポート範囲、利用人数など、条件を揃えたうえでの比較が大切です。競合他社の見積もりの提示で、価格交渉の材料にもなり、より有利な条件を引き出せる可能性があります。
国や自治体の補助金・助成金を活用する
中小企業を対象とした「IT導入補助金」などを活用し、最大で導入費用の3分の2程度の補助を受けられる可能性があります。この補助金は企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進を支援するもので、生産性向上に寄与するITツールが対象となっています。
受付システムも業務効率化ツールとして補助対象になることが多く、申請が承認されれば大幅なコスト削減が実現可能です。申請には条件や公募期間があるため、自社が対象となるか、経済産業省や中小企業庁の公式サイトで公募要領を事前に確認しましょう。
無料トライアルで使用感を確かめる
無料トライアルの利用で、費用をかけずに実際の操作性や機能を確認できます。実際に受付担当者や来訪対応を行う社員に使ってもらうことで、導入後のミスマッチを防ぎ、失敗による損失リスクを大幅に減らせます。
トライアル期間中は、通常業務での使い勝手だけでなく、サポートデスクの対応品質や応答速度も確認しておくことが大切です。複数のツールを比較しながら試すことで、自社に最もフィットする受付システムを見つけやすくなります。
受付システムの導入費用を抑える比較ポイント
受付システムを選定する際は、単純に費用だけで判断するのではなく、費用対効果を最大化するために重要なポイントを押さえる必要があります。
ここでは、コストを抑えながらも効果的な導入を実現するための4つの比較ポイントを解説します。
自社の受付業務の課題を解決できるか
費用の安さだけでなく、「来客対応の工数削減」「セキュリティ強化」など、自社の具体的な課題を解決できるシステムかどうかを見極めることが大切です。
例えば、担当者への電話取次が多い企業なら、SlackやTeamsへの自動通知機能が充実しているシステムを選ぶことで、大幅な業務効率化が実現できます。
また、来訪者データの分析により営業機会を創出したい場合は、詳細なレポート機能を持つシステムが優れています。
導入目的を明確にし、目的達成のために必要な機能が備わっているかを評価しましょう。
安心して任せられるセキュリティ対策か
受付システムは来訪者の個人情報を取り扱うため、通信の暗号化やIPアドレスによるアクセス制限などのセキュリティ機能が必須です。運営会社が「プライバシーマーク」や「ISMS認証」を取得しているかどうかは、システムの信頼性を測る重要な指標です。
データの保管場所や暗号化方式、アクセスログの記録機能など、具体的なセキュリティ対策の内容を事前に確認しましょう。企業の信頼性に直結する部分であるため、多少費用が高くてもセキュリティレベルの高いシステムを選ぶことが賢明な判断と言えます。
トラブル発生時のサポート体制は十分か
システム不具合により受付業務が停止すると、企業イメージを損なうため、迅速で充実したサポート体制が整っているかの確認は不可欠です。
電話、メール、チャットなどの問い合わせ方法の豊富さや、対応時間帯が平日の日中のみか、土日祝日も対応可能かを確認しましょう。導入時の初期設定サポートや、従業員向けの操作研修、定期的なオンライン勉強会の有無も選定ポイントの1つになります。 24時間365日のサポートは費用が高くなりますが、営業時間外も来客がある企業では必要な投資だと言えるでしょう。
担当者や来訪者が直感的に操作できるか
ITツールに不慣れな人でも、マニュアルを見なくても直感的に操作できる、シンプルで分かりやすい画面デザインかを確認しましょう。操作が複雑だと、社員に敬遠されて利用率が低下したり、来訪者にストレスを与えて企業イメージを損なったりする恐れがあります。
特に高齢の来訪者も多い企業では、文字の大きさや画面の見やすさ、操作手順の分かりやすさが導入成功の鍵となります。
無料トライアルを活用して、初めて操作する人でも迷わず使えるかを、実際に複数の社員で試してみることが不可欠です。
受付システムの費用を見直して、自社に最適な導入を実現しよう
受付システムの費用は、クラウド型かオンプレミス型か、また、搭載機能や利用規模によって大きく変動します。クラウド型は初期費用を抑えて導入できる一方、オンプレミス型は長期利用では総コストが安くなる可能性もあり、自社の状況に応じた選択が必要です。
費用を抑えるためには、必要な機能を必要最低限に絞ることをはじめ、実際にトライアルで検証を行なったり、補助金を活用したりと、さまざまな方法を組み合わせることが効果的です。
単に安いシステムを選ぶのではなく、セキュリティやサポート体制、操作性なども考慮しつつ、総合的な評価を行い、導入を実現しましょう。