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有給休暇管理簿とは? 作成方法と注意点を解説

有給休暇管理簿とは? 作成方法と注意点を解説

従業員の有給休暇取得状況を適切に管理することは、企業のコンプライアンス遵守に欠かせません。有給取得状況を把握できていないと、法的な問題に発展するケースもあります。正しく有給を管理するうえで重要なのが、有給休暇管理簿です。

本記事では、有給休暇管理簿の意義や法的位置付け、必要な記載項目、作成方法、保管における注意点などを詳しく解説します。


この記事の監修者
マネーライフワークス  代表/社会保険労務士・1級FP技能士・CFP 

有給休暇管理簿とは

有給休暇管理簿は、従業員ごとの有給休暇取得状況を正確に管理・把握するためのツールです。企業は従業員の有給休暇取得状況を適切に管理する必要があり、有給休暇管理簿はそのための重要な役割を果たします。

有給休暇管理簿を適切に作成・更新することで、従業員の有給休暇取得状況が可視化され、計画的な取得を促すことが可能です。以下では、有給休暇管理簿の法的位置付けと、対象となる従業員について解説します。

法律で作成と保存の義務が規定されている

有給休暇管理簿の作成と一定期間の保管は、労働基準法により企業に義務付けられています。また、有給休暇の付与日や取得日数、取得時期を記録した有給休暇管理簿を企業は作成し、一定期間保管しなければならないと規定しています。

有給休暇管理簿の作成・保管を怠ると、法令違反として指導の対象となる可能性があります。そのため、法令順守の観点から、有給休暇管理簿の適切な運用が求められているのです。

年10日以上の有給休暇が付与される従業員が対象

年次有給休暇が10日以上付与される全ての従業員が、有給休暇管理簿作成の対象です。パートタイム労働者やアルバイトも、年次有給休暇が10日以上付与される場合は管理簿作成の対象に含まれます。

正社員だけでなく、非正規雇用の従業員も含めて漏れなく、有給休暇管理簿を作成しなければいけません。そのため、対象となる従業員を適切に把握し、管理簿への記載を徹底することが重要です。

有給休暇管理簿に必要な記載項目

ここまで、有給休暇管理簿の必要性を解説しました。では、有給休暇管理簿にはどのような事項を記載するのでしょうか。

有給休暇管理簿に必要な記載項目は、以下のとおりです。

・取得時期
・日数
・基準日

ここでは、上記の項目について解説します。

取得時期

取得時期は、従業員が有給休暇を取得した具体的な日付を記録する項目です。有給休暇を取得した日を漏れなく記載し、従業員ごとの取得状況を正確に把握する必要があります。

また、半日単位や時間単位での有給休暇取得がある場合は、適切に記録できるよう工夫が求められます。

日数

日数は、従業員の有給休暇残日数を、付与日数と取得日数から算出して記載する項目です。入社日からの勤続年数に応じて付与される有給休暇日数から、取得済みの日数を差し引いて管理します。

有給休暇の繰越制度がある場合は、前年度からの繰越日数も含めた総合的な残日数管理が必要です。これにより、「年5日取得義務」の遵守状況も一目で確認できます。

基準日

基準日は、有給休暇の付与日を従業員ごとに記録する項目で、一斉付与の場合は全員同一日付となります。入社日が異なる従業員がいる場合は、一人ひとりの基準日を正確に管理簿に記載しなければなりません。

基準日を把握していないと、正しい日数の有給休暇を付与できないため、管理簿への記載は重要です。特に、新卒入社より中途採用が中心の企業では、従業員の入社日と基準日がまばらになりやすいので、気を付けてください。

有給休暇管理簿の主な作成方法

ここまで、有給休暇管理簿の軸となる事項について紹介しました。では、どのような方法で管理簿を作成していくのがよいのでしょうか。

有給休暇管理簿の主な作成方法は、以下のとおりです。

・勤怠管理システムで作成する
・Excelで作成する
・紙に記入する

ここでは、上記の作成方法について説明します。

勤怠管理システムで作成する方法

勤怠管理システムを導入することで、有給休暇管理簿の作成をほぼ自動化できます。これは、多くの勤怠管理システムには、有給休暇の付与や取得状況を自動で計算し、管理簿を出力する機能が備わっているためです。

手作業での管理簿作成に比べ、ミスが少なく、効率的に有給休暇管理業務を行うことができます。そのため、勤怠管理システムを既に導入している企業は、自社のシステムを活用して作成するのが賢明でしょう。

Excelで作成する方法

Excelを使えば、有給休暇管理簿を簡単に作成・更新でき、数式で自動計算も可能です。Excelの表計算機能を活用することで、従業員ごとの有給休暇付与日数や残日数を効率よく管理できます。

Excelでの管理簿作成は、勤怠管理システムほどの自動化は難しいですが、低コストで導入できるメリットがあります。中小企業など、勤怠管理システムの導入が難しい場合に、有効な選択肢と言えるでしょう。

紙に記入する方法

紙に手書きで記入する方法は、有給休暇管理簿作成においてシンプルで特別なツールを必要としません。小規模な企業や、ITツールの導入が難しい職場などでは、紙の管理簿が有効な選択肢となります。

ただし、手書きでの記入は手間がかかり、計算ミスなどのリスクもあるため注意が必要です。また、紙の管理簿を選択する場合は、記載内容の正確性と保管方法に十分な配慮が求められます。

有給休暇管理簿の保管について

有給休暇管理簿の作成と並んで重要なのが、適切な保管です。有給休暇管理簿は、必ず以下のポイントを押さえて保管してください。

・保管期間は3年間(法律上は5年間だが、経過措置あり)
・保管義務に違反しても罰則規定なし

ここでは、上記の注意点を解説します。

保管期間は3年間(法律上は5年間だが、経過措置あり)

有給休暇管理簿の保管期間は、現在は経過措置により3年間でよいとされていますが、本来は5年間の保管が必要になります。将来的には完全に5年保管に移行する可能性があるため、今のうちから長期的な保管体制を整えておくことが望ましいでしょう。

そして、紙の管理簿の場合は劣化や紛失に注意し、データの場合はバックアップを取るなど、保管方法にも配慮が必要です。企業のコンプライアンスを損なう恐れがあるので、必ず適切な期間の保管を心がけてください。

保管義務に違反しても罰則規定なし

有給休暇管理簿の保管は義務ではありますが、違反しても直接の罰則規定はありません。ただし、管理簿がないために有給休暇の付与漏れや不適切な取り扱いが発覚した場合、労働基準監督署から指導を受ける可能性があります。

また、トラブル防止の観点からも、適切な管理簿の作成と保管に努めることが重要です。有給休暇管理簿の適切な運用は法令順守だけでなく、働きやすい職場環境の整備にもつながり、従業員との信頼関係構築にも寄与します。

有給休暇管理簿を付けて、従業員のワークライフバランスを向上しよう

有給休暇管理簿は、従業員ごとの有給休暇取得状況を正確に管理し、把握するための帳簿です。有給休暇管理簿の作成と一定期間の保管は、法律で企業に義務付けられています。保管期間は3年と定められていますが、将来的には5年保管に移行する可能性も見据えておきましょう。

有給休暇管理簿の作成は、法令順守のために不可欠です。自社に合った方法で、正確に管理簿を付けることが求められます。

有給休暇管理簿は、単なる義務としてではなく、従業員のワークライフバランス向上と企業の生産性アップにつなげるツールとして活用しましょう。適切な有給休暇管理は、従業員の満足度向上と企業の持続的な成長に寄与する重要な取り組みです。

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監修者プロフィール

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岡崎 壮史

マネーライフワークス 代表/社会保険労務士・1級FP技能士・CFP

生命保険の営業や不動産会社の営業企画を経て、1級FP技能士とCFPを取得。

平成28年に社会保険労務士試験に合格。その翌年にマネーライフワークスを設立。

現在は、助成金申請代行や助成金の活用コンサルを中心に、行政機関の働き方改革推進事業のサポート事業や保険などの金融商品を活用した資産運用についてのサイトへの記事の執筆や監修なども行っている。

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