総務の仕事。「社内イベントの効果」
総務から会社を変えるシリーズ
社内イベントの効果
前回は、オフィスでの社内コミュニケーション活性化について記しました。今回は、社内イベントによる社内コミュニケーション活性化についてです。 では、そもそも、社内イベントの効果とは、どのようなものがあるのでしょうか。ある調査データでは、社内イベントを行うことで、下記の効果があるとされています。
- 職場の中でコミュニケーションが増えた
- 他部門と仕事がしやすくなった
- 仕事に対するモチベーションが上がった
- 上司と話しやすくなった
- 職場に活気が出た
このように、社内コミュニケーションに対して大きな効果があるとともに、業績向上にも効果があるようです。他部門と仕事がしやすくなる、モチベーションが上がる、上司と話しやすくなる。これらは、そのまま業績向上につながる良い風土に直結するからです。
社内コミユニケーションの活性化がされると、組織のベースとなるコミュニケーションが活性化されるとともに、他の部門との協業する風土や、それによるイノベーションが生まれる風土が醸成されることにもつながるのです。このように大きな効果が見込まれる社内イベントですが、さらにその効果をアップさせるにはどのような取り組みが必要となってくるのでしょうか?
なぜ行うのか、その意図を明確に
社内イベントには、コストも人手もかかります。就業時間内に行われる社内イベントでは、参加した社員の仕事の機会損失というリスクも背負っていることになります。周年事業のイベントなら、多大なコストと社外のお客さまへの配慮も必要となります。当然ながら、何か企画意図があって社内イベントを行うのですから、事務局内では社内イベントの企画意図について首尾一貫した姿勢が必要となります。判断に迷った際の判断軸となりますし、参加者に対しては「ぶれない、意味のある」イベントとして見せていかなければなりません。逆に言えば、今まで行っていた社内イベントの目的を再度見直してみるべきです。そもそも何のためにそのイベントを行っていたのか、目的は何なのか。単純な親睦会だけで良いのか、多少なりとも経営メッセージを含ませるのか。せっかく多くの社員を集めたのであれば、去年より、前回より効果のあるものにしたいところです。
例えば、12月の定例行事である忘年会。例年通りに行うのではなく、忘年会の目的は何なのか、いま一度考えてみましょう。目的が「組織風土を良くするための懇親の場」であるなら、年間MVPを表彰する場にしてもいいかもしれません。その際も、なぜ表彰されたかを伝えることで、「会社はこのような動きをする社員になって欲しいのか」という気づきにもつながります。そのような仕掛けをすることで、従来の飲み会も少しバージョンアップし、さらに効果のあるものにすることができます。事務局側の首尾一貫性とともに、社内イベントを開催、告知する際にも、企画意図を明確に謳っておくことが大切です。参加する側もベクトルを合わせておくことで、イベントの成功率も上がります。先の忘年会の企画意図やプログラムを事前に告知しておくことで参加する側の心構えともなり、事前準備も可能となり、結果として成功し、意図した企画の効果を上げられることになります。確かに、サプライズという趣向もあるでしょう。それはそれで隠しておいて、しかし企画意図やイベントの目的は事前に明確にして、告知することが大切です。
社内イベントでの逆効果?
一方で、失敗する社内イベントとはどのようなものなのでしょうか。 先述のデータでは、社内イベントの良くなかった点の上位3つは以下の通りです。
- 一方的に聞くだけで退屈した
- 社長や役員の話が長すぎた、または共感できなかった
- 参加したのが一部の社員のみだった
全社会議やキックオフ、表彰式や周年イベント等で考えられることですが、経営層の話が長いと、社内イベントに悪い印象を与えてしまうようです。それはそのまま、事務局側・運営側への不信感となってしまいます。忙しい中をやりくりして参加したのに、そのイベントに価値を見いだせないとなると、その不満は大きくなってしまいます。コストをかけて社員の時間も使ったのに、結果として社員の不満だけを募らせてしまう最悪のものとなってしまいます。
経営層としては、せっかく多くの社員が一堂に会したのですから、伝えたいことをこの場で全て伝えたいと思うのも仕方ないことでしょう。事務局側としては経営層と参加者との板挟みとなりますが、参加者が満足しない限り、そのイベントは成功とは言えません。発信者側のみ満足するイベントは、是非とも避けたいところです。
どうしたら参加したいと思うか
それでは最後に、参加者が喜ぶ社内イベントはどのようなものでしょうか。社内イベントに参加して良かった点として、以下が挙げられています。
- 社員全員が同じ場所に集まったこと
- 参加型で、自分たちも一緒に楽しめたこと
- 食べ物や飲み物が良かったこと
集まること自体が良かったとされています。社員全員が集まることはあまりないでしょうし、オンライン全盛のこの時代だからこそ、リアルなコミュニケーションが必要とされているのかもしれません。先述の、社内イベントの良くなかった点の裏返しとして、自らも参加でき、楽しめることが評価されています。情報交換会でも、最も満足が高いのは「話をした人」です。有益な情報を得ることの満足よりも、自分も係わった、自分も参加したという意識が大切なのです。
参加したいと思う社内イベント
- 社員同士が和やかに交流できる社内イベント
- 海外など普段行けない場所で開催される社内イベント
- 他部門のことが分かったり交流したりできるイベント
ここでも、和やかに交流すること、つまりは当事者として参加できることが望まれている結果となっています。全員参加のワークショップでも懇親会でも、席に座りっぱなしというイベントは避けるべきでしょう。いずれにせよ、企画運営側としては参加者目線で、参加することにどのような意味があるのか、参加することのメリットは何なのか、自らも参加でき楽しめることができるのか、といった視点で企画することが大切です。「コミュニケーションは受け手により成立する」と同様に、イベントも参加者の参加した感想が、その成功の鍵を握っていると考えて企画しましょう。