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防災対策に活用できる補助金・助成金完全ガイド【2025年最新版】

防災対策に活用できる補助金・助成金完全ガイド【2025年最新版】

企業にとって、事業継続と社会的責任の観点から防災対策は欠かせません。しかし、防災対策には設備投資や、備蓄品の購入等多額の費用がかかるため、中小企業には大きな負担となってしまいます。そこでおすすめしたいのが、補助金や助成金の活用です。

本記事では、防災対策に活用できる補助金・助成金について、活用するメリットや利用可能なものの一覧、選び方や申請のポイントを解説します。費用が課題となりシステム導入を迷っている企業は、ぜひ参考にしてください。


この記事の監修者
  税理士・米国税理士・認定心理士 

補助金・助成金を活用するメリット

防災対策にも利用できる補助金・助成金を有効に活用することには、どのようなメリットがあるのでしょうか。

補助金・助成金を活用する主なメリットは、以下のとおりです。

  • 防災費用の負担を軽減できる
  • 事業継続力の強化につながる
  • 企業イメージの向上につながる
  • 従業員の安全を確保できる

ここでは、上記のメリットについて詳しく解説します。

防災費用の負担を軽減できる

補助金や助成金を利用すれば、防災対策に必要な設備投資や、備蓄品の購入にかかる費用の一部を補助金で賄えます。自己負担額が減ることで、企業の財務負担が軽減され、他の事業活動に資金を回せるでしょう。

中小企業でも、補助金を活用することで、大企業並みの防災対策を実現できる可能性があります。実際、防災システムや防災設備は中小企業にとってかなり高額です。そのため、補助金による費用の軽減を利用することで、より高度な防災対策への取り組みが可能になります。

事業継続力の強化につながる

補助金を活用して防災対策を充実させることで、自然災害による被害を最小限に抑えられます。それにより、災害時の事業中断リスクを低減し、早期の復旧が可能となるのは大きなメリットです。

事業継続力の強化は、企業の競争力向上と持続的成長につながります。防災対策に注力する企業は、取引先や顧客に信頼と安心感を与え、安定的な事業運営を実現できるでしょう。

企業イメージの向上につながる

防災対策は企業の社会的責任の一環であり、積極的に取り組む姿勢を示すことができます。補助金を有効活用して防災対策を強化する企業は、「万が一の時でも安心できる企業」というイメージに直結し、社会からの信頼を獲得できるでしょう。

加えて、防災先進企業としてのイメージ向上により、顧客や投資家からの評価が高まることも期待できます。特に日本は災害の多い国であるため、防災意識への評価は重要です。また、企業価値の向上にもつながるため、補助金の活用は戦略的な意味合いも持っていると言えます。

従業員の安全を確保できる

補助金を活用した防災対策により、従業員の安全確保が可能です。災害時の行動マニュアルや備蓄品の整備は、従業員の不安を軽減し、士気向上にもつなげられるでしょう。

企業が従業員の安全を優先する姿勢を示すことで、組織の一体感が高まります。特に、工場や現場といった職種では、災害が命に直結するため、防災対策の充実は日頃の業務に安心感をもたらします。従業員のモチベーション向上や優秀な人材の確保にも、好影響を与えるでしょう。


防災対策に利用可能な、主要な補助金・助成金一覧

企業が活用できる防災関連の補助金・助成金には、さまざまな種類があります。主な補助金・助成金は以下のとおりです。

  • IT導入補助金(経済産業省)
  • BCP実践促進助成金(東京都)
  • 防災・省エネまちづくり緊急促進事業補助金(国土交通省)
  • 地域介護・福祉空間整備等施設整備交付金(厚生労働省)
  • 自治体独自の防災関連補助金・助成金

ここでは、上記の制度を詳しく見ていきましょう。

IT導入補助金(経済産業省)

IT導入補助金は、中小企業・小規模事業者等の労働生産性の向上を目的として、業務効率化やDX等に向けた ITツール(ソフトウェア、サービス等)の導入を支援する補助金ですが、BCP対策に必要なITツールやシステムの導入費用を補助することにも利用可能な制度です。

補助対象には、バックアップシステムやセキュリティ対策ツール、在宅勤務環境の整備等が含まれます。

通常枠におけるIT導入補助金制度の詳細を、下表にまとめました。

補助対象 補助金額 補助率
  • ソフトウェア
①顧客対応・販売支援
②決済・債権債務・資金回収
③供給・在庫・物流
④会計・財務・経営
⑤総務・人事・給与・労務・教育訓練・法務・情シス
⑥業種固有プロセス
⑦汎用・自動化・分析ツール
  • 導入関連費

    左の①~⑦のうち1プロセス以上の場合

    「5,000円以上150万円未満」

    1/2以内

    左の①~⑦のうち4プロセス以上の場合

    「150万円以上450万円以下」

    (参考:サービス等生産性向上IT導入支援事業『IT導入補助金2025』の概要 | 中小企業庁

    BCP対策にIT投資を行う企業は、この補助金を活用することで費用負担を軽減できるでしょう。IT化により業務効率化も図れるため、一石二鳥の効果が期待できます。

    BCP実践促進助成金(東京都)

    BCP実践促進助成金は、BCPの策定・実践に必要な物品や設備の導入費用を助成する制度です。東京都内の中小企業がBCPを実行に移す際の、初期投資を支援する目的で設けられています。

    東京都のBCP実践促進助成金は、1つの事業者が単独で使用する単独型と複数事業者間で共用する連携型の2種があります。それぞれの詳細を、下表にまとめました。

    申請の種類 助成対象 申請要件 助成率 助成額
    単独型 ①従業員用の備蓄品
    ②発電機、ポータブル電源
    ③安否確認システム
    ④感染症対策の物品
    ⑤土のう、止水版
    ⑥転倒防止装置等
    ⑦データバックアップ専用のサーバー(NAS)、クラウドサービスによるデータのバックアップ
    ⑧基幹システムのクラウド化
    ⑨耐震診断 等
    • 公社が実施するBCP策定支援事業による支援
    • 中小企業庁「事業継続力強化計画」の認定

    中小企業:1/2
    小規模企業者:2/3以内

    10万円~1,500万円(基幹システムのクラウド化の助成上限額450万円を含む)

    連携型
    • 中小企業庁「連携事業継続力強化計画」の認定

    中小企業:1/2

    10万円~1,500万円(基幹システムのクラウド化の助成上限額450万円を含む)

    (参考:BCP実践促進助成金 | 設備助成(setsubijosei) | 東京都中小企業振興公社

    なお、単独型と連携型共に、申請時にはBCPの作成が必要です。都内の企業は、この助成金を活用してBCP対策を加速させることができるでしょう。また、防災力を強化するための基幹システムのクラウド化にかかる費用の一部も助成の対象となり、効果は大きいでしょう。

    防災・省エネまちづくり緊急促進事業補助金(国土交通省)

    防災・省エネまちづくり緊急促進事業補助金は、防災機能を備えた施設の整備費用を補助する制度です。 民間事業者も申請可能で、防災とまちづくりを両立する取り組みを支援しています。

    緊急的な政策課題に対応した、質の高い施設建築物等の整備に関する事業について、国が施行者等に対して事業のための費用の一部を交付することで、事業の緊急的な促進を図ります。

    防災・省エネまちづくり緊急促進事業補助金制度(政策課題対応タイプ)の詳細を、下表にまとめました。

    対象事業
    • 市街地再開発事業
    • 優良建築物等整備事業
    • 地域優良賃貸住宅整備事業
    • 住宅市街地総合整備事業
    • 防災街区整備事業
    • 都市再生整備計画事業の交付対象事業
    • 地域住宅計画に基づく事業の交付対象事業
    • 集約都市開発支援事業の助成を受ける認定集約都市開発事業
    必要要件
    • 高齢者等配慮対策(バリアフリー化)
    • 子育て対策(バリアフリー化、防犯性、共働き世帯支援、可変性等)
    • 防災対策(帰宅困難者支援[都市部]、雨水対策[都市部]、構造安全性)
    • 省エネルギー対策(ZEH・ZEB水準への適合)
    • 環境対策(リサイクル性への配慮、劣化対策、ライフサイクルコスト)
    選択要件
    • 防災対策(帰宅困難者支援[地方部]、延焼遮断、津波に対する構造安全性、雨水対策[地方部] 、給水関連施設)
    • 省エネルギー対策(ZEH-M Ready, ZEB Ready水準への適合)
    • 環境対策(都市緑化、木材利用、優良緑地確保計画)
    • 子育て対策(遮音性向上、居住環境)
    • 生産性向上(BIMの導入)
    • 働き方対策(テレワーク拠点の整備)
    地域要件

    住宅部分については、下記地域内で実施される事業に限るものとする。

    • 三大都市圏の既成市街地、近郊整備地帯又は都市開発区域
    • 都市再開発方針の1号市街地、2項地区
    • 居住誘導区域内であって、人口密度が40人/ha以上の区域内
    • 県庁所在都市等の通勤圏のうち、昭和45年国勢調査による人口集中地区または計画地等
    その他要件

    住宅部分については、下記を満たすものを対象とする。

    • 住宅性能評価書の交付を受けるもの
    • 居住水準の向上に資するもので、適切な維持管理について配慮されているもの
    • 長期優良住宅建築等計画等の認定を受けるもの
    補助金額

    補助対象事業の建設工事費(他の国庫補助に係る補助対象事業費を除く)に対し、要件の充足数に応じて、以下の割合を乗じて得た額の範囲内とする。

    • 必須要件のみの場合:3%
    • 必須要件及び選択要件の2項目を充足する場合:5%
    • 必須要件及び選択要件の3項目を充足する場合:7%

    (参考:市街地整備:防災・省エネまちづくり緊急促進事業 - 国土交通省

    補助対象は、帰宅困難者支援施設や避難所、防災拠点等です。地域の防災力向上に貢献できる施設整備を検討している企業は、この補助金の活用を検討してみましょう。

    地域介護・福祉空間整備等施設整備交付金(厚生労働省)

    地域介護・福祉空間整備等施設整備交付金は、介護施設等の防災設備整備費用を交付する制度です。高齢者施設の防災機能を強化し、入居者の安全を確保することを目的としています。

    対象となる設備は、スプリンクラーや自家発電設備、水害対策設備等です。介護事業者は、この交付金を活用して、利用者の命を守る取り組みを進めることができるでしょう。各地域によって要件や金額等が異なるので、詳細は企業が属する行政のホームページで確認してみてください。

    自治体独自の防災関連補助金・助成金

    地域の防災計画に基づいて、地域特有の災害リスクに対応した支援制度が用意されている場合があります。そのため、企業は地域によって異なる自治体独自の防災関連補助金・助成金制度を確認することが欠かせません。

    自社の所在地や事業内容を踏まえたうえで、補助金・助成金を探してみましょう。地域の商工会議所や自治体のウェブサイトで、情報収集を行なってみてください。


    補助金・助成金の選び方と申請のポイント

    ここまで、防災関連の補助金や助成金を紹介してきました。補助金・助成金を有効に活用するためには、適切な制度の選択と、円滑な申請手続きが重要になります。

    補助金・助成金を選び、申請する際には、以下のポイントを意識しましょう。

    • 自社の防災対策プランに合った制度を探す
    • 申請のタイミングと必要書類を事前に確認
    • 審査のポイントを押さえる

    ここでは、上記のポイントを詳しく解説します。

    自社の防災対策プランに合った制度を探す

    企業は、自社の防災対策の内容や規模に合った補助金・助成金を選択する必要があります。事業継続計画(BCP)の内容を確認し、優先順位の高い対策に適した制度を探すことが肝心です。

    複数の補助金・助成金を組み合わせて活用することで、防災対策の実効性を高められるでしょう。その際、各制度の特徴を理解し、自社の防災戦略に合ったポートフォリオを組むことが求められます。

    申請のタイミングと必要書類を事前に確認

    企業は、補助金・助成金の募集期間や申請締切、必要書類を事前にチェックしておきましょう。申請書類の作成には時間がかかるため、早めの準備がおすすめです。

    申請要件を満たしているか、必要な添付資料が揃っているかを確認してから申請しましょう。不備があると審査に通らない可能性があるため、慎重に準備を進めてください。

    審査のポイントを押さえる

    企業は、補助金・助成金の申請から交付までの流れと、審査のポイントを理解しておかなければなりません。申請書類の記入漏れや誤りがないか、提出期限を守れているか等が審査のポイントです。

    なお、補助事業の進捗状況や効果について、適切な報告が求められる場合があります。事業計画の実現可能性や費用対効果も、重要な審査項目となるでしょう。


    防災対策と補助金を活用して、企業の持続的成長につなげよう

    企業は、補助金・助成金を有効活用することで、防災対策と持続的成長を両立できます。防災対策は企業の存続に直結する重要な経営課題であり、積極的に取り組まなければなりません。

    防災力の高い企業は、顧客や社会からの信頼を獲得し、競争力の向上につなげることができます。自社の事業特性や地域性を踏まえた防災対策を立案し、適切な補助金・助成金の活用を検討してみてください。


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    監修者プロフィール

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    竹中 啓倫

    税理士・米国税理士・認定心理士

    上場会社の経理部門で個別決算を中心とした決算業務に従事する傍ら、竹中啓倫税理士事務所を主宰する。
    税理士事務所では、所得税・法人税を中心に申告業務を行っている一方で、外国税務に関するセミナー講師を行っている。
    心理カウンセラーとして、不安を抱える人々に対して寄り添って、心の不安に答えている。
    税理士会の会務では、名古屋税理士協同組合理事を務める。

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