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ビジネスモデルってなに?(リラクゼーションサロン編)

著者: 中小企業診断士  山本 哲也

ビジネスモデルってなに?(リラクゼーションサロン編)

「うちのビジネスモデルは古くって、もう通用しないんだよねぇ」とか「これからのビジネスモデルは……でないとね!」などというと聞こえがよく、頻繁に使ってしまう言葉ですよね。

ところで、この「ビジネスモデル」という言葉、いろいろな解釈があるようですが、いったいどのように理解すればよいのでしょうか?


ビジネスモデルとは

早速ですが「ビジネスモデルってなんですか?」と学生に聞かれたらなんと答えますか?

人や場面によって多少の違いはありますが、最大公約数的に言うと「事業運営の中でどうやってどこから収益を上げるか?」をモデル化したものといったところでしょうか。簡単に言うと「だれをターゲットにし、どのようなニーズに設定するか?」、それに対して「どのような製品群やサービス展開を提供するか?」などについて論理的に体系化したものです。大きなビジネスモデルになると、事業を運営している本人たちも理解できていないことがあるほどです。

今回は、リラクゼーションサロンの事例をもとにビジネスモデルについて一緒に考えていきたいと思います。


顧客と立地はセットで考える

あなたのお店、立地はすでに決まっているのでしょうか? それともこれから探す計画でしょうか?

お店は、出したい場所に出せるものではありません。有店舗ビジネスの場合、自分たちが対象顧客としたい人たちと出会えるエリアに店舗を探すのか? それとも店舗がある場所やその近辺で活動している人たちの中から対象顧客を選定するのか?または、その折衷案ということになります。資本力があれば、スタート時点で都合のよい方を選べばよいですが、初めてのビジネスの場合、そうはいかないことがほとんどです。

固定費予算の範囲内で、地縁・血縁・土地勘があり、ご自身が修行していたお店の商圏から外れた場所。そして競合店の存在を確認するくらいで十分です。立地に関しては、まだまだお伝えしたいこともあるのですが、今回はビジネスモデルのお話ですので、これくらいにしておきます。

また、競合店については、同業だけはなく、自店の対象顧客が利用する商品・サービスはすべて競合と捉えたうえで検討しましょう。


大切なのは顧客ニーズ

先ほど「競合店を調べましょう」と言いましたが、これに関しては、後から出店してきてしまう場合もありますし、「一軒も競合が見当たらないので出店してみたら、顧客もいなかった」なんてこともときどき聞く話です。ですから、すでに顕在化している競合店には、それほど神経質にならなくてもよいでしょう。競合店を細かく調査するよりも、どのような顧客がいて、そのサロンは「どのようなサービス・料金体系で展開していて、そのサロンのどの部分に顧客が魅力を感じて通っているのか?」がとても重要な情報です。ネットの口コミだけはなく、必ずご近所さんなどにヒアリングしましょう。

店舗の立地(駅からの距離、面積、間口、近隣店舗、ビルの雰囲気など)が決まれば、対象顧客およびそのニーズを特定しましょう。まずは、仮説を設定し、それに基づいて、対象顧客と思しき人たちに聞いて回ったり、見て回ったりすることです。私は、1店目の開業では、必ずと言っていいほど地縁・血縁のあるところをお勧めしているのですが、その理由は、二つあります。

1点目は、まずは、練習台のお客様になってもらえることです。顧客がいなければ、スタッフへの施術トレーニングはもちろんのこと、顧客管理などの店舗運営の仕組み作りもやりづらいです。

2点目は、近隣の情報収集ができる点です。先述の競合店情報や見込み客情報、周辺人口の移動の様子や、キーマンに関することなど、新規サロンに必要な情報がとても集めやすくなります。加えて、口コミや紹介を期待できることも大きな要因です。一人目のお客様が二人の見込み客を紹介してくだされば、きちんとした施術をしていれば大きくつまずくことは避けられます。


製品・サービスではなく提供価値

先ほどきちんとした施術と書きましたが、“きちんとした施術”とはなんでしょうか?私は、「顧客ニーズを満たす提供価値」、つまりお客様の課題を取り除くことのできる解決策だと思います。レビット先生の有名な言葉に「ドリルを買いにきた人が欲しいのはドリルではなく『穴』である」というものがあります。まさにこの『穴』が提供価値なのです。

顧客は、マッサージを受けたいのではないのです。では、あなたの顧客は、リラクゼーションサロンになにを求めているのでしょうか?それは、ぜひ、あなたの顧客に聞いてみてください。「痛みや辛さから解放されたい」のかもしれませんし、「あなたに身の上話を聞いてほしい」のかもしれません。他にも「単に、一人の時間が欲しい」や「健康に暮らすアドバイスを欲しい」などたくさん出てきそうです。

あなたのお店が、どの顧客ニーズに着目するのか?どのような価値を提供したいのかが問われています。


料金設定

最後に料金のお話。料金を検討するにあたっては、たくさんの情報を頭に入れて多面的に検討する必要があります。ここでは、その代表的な3点について触れたいと思います。

まず1点目は、自店が顧客に対して提供できる価値について考えてみます。自分の施術は、どの程度顧客を満足させられるのか? 顧客は、いくらくらいまでなら出せると感じるのか?

2点目に、コストから考える方法。リラクゼーションサロンの場合、コストの代表的なものは、家賃、機器類の減価償却費、そしてセラピストへの支払いではないでしょうか?セラピストへの支払いを固定給にするのか、歩合や部屋貸しとするのかによっても変わりますが、来店客のいない非稼働時間帯にも発生するコストは見過ごせないほど大きなものになることがありますので要注意です。

3点目に、近隣店の料金体系も見過ごせない情報です。そして、その近隣店は予約が取れないほど繁盛しているのか、手待ち時間があって、集客に困っているのか? 近隣店のサービス体系、品質、立地、料金体系などから妥当な相場ラインを検討します。相場観がつかめたら、その相場に対して自店のポジショニングをどう設定するか?ということになります。

安く設定して、薄利多売路線でいくのか? それとも、高く設定して、高級路線でいくのか? あなたのお店を顧客にどのように捉えてもらいたいのかを決定することになります。しっかり顧客の声に耳を傾け、行動を観察したうえで、じっくりと考えて結論を出しましょう。料金の変更は一時的ではありますが必ず顧客満足を下げることにつながりますので要注意です。


まとめ

いかがでしたでしょうか? ビジネスモデルは簡単に使ってしまう言葉ですが、ビジネスに関するたくさんのことが含まれています。つまり、自分たちのビジネスについて「だれのどんな課題にどのような解決策を提示し、どのように見られたいのか?」について決定することです。

最後に、本日お伝えしたことをさらに深く考え、文字に落とし込むための“リーンキャンバス”というツールをご紹介します。リーンキャンバスは、簡単に使えて奥の深いツールです。まずは、各象限のタイトルから思いつくことを付箋などにメモ書きし、張り付けるところから始めてみてください。それをなんども繰り返すことで、全体のバランスが取れた、あなたのビジネスを表現するキャンバスとなることでしょう。

リーンキャンバスの項目

最後までお読みいただきありがとうございました。

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著者プロフィール

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山本 哲也

中小企業診断士

PROFILE
ライター,コンサルタント
1966年生まれ,大阪府大阪市出身。
1998年ビルクリーニング技能士取得
2019年年中小企業診断士登録
総合サービス事業会社にてオープンイノベーションによる新規事業開発を担当。得意分野は新規事業開発、事業企画、営業チームビルディング、フランチャイズビジネス

お問い合わせ先
株式会社プロデューサー・ハウス
Web:http://producer-house.co.jp/
Mail:info@producer-house.co.jp

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