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独立開業時に有効な補助金・助成金について

独立開業時に有効な補助金・助成金について

サラリーマンとして長年勤めてきた会社を退職して、独立開業する方もおられることと思います。筆者自身も3年後の独立を目指して現在副業を始めていますが、独立開業する際には何かと資金が必要となります。

例えば、開業時の手続き費用や事務所賃料、パソコン・プリンタやインターネットなどのIT関連費用などです。サラリーマン時代とは異なり、独立して仕事をするための環境面などもすべて自分で調達しなければなりません。何かと費用がかかりますが、申請手続きをすることで手元に資金が入る公的制度があります。それが、補助金や助成金です。

本記事では、独立開業した際に活用できる補助金・助成金について紹介します。


この記事の著者
  中小企業診断士 

1.補助金・助成金とは

(1)補助金

補助金は一定の公募期間内に申請し、一定の審査を経て採択されることにより支給されます。主に経済産業省や自治体などが実施しており、予算の関係から採択数の上限が設定されていることが多いです。申請においては、事業計画書で事業の目的や今後の成長のために必要な経費内容、売上計画を説明することが重要です。中長期的に会社が成長するきっかけとして、補助金を活用することが想定されています。

(2)助成金

助成金は年間を通して随時募集されており、募集期間内に申請し、一定の要件を満たしていれば受け取ることができます。主に厚生労働省が実施しており、雇用調整助成金やキャリアアップ助成金などが代表的な助成金です。助成金の受給により、雇用を増やすことや従業員のスキルを向上させることが期待されています。


2.独立開業時に有効な補助金

それでは、独立開業した際に活用できる補助金について、その事例を紹介します。筆者が千葉県在住であることから、千葉県で活用できる補助金についても紹介します。

(1)IT導入補助金

IT導入補助金は、ITツールを導入するための事業費等の経費の一部を補助することにより、補助事業者(中小企業・小規模事業者等)の生産性向上を図ることを目的としています。自社の強み・弱みを分析し、生産性向上のためプロセスの改善と効率化に資する方策として、あらかじめ事務局に登録されたITツールを導入する補助事業者に対し、当該ITツールの導入費用の一部を補助するものです。

ITツールとは、補助事業者の労働生産性向上に資する①ソフトウェア、②オプション(機能拡張、データ連携ツール、セキュリティ)、③役務(導入コンサルティング、マニュアル作成、保守サポート)の3つからなります。

①補助対象経費

ソフトウェア費、導入関連費

②補助率

1/2以内

③補助金額

A類型:30万円~150万円未満

B類型:150万円~450万円

(参考:IT導入補助金2021サイト

(2)成田市創業支援補助金

成田市では、産業の振興および活性化を図ることを目的として、市内で創業する事業者に対して補助金を交付しています。交付対象は、市内において申請年度内に創業を行う、または申請時に創業の日から6カ月を経過しない事業者です。また、市税等の滞納がないこと、市内に事業所を設置している、または設置しようとしていること、成田商工会議所または成田市東商工会が実施する創業相談を受け、適切な事業計画を有しているものとして推薦を得ていることなどが条件となります。

個人事業者においては、事業完了までに市内に居住して住民基本台帳に記録されていること、法人においては、事業完了までに市内を本店所在地として法人登記が行われていることも条件となります。

①補助対象経費

創業に必要な官公庁への申請書類作成等に係る経費

店舗等借入費、設備費、マーケティング調査費、広報費

②補助率

1/2以内

③補助金額

1事業者当たり上限50万円

(参考:成田市ホームページ)

成田市創業支援補助金


3.独立開業時に有効な助成金

次に、独立開業した際に活用できる助成金について、その事例を紹介します。

(1)創業助成事業(東京都)

都内開業率の向上を目標に、東京都における創業のモデルケースになりうる、都内での創業予定の個人、または創業間もない中小企業等に対して、創業初期に必要な経費(賃借料、広告費、従業員人件費等)の一部について助成を行います。

①助成対象経費

賃借料、広告費、器具備品購入費、産業財産権出願・導入費

専門家指導費、従業員人件費

②助成率

2/3以内

③助成金額

上限額300万円 下限額100万円

(参考:TOKYO創業ステーションサイト)

創業助成事業

(2)キャリアアップ助成金

有期雇用労働者、短時間労働者、派遣労働者といった、いわゆる非正規雇用労働者の企業内でのキャリアアップを促進するため、これらの取り組みを実施した事業主に対して助成をするものです。本助成金は次の7つのコースに分けられます。

  • ①正社員化コース
  • ②障害者正社員化コース
  • ③賃金規定等改定コース
  • ④賃金規定等共通化コース
  • ⑤諸手当制度等共通化コース
  • ⑥選択的適用拡大導入時処遇改善コース
  • ⑦短時間労働者労働時間延長コース

創業後の人材確保や育成に活用できる制度であり、以下は正社員化コースでの例です。

①助成内容

有期雇用労働者等を正規雇用労働者等に転換、

または直接雇用した場合に助成

②支給金額

該当者1人につき最大72万円

③申し込み方法

キャリアアップ計画を作成し、労働局またはハローワークに提出

(参考:厚生労働省ホームページ)

キャリアアップ助成金


4.その他(独立開業時に有効な融資制度)

補助金・助成金だけでなく、融資制度の活用も独立開業時には有効です。日本政策金融公庫が実施している代表的な融資内容を紹介します。

(1)女性、若者/シニア起業家支援資金(中小企業事業)

女性、若年者および高齢者の視点を活かした事業の促進を図る中小企業者を支援します。

女性、または35歳未満か55歳以上で新たに事業を始める方、または事業開始後おおむね7年以内の方が対象となります。

①資金の使い道

設備資金(開発費等資産計上される資金を含む)

長期運転資金(建物等の更新に伴い一時的に施設等を賃借するために必要な資金を含む)

②融資限度額

直接貸付:7億2千万円(うち運転資金2億5千万円)

代理貸付:1億2千万円

③返済期間

設備資金:20年以内(うち据置期間2年以内)

運転資金:7年以内(うち据置期間2年以内)

(参考:日本政策金融公庫ホームページ)

女性、若者/シニア起業家支援資金

(2)新創業融資制度

新たに事業を始める方や事業を開始して間もない方が無担保・無保証人で利用できる融資制度です。

①資金の使い道

新たに事業を始める、または事業開始後に必要とする設備資金

および運転資金

②融資限度額

3,000万円(うち運転資金1,500万円)

③返済期間

各融資制度に定める返済期間以内

(参考:日本政策金融公庫ホームページ)

新創業融資制度


5.まとめ

補助金や助成金は審査があるため、申請したからといって必ず支給されるものではありません。しかしながら、独立開業時に必要不可欠な資金調達において助成金や補助金を活用することは、金銭的負担を軽減するためにも大変有効だと思います。

国や自治体など、さまざまなところで補助金・助成金が実施されています。ぜひこの機会に、自分自身の事業内容にあった補助金・助成金を探して申請されることをおすすめします。

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著者プロフィール

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吉川 和明

中小企業診断士

1965年生まれ,京都府京都市出身。
2021年中小企業診断士登録

大手電機メーカー系列のソフトウェア会社にて、流通業向けPOSシステム開発に長年携わり、現在は大手流通業向け法人営業を担当。得意分野は流通系ITシステム、業務改革、プロジェクトマネジメント、ファシリテーション。


お問い合わせ先
株式会社プロデューサー・ハウス
Web:http://producer-house.co.jp/
Mail:info@producer-house.co.jp

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