知っておくと便利なビジネスチャットの例文|注意点やマナーも紹介

ビジネスチャットを円滑に進めるためには、状況に応じた適切な例文を使い分けることが重要です。しかし、チャットに不慣れな方や、入社して間もない方にとっては、ビジネスチャットのマナーに戸惑ってしまうことも少なくないでしょう。
本記事では、依頼やお礼、謝罪など、さまざまなシーンで活用できるビジネスチャットの例文を紹介します。また、例文を使う際の注意点やマナーについても解説していますので、ぜひ参考にしてください。
状況別で使い分けるビジネスチャットの例文
ビジネスチャットでは、依頼や報告、自己紹介など、さまざまな状況に応じて適切な例文を使い分ける必要があります。
特に、以下はチャットにおいて頻出のシーンです。
- 依頼・打診
- 報告・連絡
- 初めての挨拶・自己紹介
- 確認依頼
- 感謝やお礼
- 謝罪・お詫び
- 緊急連絡
- 断りを入れる
- 長文メッセージを送る
- 承諾の返事
ここでは、それぞれの状況に合わせた例文を見ていきましょう。
依頼・打診
○○の件につきまして、ご相談したくメッセージをお送りしました。
お忙しいところ恐縮ですが、4月15日までにご返信いただけますと幸いです。
内容をご確認いただき、ご対応のほどよろしくお願いいたします。
依頼する際は、相手への敬意を示しつつ、「いつまでに」「何を」依頼するのかを明確に伝えることが重要です。具体的な締め切りを提示することで、相手が優先順位をつけやすくなり、業務の円滑化につながります。
また、「お忙しいところ恐縮ですが」などのクッション言葉を入れることで、押し付けがましさを軽減できるでしょう。
報告・連絡
○○プロジェクトの進捗について報告します。
現在、以下の作業が完了しています。
- 要件定義
- デザイン作成
- コーディング(50%)
残りのコーディングとテストを行い、6月末のリリースに向けて作業を進めています。
詳細は添付の資料をご確認ください。
ご不明な点がありましたら、お気軽にお問い合わせください。
報告する際は「○○の件について報告します」と結論から端的に伝え、読み手の理解を助けることが効果的です。進捗状況や結果を先に伝え、その後に詳細や経緯を説明する順序が望ましいでしょう。
また、報告内容に応じて「完了しました」「進行中です」など、ステータスを明確に示すことで相手の誤解を防げます。
初めての挨拶・自己紹介
はじめまして。
株式会社○○の営業部の鈴木と申します。
この度、御社とのプロジェクトを担当させていただくことになりました。
よろしくお願いいたします。
今後、プロジェクトの進捗状況などを随時ご報告させていただきます。
ご不明な点やご要望などありましたら、お気軽にご連絡ください。
今後ともよろしくお願いいたします。
初めての挨拶では「○○課の△△です」など、社内か社外かに応じて、所属と名前を明確に伝えることが第一印象を左右します。社内の場合は部署と名前を、社外の場合は会社名と部署、名前を明記するのが基本です。
簡潔に自己紹介した後、「今後ともよろしくお願いいたします」と結ぶことで丁寧な印象を与えられるでしょう。
確認依頼
【確認依頼】○○プロジェクトの仕様書について
○○プロジェクトの仕様書を作成しましたので、ご確認をお願いいたします。 添付ファイルをご覧いただき、修正点などありましたら4月20日(水)までにご連絡ください。
期限までにご返信がない場合は、仕様書の内容でご了承いただいたものとして進めさせていただきます。
ご多忙とは存じますが、ご確認のほどよろしくお願いいたします。
確認を依頼する場合は、件名を明示し、返信期限を明確に設けると相手が対応しやすくなります。
自分が確認する場合は「○時までに確認します」と期限を示すことで、相手に安心感を与えられるでしょう。また、確認が済んだら「確認できました」と一言添えることで、情報の受け渡しが完了したことを明確にできます。
感謝やお礼
いつもお世話になっております。
先日の打ち合わせ資料の作成、ありがとうございました。
おかげさまで、クライアントにも好評で、プロジェクトを前に進めることができました。
いつも迅速かつ丁寧にご対応いただき、感謝しております。
今後ともよろしくお願いいたします。
感謝の気持ちを伝える際は「○○の件について」と具体的な内容を示すことで、形式的ではない誠意ある感謝の気持ちが伝わります。「迅速なご対応」「丁寧なご説明」など、何に対して感謝しているのかを具体的に伝えると、より誠意が伝わるでしょう。
文頭に「いつもありがとうございます」と添えると、文章全体の印象が柔らかくなり、相手との良好な関係構築につながります。
謝罪・お詫び
先日お送りしました見積書に誤りがございました。
金額に誤りがあり、大変ご迷惑をおかけしましたこと、深くお詫び申し上げます。
原因は社内のチェック体制の不備であり、今後このようなミスが起こらないよう、再発防止策を講じてまいります。
訂正後の見積書を添付しておりますので、ご確認いただけますと幸いです。
重ねてお詫び申し上げます。
謝罪する際は「申し訳ございません」と率直に謝罪したうえで、「今後このようなことが起きないよう対策をいたします」と再発防止策を伝えることが信頼回復につながります。言い訳をせず、問題の原因と対策を簡潔に説明することが重要です。
また、「ご迷惑をおかけしました」など、相手への影響を認識していることを示す言葉を添えるとよいでしょう。
緊急連絡
【緊急】システム障害発生のお知らせ
田中様
現在、弊社システムに障害が発生しております。 ご利用中のお客様には大変ご迷惑をおかけしておりますが、只今原因を調査中です。
復旧次第、再度ご連絡いたしますので、今しばらくお待ちくださいますようお願い申し上げます。
緊急のご用件の場合は、お手数ですが下記までご連絡ください。
緊急連絡先:080-1234-5678(担当:鈴木)
株式会社○○ サポート担当
緊急の連絡では「【緊急】」という表記を冒頭に入れ、「○時までに」などの期限を明示することで相手に緊急性が伝わります。緊急連絡が相手の目に留まりやすくなるよう、件名やメッセージの冒頭で強調することが重要です。
また、「恐れ入りますが」などの言葉を添えれば、緊急性を伝えつつも相手への配慮を示せるでしょう。
断りを入れる
鈴木様
先日お打診いただきました○○プロジェクトへの参加ですが、誠に恐縮ながら弊社では見送らせていただく運びとなりました。
現在社内のリソースが他プロジェクトに集中しているため、十分な対応ができない状況です。
ご期待に沿えず申し訳ございません。
何かお力添えできる機会がありましたら、ぜひまたご相談ください。
今回は見送りとさせていただきますが、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
株式会社○○ 山田太郎
断りを入れる場合は「ご期待に沿えず申し訳ございません」と丁寧に謝罪しつつ、断る理由を簡潔に伝えることがマナーです。断る理由は正直に述べつつも、相手を否定するような表現は避けるべきでしょう。
もし可能であれば、代替案を提示することで、前向きな印象を与えられます。
長文メッセージを送る
高橋様
お世話になっております。
長文のメッセージで恐縮ですが、以下の内容についてご確認いただけますと幸いです。
【要約】
先日の会議で議論された内容を整理しましたので、ご確認をお願いいたします。
主な論点は以下の3点です。
- プロジェクトの目的と達成基準
- 各部署の役割分担
- 今後のスケジュール
【詳細】
1. プロジェクトの目的は、新商品の開発とマーケティング戦略の立案です。
達成基準は、来年3月までに新商品を発売し、初年度売上1億円を目指すことです。
2. 各部署の役割は以下の通りです。
- 開発部:新商品の設計と試作
- 営業部:マーケティング戦略の立案と販売計画の作成
- 経理部:予算管理と原価計算
3. 今後のスケジュールは以下の通りです。
- 4月:コンセプト決定と市場調査
- 5月:設計と試作開始
- 8月:試作品完成とテストマーケティング
- 10月:量産準備と販促計画策定
- 1月:販売開始
以上が会議の内容となります。
ご不明な点やご意見などありましたら、ご連絡いただけますと幸いです。
お時間がある際にご確認ください。
株式会社○○ 佐藤一郎
長文を送信する際は、「長文失礼いたします」と前置きし、「お時間があるときにご確認ください」と相手の都合を考慮する文言を添えましょう。
長文メッセージは段落分けや箇条書きを活用し、視認性を高める工夫が必要です。特に重要な部分は太字にするなど、相手が要点を把握しやすくする配慮が欠かせません。
承諾の返事
先日お打診いただきました件、承知いたしました。
詳細については下記の通り対応させていただきます。
- 御社指定の様式にて見積書を作成
- 納品までのスケジュールをご提案
- 進捗状況を定期的にご報告
よろしければ、後日詳細をお送りいたしますので、ご確認ください。
ご依頼いただき、ありがとうございます。
プロジェクトの成功に向けて、尽力してまいります。
どうぞよろしくお願いいたします。
承諾する際は、「了解しました」ではなく「承知いたしました」「かしこまりました」を使用することで、ビジネスシーンにふさわしい丁寧さを表現できます。承諾と同時に「よろこんでお受けします」と前向きな姿勢を示すことで、好印象を与えられるでしょう。
承諾後の具体的なアクションプランを簡潔に伝えると、相手の安心感につながります。
ビジネスチャットの例文を使うときに注意すべきこと
ここまで、状況別にビジネスチャットの例文を紹介しました。これらの例文は、以下の注意点を踏まえて使うことが大切です。
- ビジネスチャットの特徴を理解する
- アンサーファーストで伝える
- スタンプ機能を活用する
- 送信タイミングに配慮する
ここでは、上記の注意点について詳しく見ていきましょう。
ビジネスチャットの特徴を理解する
ビジネスチャットはメールと比較して、簡潔な文章、素早いレスポンス、やや砕けた表現が許容されるのが特徴です。リアルタイムでのやり取りができるため、意思決定や情報共有のスピードが大幅に向上します。
チャットログが残るため、過去の会話や決定事項を簡単に検索・参照できるのもメリットです。比較的緩い表現が使用でき、スピーディなコミュニケーションが取れる一方、ログが残るため、常に事実ベースの伝達を心がけましょう。
アンサーファーストで伝える
ビジネスチャットでは先に結論を伝え、後から詳細を説明する「アンサーファースト」の構成が重要です。「要約→詳細」の順で情報を伝えることで、相手はまず全体像を把握し、その後に細部を理解できるようになります。
この構成により、読み手の理解を助け、効率的なコミュニケーションにつながるでしょう。
結論を先に伝えることで、返信が必要か不要かを相手が判断しやすくなり、双方の時間を節約できます。特に、長文になってしまう場合は、最初に要点を箇条書きにして伝えるといった工夫も大切です。
スタンプ機能を活用する
メッセージを確認したことを示すためには、返信を書く代わりにスタンプやリアクション機能の活用が効果的です。「了解」「確認しました」などの短い返信の代わりに、適切なリアクションで対応すると通知の数が減ります。
特に、文面による返信は気が引けるといった場合でも、確認した旨を気軽に相手に伝えられるのは魅力でしょう。なお、リアクションの種類によって異なるニュアンスを表現できるため、状況に応じた適切なスタンプを選ぶことが重要です。
送信タイミングに配慮する
メッセージは原則として業務時間内に送信し、緊急でない限り、時間外や休日の送信は避けるのがマナーです。時間外に送信する必要がある場合は「返信は明日で構いません」など、相手に配慮する一言を添えるとよいでしょう。
相手の予定やスケジュールを考慮し、会議中や休憩時間などを避けて送信することが望ましいです。また、ツールによっては時間を指定した送信予約もできるので、活用してみましょう。
例文確認とともに、ビジネスチャットとメールの違いを考える
ここまで、ビジネスチャットのマナーや注意点を紹介しました。ビジネスチャットは便利ですが、メールとの使い分けをすると、より効果的なコミュニケーションが可能になります。
ビジネスチャットとメールを使い分ける際のポイントは、以下のとおりです。
- TPOに応じた使い分けをする
- 文体を適切に選ぶ
- 定型文・挨拶文の違いを確認
ここでは、上記のポイントについて詳しく解説します。
TPOに応じた使い分けをする
ビジネスチャットでは、絵文字やスタンプを適切に使うことで、テキストだけでは伝わりにくい感情やニュアンスを効果的に表現できます。社内のカジュアルなコミュニケーションで絵文字を活用すれば、親しみやすさや温かみを表現できるでしょう。
ただし、取引先や目上の人とのやり取りでは、絵文字やスタンプの使用は控えめにするなど、TPOに応じた使い分けが重要です。相手に不快感を与えたり、真剣さが伝わりにくくなったりする可能性もあるため、相手との関係性やメッセージの重要度を考慮して使用を判断しましょう。
文体を適切に選ぶ
ビジネスチャットはメールと比べて、簡潔な文体が好まれます。「〜いたします」などの丁寧な言い回しよりも、要点を絞った効率的な文章が有効です。メールでは「お世話になっております」から始まる丁寧な文章構成が一般的ですが、チャットではより直接的な表現が受け入れられるでしょう。
絵文字やスタンプと同様に、社内と社外、上司と同僚など、相手との関係性に応じて文体の丁寧さを調整することが重要です。
定型文・挨拶文の違いを確認
メールで必須の「お世話になっております」などの定型挨拶文は、ビジネスチャットでは省略しても問題ありません。また、ビジネスチャットでは結論ファーストが好まれることもあり、用件のみの簡潔な文章を心がけましょう。
毎回の挨拶文は省略しても、1日の最初のメッセージには「おはようございます」などの簡単な挨拶を添えると、丁寧さが保てます。長い前置きや結びの言葉は避け、要件を簡潔に伝えることがビジネスチャットのマナーと言えるでしょう。
ビジネスチャットの例文を活用して、円滑なコミュニケーションを実現しよう
ビジネスチャットでは、状況に応じた適切な例文と敬語を使い分け、相手への配慮を忘れずに簡潔な文章を心がけることが大切です。これにより、円滑なコミュニケーションと業務効率の向上を実現できます。
定型的なメッセージには、テンプレート化した例文を活用することで、メッセージ作成の時間を短縮し、本来の業務に集中できるでしょう。
また、社内でチャットのルールやマナーを統一して共有することで、メンバー間の認識のずれを防ぎ、より効率的なコミュニケーションが実現できるはずです。本記事で紹介したさまざまな状況別の例文を参考に、自社のビジネスチャットで実践してみてください。