ビジネスチャットに社内ルールは必要? 設定のメリットや具体例を紹介

ビジネスチャットは、円滑なコミュニケーションを促進するのに役立つツールです。ただし、ビジネスチャットを効果的に活用するには、社内ルールの設定が欠かせません。
本記事では、ビジネスチャットに社内ルールを設定するメリットや、具体的なルールの例、設定する際のポイントなどを紹介します。
ビジネスチャットに社内ルールを設定するメリット
ビジネスチャットに社内ルールを設定するメリットは、以下のとおりです。
- 情報流出とセキュリティの強化
- 業務効率が向上する
- 情報伝達のミスが軽減できる
- 費用対効果を高める
ここでは、上記のメリットについて詳しく見ていきましょう。
情報流出とセキュリティの強化
ビジネスチャットにおけるセキュリティルールの整備は、誤送信による情報漏洩や外部関係者との不適切な情報共有リスクを防ぐ効果があります。
ビジネスチャットツールは、一般アカウントと連携するケースが多いです。そのため、誤って社外に機密情報を送信するリスクがあり、セキュリティポリシーの徹底が欠かせません。
この際、「機密情報を含むファイルはダウンロード禁止」「外部関係者を含むグループでは、社内情報への言及禁止」など、具体的なルールを明示しましょう。
業務効率が向上する
明確な利用ガイドラインは、従業員のチャットツール活用への不安を解消し、全社的な活用促進と業務効率の向上に直結します。「どういう場面で使うべきか」「どのように返信すべきか」といった基本的な使い方が明文化されていると、特にITツールに不慣れな従業員も安心して使用できるでしょう。
適切なルールによって情報が整理され、必要な情報がすぐに見つかる環境が構築されると、情報検索の時間短縮など、具体的な業務効率化につながります。
情報伝達のミスが軽減できる
ビジネスチャットのルールは単なる制約ではなく、組織のコミュニケーション文化を形成する重要な要素となります。統一されたルールがあることで、部署間や階層間での情報伝達の違いが減少し、組織全体でコミュニケーションが一貫しやすくなるでしょう。
新入社員や中途採用者も既存のルールに従うことで、組織文化への早期適応が促進され、チームへの統合がスムーズになります。
費用対効果を高める
ビジネスチャットツールの導入には、初期コストやランニングコストがかかります。費用対効果を高めるためには、具体的な数値を交えて目標を設定し、運用ルールを取り決めることが大切です。
明確なルールと活用方針によって、導入したツールの機能を十分に活用できる環境を整えることが、ツール投資の回収を早められます。また、定量的な効果測定と継続的な改善プロセスを組み込むことで、長期的なツール活用を最適化できます。
ビジネスチャットの社内ルール例
ここまで、ビジネスチャットに社内ルールを設定するメリットを紹介しました。では、具体的にどのようなルールを設定すれば良いのでしょうか。
ビジネスチャットの社内ルールに盛り込みたい内容は、以下のとおりです。
- 業務時間内の利用を徹底する
- 情報共有の手段を明確化する
- スタンプや絵文字などを活用する
- グループ管理を承認制にする
- 分かりやすいプロフィール設定を行う
- 投稿ガイドラインを決める
- 雑談は別のチャットで行う
ここでは、上記の内容について詳しく見ていきましょう。
業務時間内の利用を徹底する
ビジネスチャットの利用時間は、従業員のワークライフバランスを守るために、原則として就業時間内に限定すべきです。時間外のチャット利用を制限することで、サービス残業の防止になります。
また、プライベートと仕事の境界を明確にすることで、従業員の心理的負担を軽減できるでしょう。緊急時の連絡方法については別途ルールを設け、例外的なケースにも対応できるようにしておくことが重要です。
情報共有の手段を明確化する
社内コミュニケーションでは、緊急性の高い短い連絡はチャット、正式な決定事項や詳細な説明が必要な内容はメールという、使い分けルールを取り決めましょう。「社内で完結する業務のやり取りはチャット」「社外への連絡や正式な報告書はメール」など、具体的なシチュエーションごとに使い分け基準を明文化すると理解しやすいです。
DMとグループチャットの使い分けも明確にし、「全員に共有すべき情報はグループチャット」「個人的な質問や確認はDM」といった基準を設けると、情報が適切に流通されます。
スタンプや絵文字などを活用する
スタンプや絵文字は、「了解」「確認中」などの簡潔な意思表示に活用し、公式な場では控えめに使用するというバランスの取れたルールが効果的です。特定の絵文字に「承認済み」「検討中」などの業務上の意味を持たせることで、文章よりも返信しやすくなります。
カスタム絵文字を作成できるツールでは、会社のロゴや業務に関連した独自の絵文字を用意することで、社内特有のコミュニケーションが容易になるでしょう。
グループ管理を承認制にする
チャットグループの作成権限は管理者、または上長の承認制にすることで、類似グループの乱立を防ぎ、情報の分散を防止できます。グループ作成時には、以下の事項を明確にするのが望ましいです。
- 作成の目的
- 参加メンバーの範囲
- 管理者やプロジェクトリーダーといった役割
- 想定される利用期間
上記のような申請フォームが用意されていると、無秩序な増加を防げるでしょう。また、定期的なグループの棚卸しを行い、使われなくなったグループは適切にアーカイブに保存する、または削除する仕組みを設けることで、情報管理が容易です。
分かりやすいプロフィール設定を行う
全従業員のユーザー名は「部署名_氏名」形式に、グループ名は「目的_対象者」形式に統一しましょう。誰が誰なのか、どのグループが何の目的かを一目で把握できる状態が望ましいです。
プロフィール写真も「顔写真必須」「会社支給の写真を使用」などの統一ルールを設けると、特に大規模組織での人物特定が容易になるでしょう。休暇取得時には名前に「4/24-25休暇中」のように追記すると、応答がない場合の理由が分かりやすく、不要な問い合わせを減らせます。
投稿ガイドラインを決める
ビジネスチャットでは、結論を先に述べる、プライベートな内容や機密情報の投稿を禁止するなどのガイドラインを設けましょう。「1回の投稿は3行以内」「長文の場合は要点を箇条書きにする」といった読みやすさの基準を設けると、情報の伝達効率が高まります。
投稿内容のログは保存され、確認できることを全員に周知し、不適切な発言を抑止するとともに、決定事項の記録として活用できる点も伝えましょう。
雑談は別のチャットで行う
業務用チャットルームでは、個人的な話題や雑談は避けたほうが良いです。必要な場合は専用の雑談チャンネルを設けることで、重要な業務情報が埋もれる事態を防止できます。特に全社グループでの私事や趣味の話題は控え、業務に直結する内容のみを投稿するというルールが情報の整理に役立つでしょう。
雑談は組織の雰囲気づくりにも大きく影響します。完全に禁止するのではなく、「#雑談」「#ランチ情報」など専用チャンネルを設け、そこに限定する方法がおすすめです。
ビジネスチャットの社内ルールを設定する際のポイント
ここまで、ビジネスチャットの社内ルールの例を紹介しました。最後に、社内ルールを設定する際は、以下のポイントを意識しましょう。
- 管理体制と責任者を決める
- チャットに時間をかけすぎないルールにする
- アカウント管理について決める
- セキュリティポリシーとコンプライアンスを周知する
- データ保持ポリシーを明確にする
ここでは、上記のポイントについて詳しく見ていきましょう。
管理体制と責任者を決める
ビジネスチャットの運用では、各部署に1名以上のチャット管理責任者を配置し、アカウント管理やグループ作成の承認権限を持たせる体制が必要です。管理者には、以下のような役割を割り当てましょう。
- グループの整理・統合権限
- ユーザーアクセス権の設定
- 問題投稿の監視・対応
また、定期的な管理者ミーティングを設け、各部署の活用状況や課題を共有します。全社的な運用方針を調整することで、部署間の活用レベルの差を最小化することが可能です。
チャットに時間をかけすぎないルールにする
従業員がチャットに振り回されないよう、重要度に応じた通知設定のガイドラインを設けてください。業務時間外は、通知をオフにできるルールを明示しましょう。
例えば、「@全員」のメンション機能は緊急時のみに限定し、通常の連絡では必要なメンバーだけにメンションするといった具合です。
なお、モバイルデバイスは勤務時間外でも所持し続けるため、通知への配慮が欠かせません。「業務時間外の通知は自動オフ」といった設定を推奨すると、従業員の精神的な負担軽減につながります。
アカウント管理について決める
退職者や異動者のアカウント管理も重要です。会社やプロジェクトの外部となった人のアカウントが残ったままだと、アカウント整理が難しくなるほか、情報漏洩につながりかねません。
「退職後24時間以内にアクセス権を削除」「異動時には所属グループを5営業日以内に更新」などのルールを設けましょう。ゲストアカウントや外部関係者のアクセス権については、「アクセス期間の明示」「閲覧可能範囲の制限」などのセキュリティ対策が不可欠です。
セキュリティポリシーとコンプライアンスを周知する
ビジネスチャットでのセキュリティリスクを最小化するためには、「機密情報の共有方法」「外部関係者とのやり取り制限」などのポリシーが必要です。
特にコンプライアンス面では、「ハラスメントにつながる表現の禁止」「不適切な投稿への対応プロセス」など、問題発生時の手順を事前に定めておきましょう。
定期的なセキュリティ研修を実施し、情報漏洩リスクや不適切なコミュニケーションに関する意識づけを継続的に行うことが、安全な利用環境を維持します。
データ保持ポリシーを明確にする
チャットのログをどの程度の期間保持するか、どのような情報を自動削除するかなどの「データ保持ポリシー」を明確に定め、情報管理の基準を示しましょう。重要な情報については、チャットだけでなく、別システムへのバックアップを行い、ツール障害時のリスクを軽減させてください。
定期的なデータエクスポートやアーカイブは実施責任者を決め、情報資産として活用する取り組みも、長期的な運用には重要です。
ビジネスチャットのルール設定をして、作業効率化を目指そう
ビジネスチャットの社内ルール設定は、情報共有の質を高め、業務効率化と従業員満足度の向上につながる重要な取り組みです。適切に社内ルールを設定することで、セキュリティの強化や伝達ミスの軽減に役立ちます。
ルールは単なる制約ではありません。より良いコミュニケーション環境の基礎となるため、定期的な見直しと改善を通じて、組織の特性に最適化されたチャットルールを育てていきましょう。本記事で紹介したビジネスチャットの社内ルール例を参考に、自社に合ったルール作りを進めてみてください。