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中小企業がDX推進に向けて利用できる補助金を紹介

著者:   bizocean編集部

中小企業がDX推進に向けて利用できる補助金を紹介

DX推進に向けてデジタルツールを導入しようとする場合、コストが掛かります。そんな時に補助金を活用すれば、予算が限られている企業でも自社の負担額を大幅に減らせます。

ただし、「どんな補助金があるかわからない」「手続きが面倒なのでは」と、感じている方も多いでしょう。今回の記事では、中小企業がDX推進に向けて利用可能な補助金についてまとめました。


中小企業に特化したDX推進のための補助金を6つ紹介

企業規模・業態・支給額に応じて様々な補助金が存在しており、6種類の補助金について説明します。

DXを推進する補助金①:IT導入補助金2022

停滞しているDX推進の動きを活発にするべく、経済産業省が設立した小規模事業者や中小企業向けの補助金です。通常枠(A・B類型)・デジタル化基盤導入類型・複数社連携IT導入類型の3種類が用意されています。

通常枠は最大450万円の補助金支給が期待でき、購入対象も限定されていない点が特徴です。一方、デジタル基盤導入類型は業務ツールのクラウド化や働き方の多様化を積極的に推奨しており、主に経理部門に関連するソフトを購入対象に定めています。

そして、複数社連携IT導入類型は地域間での経済活性化が目的の補助金です。例えば、補助金を活用して地域限定の通貨の発行と購買データ分析アプリを購入し、集客率向上を目指します。

アプリで集めた購買層に割引クーポンの発行や情報発信を行い、購入単価やリピート率向上を実現します。ただし、補助金を利用する場合は10社以上の事業者が必要です。商工会議所や事業協同組合など、街づくりに根ざした団体向けの補助金です。

表:通常枠

種類

A類型

B類型

補助額

30万~150万円未満

150万~450万円以下

補助率

1/2以内

1/2以内

プロセス数(業務工程や業種別)

1以上

4以上

ITツール要件

プロセス要件を満たし、労働生産性の向上に資するITツール

プロセス要件を満たし、労働生産性の向上に資するITツール

賃上げ目標

加点

必須

補助対象

ソフトウェア費・クラウド利用料(最大1年分補助)・導入関連費等

表:デジタル化基盤導入類型

種類

パターンA

パターンB

補助額

5万円~50万円

5万円~350万円

機能要件

会計・受発注・決済・ECのうち1機能以上

会計・受発注・決済・ECのうち2機能以上

補助率

3/4以内

2/3以内

対象ソフト

会計ソフト・受発注ソフト・決済ソフト・ECソフト

賃上げ目標

なし

補助対象

ソフトウェア購入費・クラウド利用費(最大2年分補助)・導入関連費

ハードウェア購入費

PC、タブレット、プリンター、スキャナー及びそれらの複合機器:補助率1/2以内、補助上限額10万円

表:複数社連携IT導入類型

種類

デジタル化基盤導入類型の要件に属する経費

デジタル化基盤導入類型の要件に属さない複数社類型特有の経費

補助額

基盤導入経費

消費動向等分析経費

補助事業者が参画事業者をとりまとめるために要した事務費

5万円~350万円


50万円×参加事業者数


基盤導入経費+消費動向等分析経費×10%

5万円~50万円以下

50万円超~350万円部分

機能要件

会計・受発注・決済・ECのうち1機能以上

会計・受発注・決済・ECのうち2機能以上

左記と同様

補助率

3/4以内

2/3以内

2/3以内

2/3以内

補助上限額

3,000万円

200万円

対象ソフト

  • 会計ソフト
  • 受発注ソフト
  • 決済ソフト
  • ECソフト
  • 経営分析システム
  • キャッシュレスシステム
  • 需要予測システム
  • 電子地域通貨システム
  • 経営分析システム
  • キャッシュレスシステム
  • 需要予測システム
  • 電子地域通貨システム

賃上げ目標

なし

補助対象

ソフトウェア購入費・クラウド利用費(最大2年分補助)・導入関連費

ハードウェア購入費用

  • PC・タブレット等※:補助率1/2以内、補助上限額10万円
  • レジ・券売機等補助率1/2以内、補助上限額20万円

AIカメラ・ビーコン・デジタルサイネージ等

※各々の補助限度なし

DXを推進する補助金②:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金

新商品開発・新規ライン導入・新サービス提供など、新たなビジネスモデル構築に奮闘する企業に向けた補助金です。21人以上従業員を抱える企業は、最大1,250万円補助金を受け取れます。

新たな設備の購入だけでなく、老朽化した設備へのメンテナンス費用にも活用可能な点がメリットです。申請に必要な書類を下記にまとめました。注意点は事業計画書です。

営業利益・減価償却費・人件費を足した企業の付加価値額を年平均3%以上増加させるほか、1.5%以上全従業員の給料を引き上げる計画を立てなければなりません。さらに、賃金を地域別最低賃金+30円以上に設定する必要があります。

3〜5年の間に上記条件を達成できるような事業計画書の作成が求められており、長期的な視点での経営計画が求められています。

表:補助金内容

従業員規模

補助金額限度

補助率

経費対象

申請条件

5人以下

750万円

2/3以内

  • 工具・専用機械・システムの購入
  • システムのメンテナンス費
  • 知的財産導入
  • クラウドサービス利用費
  • 原材料費購入など
  • DXに資する革新的な商品・サービスの開発
  • デジタル技術を活用した生産プロセス・サービス提供方法の改善

6~20人

1,000万円

21人以上

1,250万円

申請に必要な書類

  • 事業計画書
  • 賃金引き上げの誓約書
  • 貸借対照表
  • 損益計算書
  • 法人事業概況説明書のコピー
  • 労働者名簿
  • デジタル技術の活用及びDX推進状況(任意)

DXを推進する補助金③:持続化補助金<特別枠>

小規模事業者を対象に新サービスの開発・広告掲載・展示会への出展など、売上拡大に向けての取り組みを支援する補助金です。4枠のうちどれか1つを選択してください。

どの枠も最大200万円まで補助金を受け取れますが、賃金引き上げ枠のみ赤字事業者の場合は3/4まで補助率が引きあがります。注意点と補助対象者についてもまとめましたので、併せてご確認ください。

表:持続化補助金の比較

賃金引き上げ枠

卒業枠

後継者支援枠

創業枠

要件

  • 販路開拓への取り組み
  • 事業場内最低賃金が地域別最低賃金より+30円以上
  • 販路開拓への取り組み
  • 小規模事業者以上の従業員を雇用
  • 販路開拓への取り組み
  • アトツギ甲子園においてファイナリストに選出
  • 販路開拓への取り組み
  • 産業競争力強化法に基づく「特定創業支援等事業の支援を享受

補助額

200万円

補助率

2/3(赤字の場合は3/4まで引き上げ)

2/3

補助対象者

  1. 資本金又は出資金が5億円以上の法人から直接又は間接的に100%株式保有されていない
  2. 直近過去3年分の各年又は各事業年度の課税所得の年平均額が15億円を超えていない
  3. 本補助金の受付締切日の前10か月以内に、持続化補助金(一般型、低感染リスク型ビジネス枠)で採択されていない

主な注意点

  • 車・オートバイ・自転車・文房具等・パソコン等は対象外
  • 支払方法は銀行振込
  • 相殺・小切手・商品券などの支払いは対象外
  • クレジットカードの支払い期日が補助事業実施期限を過ぎている場合は対象外

DXを推進する補助金④:持続化補助金<インボイス枠>

2023年10月から導入されるインボイス制度に対応するために設けられた補助金です。最大支給額は100万円で、補助率は3/4が上限です。

インボイス制度(適格請求書等保存方式)とは、請求書や納品書の発行・保存・交付を義務付ける制度です。企業や店舗を対象に、取引で発生している消費税の額を正確に把握するために設けられました。

インボイス制度設立の背景には、2019年に導入された軽減税率が大きく影響しています。仕入れ商品の中には消費税が8%の品物と10%の品物が混在しているため、全て10%で計上すれば2%の不当な利益を得られるからです。

今回の法改正に伴い、1,000万円以上売上のある店舗や企業は「適格請求書発行事業者登録」を行う必要があります。登録には適格請求書が求められ、日々の取引内容を記す項目も存在します。

現在使用している会計ソフトがクラウド型であれば問題ありませんが、パッケージ型の場合やExcel管理の場合はクラウド型のソフトを購入しなければなりません。新たな会計ソフトを購入する資金として、インボイス枠が設けられています。

DXを推進する補助金⑤:事業再構築補助金

新型コロナウイルス感染拡大の影響で、売上減少に苦しむ企業を支援する補助金です。新商品開発・雇用維持・オンライン事業への転換など、様々な用途に使用できます。

通常枠・緊急事態宣言特別枠・最低賃金枠・大規模賃金引き上げ枠などが用意されており、必要要件に加えて個別要件も達成しなければなりません。大規模賃金引き上げ枠は最大1億円の補助を期待できますが、他2件に比べて個別要件も厳しく設定されています。

表:通常枠の必要要件

内容

  • 2020年4月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、コロナ以前(2019年又は2020年1~3月)の同3か月の合計売上高と比較して10%以上減少
  • 2020年4月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、コロナ以前の同3か月の合計売上高と比較して15%以上減少
  • 事業計画を認定経営革新等支援機関や金融機関と一体となって策定
  • 補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均3.0%(一部5.0%)以上増加
  • 従業員一人当たり付加価値額の年率平均3.0%(一部5.0%)以上増加の達成

表:通常枠

従業員規模

補助額

補助率

20人以下

100万~2,000万円

  • 中小企業は2/3(6,000万円以上1/2)
  • 中堅企業1/2(4,000万円以上1/3)

21人~50人

100万~4,000万円

51人~100人

100万~6,000万円

100人以上

100万~8,000万円

表:緊急事態宣言特別枠

従業員数

補助額

補助率

5人以下

100万~500万円

  • 中小企業:3/4
  • 中堅企業:2/3

6~20人

100万~1,000万円

21人以上

100万~1,500万円

個別条件

  • 必要要件1~3をクリア
  • 緊急事態宣言に伴う飲食店の時短営業や不要不急の外出・移動の自粛等による影響で、令和3年1~9月のいずれかの月の売上高が対前年または前々年の同月比で30%以上減少

表:最低賃金枠

従業員数

補助額

補助率

5人以下

100万~500万円

  • 中小企業:3/4
  • 中堅企業:2/3

6~20人

100万~1,000万円

21人以上

100万~1,500万円

個別条件

  • 必要要件1~3をクリア
  • 2020年10月~2021年6月までの間で、3月以上最低賃金+30円以内で雇用している従業員が全従業員の10%以上在籍
  • 2020年4月以降のいずれかの月の売上高が対前年又は前々年の同月比で30%以上減

表:大規模賃金引き上げ枠

従業員数

補助額

補助率

従業員数101人以上の中小・中堅企業

8,000万円超~1億円

  • 中小企業は2/3(6,000万円以上は1/2)
  • 中堅企業1/2(4,000万円以上は1/3)

個別条件

  • 必要要件1~3をクリア
  • 補助事業実施期間の終了時点を含む事業年度から3~5年の事業計画期間終了までの間、事業場内最低賃金を年額45円以上の水準で引き上げ
  • 補助事業実施期間の終了時点を含む事業年度から3~5年の事業計画期間終了までの間、従業員数を年率平均1.5%以上(初年度は1.0%以上)増員

DXを推進する補助金⑥:人材確保等支援助成金(テレワークコース)

テレワークを今後導入する企業や試験的に導入を実施している企業を対象にした補助金です。最大100万円受け取れます。

オンラインツールの導入・ネットワーク環境構築・外部専門家などのコンサルティングなど、テレワークを行うための環境整備の資金として活用できます。

表:助成金の詳細

機器等導入助成

目標達成助成

上限額

100万円又は20万円×対象労働者数のいずれか低い方

100万円又は20万円×対象労働者数のいずれか低い方

補助率

支給対象経費の30%

支給対象経費の20%(生産要件を満たした場合は35%)

要件

  • リモートワークに関する就業規則や社内規定の整備
  • 実施計画認定後、機器等導入助成の支給申請日までに、助成対象となる取組を1つ以上実施
  • 評価期間に、対象労働者が週1回以上または対象労働者全員がリモートワークを実施
  • 評価期間後12か月間の離職率が、計画提出前12か月間の離職率以下
  • 評価期間後12か月間の離職率が30%以下
  • 評価期間に1回以上リモートワークを実施した労働者数が、評価期間初日から12か月を経過した日における事業所の労働者数に、計画認定時点における事業所の労働者全体に占める対象労働者の割合を掛け合わせた人数以上

取り組み内容

  • 就業規則の変更
  • 外部専門家によるコンサルティング
  • ネットワーク環境構築
  • web会議やチャットツールの導入
  • 社員に対する研修

中小企業がDXの推進や補助金申請を行う前に認識すべき内容

設備導入の目的が曖昧な状態で補助金を活用しても、思ったような効果は得られません。ミスマッチが起きる可能性も高まるからです。以下の2点を補助金申請を行う前に社内で共有してください。

  • 自社の課題を明確化
  • 段階を踏んでDXを実施

その1:自社の課題を明確化

目的が曖昧な状態で補助金を活用して新たな設備を導入しても、思ったような効果は得られません。営業活動の効率化・テレワーク実現・社員の業務負担軽減など、達成したい目標に応じて導入すべきサービスは異なるからです。

例えば、営業活動の効率化を望む場合、顧客管理・商談管理・予算実績管理など、様々な機能を搭載したSFA(Sales Force Automation:営業支援システム)を導入すると、営業活動の可視化を図ります。

一方、社員全体の残業時間増加を改善したい場合はRPA(Robotic Process Automation)を導入し、事務作業全般を自動化します。さらに、業務体制の再整備や仕事の振り分け方の見直しなど、労働環境の現状把握が必要です。

その2:段階を踏んで実施

計画的にDXの推進を実施してください。一度に多くのことを変えようとすると業務に支障をきたし、社員への負担が大きくなるからです。取引先にも迷惑が掛かる可能性が高まるため、段階的な移行が必要です。

web会議ツールを利用したオンライン商談実施やペーパーレス化推進など、状況を見ながら少しずつDXを進めてください。


中小企業がDX推進補助金を申請するフロー

補助金を受け取るまでの一連の流れをまとめました。どの補助金を活用するかによって準備しなければならない書類も変わってきますので、情報収集を入念に行ってください。

  1. 補助金に関しての情報収集
  2. IT導入支援事業者とITツールの選定
  3. 事業計画書や決算書など書類準備
  4. 審査
  5. 採択
  6. 事業開始
  7. 中間検査
  8. 事業終了に伴う報告書提出
  9. 補助金交付

これからDXに着手する中小企業は上手く補助金を活用しよう

今回は以下の2点について紹介しました。

  • DX実現に向けて利用できる補助金の紹介
  • 申請を行う前に共有すべき内容

補助金活用=ゴールではなく、設備投資によって新たなビジネスモデルを構築し、売上拡大や経営安定化の実現が目的です。DXの推進は目的達成を早期に解決するための手段の一つであり、補助金は経済的負担を軽減するものです。

利用する補助金によって必要要件が異なるため、自社のビジネスモデルに合致しているかを見極めてください。

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