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ビジネス文書の書き方 第3回 喪中はがきのマナー

ビジネス文書の書き方 第3回 喪中はがきのマナー

この連載では、ビジネス文書の適切な書き方をお伝えします。

ビジネス文書や挨拶文には、一定の書式があります。今回は、喪中はがきのマナーを考えてみましょう。


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自分の友人知人に出す場合

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年賀欠礼状

年賀欠礼状である旨を、文頭に大きめの文字で記します。

 喪中につき年末年始のご挨拶をご遠慮申し上げます
 喪中につき年頭の賀詞を失礼させていただきます


などが一般的な書き方です。

<喪中と忌中>
「喪中」と「忌中(きちゅう)」の違いをご存じですか?
地域の慣習にもよりますが、四十九日までを「忌中」、一周忌までを「喪中」とすることが多いようです。年賀欠礼状では、どちらの期間中でも「喪中」と記します。

続柄(つづきがら)

故人との続柄を記載します。
以前は夫の立場を基準とし、妻の父母の場合「義父」「義母」と書くのが通例でしたが、近年は変化が見られます。故人の氏名をフルネームで記したり、「浩司の母 ○○」「明子の父 ○○」と書くことで、どちらの父母か知らせるケースが増えているようです。

年賀欠礼の範囲は一般に2親等まで(祖父母、父母、配偶者、兄弟姉妹、子、孫)ですが、故人との親しさによって、曾祖父母・おじおば・いとこなどを含めても構いません。

年齢

年齢の表記には主に、実年齢、満年齢、享年の3種類があります。満年齢はその年に到達する年齢を指し、享年は数え年で表します。数え年を計算するには、その年の誕生日を迎えるまでは「実年齢プラス2歳」、誕生日を迎えた後は「実年齢プラス1歳」と考えるのが分かりやすいでしょう。

1921年12月1日生まれの人が、2021年6月1日に亡くなった場合、

実年齢99/満年齢100/享年101

となります。

享年の「享」は「うける」という意味で、この世に生命を授かった年(母親の胎内に宿った年)を起点にします。「生きた年齢」ではなく「生きた年数」を指すため、「享年101歳」と「歳」をつけるのは誤りで、「享年101」と記します。

「死亡」を表す言葉

亡くなったことを示す言葉にも、いろいろな文言があります。

  • 永眠
    喪中はがきで最もよく使われる言葉です。
  • 他界
    これもよく使用されます。「母は昨年他界しました」というように、少し時間が経ってから使うことが多いようですが、喪中はがきに書いても差し支えありません。
  • 逝去
    敬語の意味を含みますので、自分の身内に対しては使いません。
  • 死亡/死去
    直接的な表現のため、喪中はがきでは避けたほうが良いでしょう。

宗教によっては、キリスト教徒なら「昇天」「帰天」、僧職にある人なら「遷化」「入寂」などの言葉を用いることもあります。

 「天寿を全ういたしました」との表現を目にすることも多くなりました。何歳をもって「天寿」とするか定めはありませんが、家族が「長生きしてくれた」と思えば「天寿」と言えるのではないでしょうか。

既婚者は夫婦連名で

既婚者の場合は、差出人を夫婦連名とするのが基本です。

<感情を表明しても構わない>
 「回復を信じていましたが」「あれから時が止まったように感じます」など、遺族の心情を表すのは失礼には当たりません。友人知人なら、気持ちを察してくれるでしょう。

<印字の色>
 印刷を外注すれば、薄墨(うすずみ)色の文字に仕上げてくれます。薄墨色とは黒字より薄い灰色で、悲しみの感情を表すものです。「涙で墨がにじむ」ことに由来し、弔事の案内状、香典の表書き、喪中はがきなどに用います。
 喪中はがきをパソコンで自作する人も多くなりましたが、黒字で印字しても全く問題ありません。官製はがきを購入する場合は「喪中用」と指定し、デザインや色合いを抑えたものを選ぶと良いでしょう。

<投函の時期>
 先方が年賀状を用意する前に、できれば11月中に届けるのがマナーです。亡くなったのが年末で喪中はがきの作成が間に合わなければ、年が明けてから寒中見舞いを出すのも一つの方法です。

<便利な寒中見舞い>
 寒中見舞いは、寒さが厳しい季節に先方の健康を気遣って送る便りです。時期は、二十四節気の小寒(1月6日ごろ)から立春(2月4日ごろ)の間と決まっています。寒中見舞いは用途が広く、次のように利用できます。

  • 年賀状を出すのが遅れ、松の内を過ぎてしまった。
  • 喪中はがきが間に合わなかった。
  • 喪中はがきを出さなかった人から年賀状をもらった。
  • 亡くなった家族宛に年賀状が届いた。

 寒中見舞いのマナーについては、機会を改めて紹介します。


故人の友人知人に出す場合

近年は葬儀を家族葬で行うケースが増えました。故人の友人知人に葬儀の案内をしなかった場合は、後日通知のはがきを出すのが良いでしょう。交友範囲を家族が把握するのが難しい時は、故人が残した住所録や故人宛に届いた年賀状がないか探してみてください。

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続柄を記載します。
命日を知らせるため、月だけでなく日付を記載します。
弔問に対応できない場合は、丁重に断り書きを添えましょう。
 しかし受け取った相手は弔意を表す機会を持つことができないため、柔軟に考えたいものです。
差出人と故人の住居が別の場合でも、住所は故人のものとします。
差出人は喪主とするのが一般的です。


会社として喪中はがきを出す場合

喪中はがきは私的なものですので、ビジネスで用いる機会はほとんどありませんが、社用として次のケースを考えてみましょう。

A社の創業者が亡くなりました。偉大な業績を残し、社員から深く敬慕され、社葬をもって見送られた人です。A社は、会社として1年を服喪期間とし、取引先に喪中はがきを送ることにしました。

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故人の役職名を記載します。
差出人は会社の代表者とし、担当者の部署名と氏名を併記するのが良いでしょう。

<前職と元職>
ここでは、「現職・相談役、前職・取締役会長、元職・代表取締役社長」としました。では、前職と元職の違いをご存じですか?
前職は先代の1人のみを、元職は先々代までの全員を指します。2021年10月20日現在、日本の「前内閣総理大臣」は菅義偉氏です。安倍晋三氏を含め、初代・伊藤博文までさかのぼった歴代首相は、全員が「元内閣総理大臣」の肩書を持ちます。

<1988年の事情>
33年前の1988年は、会社として年賀状を用意すべきかどうか、多くの企業が頭を悩ませた事情がありました。昭和天皇の病状が秋から悪化し、容体が心配されていたのです。天皇が亡くなることを「崩御(ほうぎょ)」と言い、昭和天皇の崩御は年が明けて間もない昭和64年(1989年)1月7日のことでした。そして同日、新元号「平成」が発表されました。



次回の「ビジネス文書の書き方」シリーズでは、年賀状のマナーを紹介します。

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