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ビジネス文書の書き方 第12回 書式(6) リコール案内状②

ビジネス文書の書き方 第12回 書式(6) リコール案内状②

この連載では、ビジネス文書の適切な書き方をお伝えします。

ビジネス文書には、一定の書式があります。前回の「お詫び状・リコール案内状」に続き、リコール案内状6種の文例を見てみましょう。


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通知する相手

リコールを伝えるべき相手には、次の2つのケースが想定されます。

  • 消費者が特定の個人または法人
  • 消費者が不特定多数の個人

消費者が特定されている場合、案内状を送る前に、まず電話など、最速の手段で連絡を取ります。製品の使用中止などを至急お願いしてから、経緯やリコール方法の詳細について、それぞれの顧客に宛てたリコール案内状を送ります。

顧客名簿がある場合は、その情報を元に直接連絡します。自社ではなく販売代理店が顧客名簿を持っている場合でも、情報を共有して自社から案内状を送るのが望ましい対応です。

顧客を特定できるため、使用に対する感謝と不具合についての謝罪を丁寧に伝えることが大切です。

消費者が不特定多数の場合には、以下のような案内状を出す必要があります。

消費者向けリコール案内

ホームページへの掲載、SNSの公式アカウントでの発信、直営店や販売代理店の店頭での掲示、自治体や保健所などの公共施設の掲示板への掲出というように、さまざまな手段で告知します。

販売代理店向けリコール協力依頼

販売代理店があれば、リコールの案内とともに協力を依頼します。自主回収する目的以外にも、消費者がリコール案内に気づかないまま、販売店に製品の不具合を報告する場合があるためです。

マスコミ向けプレスリリース

テレビ、ラジオ、雑誌、新聞など、利用者の多いメディアに対して、リコール内容を文書として配布し、記事化を求めます。

広告

マスコミ広告、ネット広告、折り込みチラシなどあらゆる手段を使って、消費者の手元にあるすべての製品を回収することを目標に、継続的に案内を続けます。


文例

それでは、文例を見てみましょう。

【特定個人宛】

【特定法人宛】

【販売代理店宛】

【不特定個人宛】

【マスコミ向けプレスリリース】

【広告】

横書き(自社ホームページ、ネット広告、折り込みチラシなど)

縦書き(雑誌、新聞など)


案内を確実に、地道に届ける

案内状を一度出しただけでは、すべての製品を回収し切れないことが多いでしょう。対象者に確実に届けるため、次のような方法も検討しましょう。

  • 特定地域の世帯ポストへの折り込みチラシ投函
  • 業界団体などとの共同リコール
  • 自治体などへの協力依頼
  • 特定の所有者がいない共同利用下での使用製品や、中古品市場などでの使用製品の探索
  • マスコミ広告の再掲

リコールの目標は、消費者の下にある対象製品をすべて回収することです。顧客の安全を第一に考え、繰り返し地道に案内することを心がけたいものです。


謝罪時のタブー

謝罪やリコールの際、その方法が不適切だったために不満や不信感を持たれ、世論の批判を浴びたケースがあります。過去の事例を参考に、問題点を把握しましょう。

謝罪ではなく釈明をする

発言が不適切だと指摘された政治家が、「真意が伝わっていない」と釈明の言葉を重ねたことで、「口先だけで謝っている」「誠意が足りない」と批判を受けました。

感情的になる、開き直る

不正会計が発覚した企業の幹部が、連日のマスコミ取材にいら立ち、記者に向かって「いい加減にしてくれ」と怒鳴りました。その一部始終がテレビカメラに映り、「反省していない」と大きな非難を浴びました。

謝罪文を加工する

謝罪文の文書ファイルを、原文ではなく画像で公開した企業の事例。文面をコピー&ペーストすることができないため、「拡散を防ごうとしている」と受け取られ、ネット上で炎上しました。

謝罪文の文言が稚拙

自身の軽はずみな行動についての謝罪文を手書きし、その画像を公開した著名人の事例。本人は手書きすることで誠意を込めたつもりでしたが、内容が稚拙で誤字も散見されたため、「知性を疑う」といった方向への批判に発展しました。

具体名を明らかにしない

コンビニのアルバイト従業員が、芸能人の来店の模様を防犯カメラの映像つきでSNS上にアップし、拡散された事例。

コンビニ本社は迅速に自社ホームページに謝罪文を上げたものの、該当店舗名、該当スタッフの処分、今後の対応策などについては一切書かれていませんでした。そのため、「その場しのぎだ」「従業員教育ができていない」「防犯カメラ映像の管理が不適切だ」など、本社の対応に苦情が寄せられました。

具体的な名称を明記しなければ、隠匿行為と受け取られる恐れがあります。店舗名を公表しなかった理由は、その店舗の売上への影響や来店した芸能人に対する配慮だと考えられますが、店名が不明であるため全チェーン店に風評被害が及ぶことも考えられます。

他者に責任転嫁する

A国で、走行中の自動車のエンジンから発火する事故が多発。人命に関わる事案であるため、メーカーが大規模なリコールを実施した案件。

その車種を輸入販売している日本の会社は、最初に「気候など、A国特有の要因があるのかもしれない」と説明。その発言について「問題を正しく認識しているのか」と批判を浴びました。さらに「誤訳だった」と釈明したことで事態が混乱し、ますます収拾がつかなくなりました。

この事例では、製品の検査を行う前に憶測で回答してしまった点が失敗の第一歩でした。また、「他国での事故」として自社は関与していないかのような印象を与えたため、責任転嫁や自己防衛の態度がクローズアップされてしまいました。

このような場合は、自社内で原因を調査中であることを説明するとともに、世間を騒がせていることについてお詫びを述べることが必要です。

「謝罪」とは、本当に難しい行為です。良かれと思って懸命に説明し、心から謝ったつもりでも、さらなる批判を受けてしまうことがあります。

謝罪における「誠意」とは、謝罪の言葉を流麗に語ることではなく、被害を拡大させないよう努力している姿勢を真摯に見せることではないでしょうか。

信用や信頼を取り戻すために、また企業のブランドイメージ低下を避け業績への悪影響を長引かせないために、そして何より顧客の安全を守るために、最適な対応が求められます。

そして、他人を安易に批判する「誹謗中傷」も、昨今大きな社会問題になっています。受け取る側も、寛容な気持ちを忘れたくないものですね。

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bizocean編集部

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