ビジネス文書の書き方 第23回 暑中見舞い・残暑見舞いのマナー/納涼会の案内メール
この連載では、ビジネス文書の適切な書き方をお伝えします。
今回は、暑中見舞いや残暑見舞いのマナーを考えてみましょう。また、暑気払い会と納涼会の案内メールの書き方も紹介します。
暑中見舞い
二十四節気とは
日本には四季のほかにも、二十四節気(にじゅうしせっき)という暦があります。
これは中国から伝来した暦法で、1年を24に分割したものです。「立春」「夏至」「秋分」「大寒」などの言葉を聞いたことがあるでしょう。これらが24種類あり、およそ2週間で暦が移り変わります。
2022年の北京冬季オリンピック開会式での、二十四節気をテーマにした演出を覚えている人も多いのではないでしょうか。開会式が行われた2月4日は二十四節気の立春に当たり、中国では春節(旧正月)を祝うおめでたい日に重なったのです。
暑中見舞いを送る時期
「暑中」とは、二十四節気の小暑から大暑(7月7日頃~8月6日頃)の時期を指します。暑中見舞いは、1年で最も暑さが厳しいこの時期に、先方の健康を気遣って送る便りです。
なお、二十四節気は年により1日ほど前後することがありますので、確認してください。
暑中見舞いの定型文
はがきを用いるのが一般的で、基本的な文章構成には定型があります。
1 季節の挨拶
文頭に大きめの文字で「暑中お見舞い申し上げます」と記します。これが時候の挨拶を兼ねるため、「○○の候」といった文言は書きません。
また、「拝啓」などの頭語や「敬具」などの結語も不要です。
2 本文
次のような文が一般的です。
- 暑さ厳しい毎日ですがお変わりございませんか
- お陰様で私どもは皆元気に過ごしております
3 結び
先方の健康を願う言葉などで結びます。
- 皆様のご健勝をお祈りしております
- どうかご自愛くださいませ
4 年号と月
最後に年月を記します。西暦でも和暦でも構いませんが、縦書きの場合は漢数字を用いるのが一般的です。
「7月」の代わりに「盛夏」「文月(7月の異称)」などの言葉を用いても良いでしょう。
暑中見舞いの文例
それでは、文例を見てみましょう。
<会社宛>
<個人宛>
残暑見舞い
残暑見舞いを送る時期
立秋(8月7日頃)以降は、「暑中見舞い」ではなく「残暑見舞い」と呼びます。暦の上では秋になっても、体感としては最も暑い時期です。
残暑見舞いの定型文
基本的には「暑中見舞い」と同様です。文頭に大きめの文字で「残暑お見舞い申し上げます」と記します。
文末には「8月」の代わりに、「晩夏」「葉月(8月の異称)」「立秋」などの言葉を用いても良いでしょう。
残暑見舞いの文例
それでは、文例を見てみましょう。
<会社宛>
<個人宛>
また、夏休みにお世話になった方へのお礼状として出すのも良い方法です。
返信
暑中見舞いや残暑見舞いをいただいたら、返事を書くのを忘れずにいたいですね。
文頭の挨拶は、受け取った文言と同じ「暑中お見舞い申し上げます」でOKです。返事を書くタイミングが立秋以降であれば「残暑お見舞い申し上げます」と書きます。
文例2種を紹介しましょう。
<会社宛>
<個人宛>
暑中見舞いはがきの歴史
1950年、当時の郵政省から「暑中見舞用郵便はがき」が発売されました。1986年には年賀状同様のくじ付きはがきに変更され、「かもめ~る」の愛称で親しまれました。
しかし、近年は出す人が少なくなったため、「かもめ~る」の発行は2020年に終了しました。現在は、くじなしの絵入りはがきが販売されています。
暑気払い会と納涼会の案内メール
最後に、会社の同僚や親しい友人の間で開く暑気払い会と納涼会の案内メール、2つを紹介しましょう。
<同僚宛>
件名:暑気払い会のご案内 |
皆様 労務課の岸谷です。 暑い毎日、お疲れさまです。 この暑さを乗り切るべく、恒例の暑気払い会を催したいと存じます。 業務にお忙しい毎日だと思いますが、美味しい料理と冷たいビールで英気を養い、 楽しいひとときにしたいと考えております。 下記の通り、ご案内いたします。 記 日時:○月○日(金)午後6時30分より 場所:ビアレストラン○○ 住所:○○区○○1丁目2-3(○○駅より徒歩5分) TEL:03-1234-5678 こちらから地図をご覧いただけます URL ___________________ 会費:5,000円(当日、受付にてお願いいたします ) お手数ですが、出欠のご返事を○月○日までに、 岸谷までご連絡くださいますようお願いいたします。 以上 --------------------------- 労務課 岸谷 咲良 内線:1234 E-mail ___________________ --------------------------- |
<友人宛>
件名:納涼会のご案内 |
皆様 ○○高校○○年卒業の内海航一です。 ご無沙汰しています。お元気ですか? 梅雨が明け、いよいよ夏本番ですね。 久しぶりに同級生みんなで顔を合わせたく、下記の通り納涼会を企画しています。 夏休みで帰省される方も多いと思います。 お誘い合わせの上、ご参加ください。 記 日時:○月○日(土)午後6時00分より 場所:レストラン○○ 住所:○○市○○町○番地(○○駅より徒歩5分) TEL:000-123-4567 こちらから地図をご覧いただけます URL ___________________ 会費:5,000円(当日、受付にて) お手数ですが、出欠のご返事を○月○日までに、 電話かメールで内海までご連絡ください。 以上 --------------------------- 幹事 内海 航一 TEL:080-0000-0000 E-mail ___________________ --------------------------- |
暑中見舞いを送る機会は減りましたが、涼しげな配色やデザインのはがきを使って、先方の健康を気遣う便りを出すと、きっと喜ばれますよ。