このページはJavaScriptを使用しています。JavaScriptを有効にして、対応ブラウザでご覧下さい。

リーダーシップを発揮するためのコツ

リーダーシップを発揮するためのコツ

管理部門のITシステム開発など、多くの開発者や関係者が参画するプロジェクトにおいて、計画に基づいてさまざまな業務を完遂させるためにはリーダーの存在が重要です。そのリーダーに求められる素養としてリーダーシップがあげられます。筆者も数多くのITシステム開発のプロジェクトリーダーを担当して、大小さまざまな失敗を経験し、リーダーシップを発揮することがいかに大切か、身をもって感じることができました。

本記事では、ITシステム開発プロジェクトにおいてリーダーシップを発揮するためのコツを、筆者の経験も踏まえて解説します。


この記事の著者
  中小企業診断士 

1.リーダーシップとは

リーダーシップとは、目標達成のためにチームや組織の人々に影響を与える力を指します。

一般的には「指導力」や「統率力」などと表現されることが多いですが、ITシステム開発プロジェクトにおいては、進捗管理・課題管理・問題解決、ステークホルダーとの交渉など、リーダーシップを発揮する場面が多々あります。

納期通りに万全な品質のITシステムを導入する(=目標達成)、そのために計画を立案して関係者を巻き込みながら開発プロジェクトを推進する(=人々に影響を与える)、これがITシステム開発におけるリーダーシップとなります。


2.リーダーの役割

プロジェクト規模の大小にかかわらず、チームを編成しシステム開発に取り組む場合は、リーダーの存在が不可欠です。

チームを動かすためにはリーダーが必要であり、チームに参画している関係者を動かすためにはリーダーシップが必要です。また、リーダーには、決断力、行動力、コミュニケーション力が必要であり、関係者から信頼を得られるような誠実な振る舞いも大切です。


3.リーダーによくある問題点とその原因

(1)交渉が苦手

ステークホルダーとのさまざまな交渉が難航するケースが見受けられます。特にITシステム開発でよくあるのは、ステークホルダーから追加変更要件を打診され、スケジュール変更なしで対応を迫られるケースです。安易に引き受けてしまうと、納期を守るためにチームに参画している関係者にも多大な迷惑がかかってしまいますし、無理なスケジュールで開発してしまうと品質悪化を招く恐れもあります。

ステークホルダーとの信頼関係を構築するためにも、追加変更要件などの要求がITシステム稼働に悪影響を及ぼす恐れがある場合は、そのことを明確に伝えて交渉することもリーダーの役割です。必須要件は何か、後回しにしてもよい要件は何か、システム運用も考慮したうえで優先づけを行い、開発スケジュールの条件交渉を行うことが求められます。

(2)自分で決められない

新技術を使ったITシステム開発の場合、チーム内に新技術に詳しい人がいると、その人にすべての判断を委ねてしまうケースも見受けられます。ITシステム開発において技術面は確かに重要な要素ではありますが、プロジェクトを推進するためは、関係各所との調整や交渉、課題解決に向けたアプローチなど、リーダーとして行うべき重要な役割がたくさんあります。チームに参画している関係者の協力も得ながら、リーダー自身が状況を判断して決断することが求められます。

(3)周りの意見を聞かない

経験年数が長くなるにつれ、技術的なスキル・知識が蓄積されることから、周りの意見を聞かずに1人で突っ走ってしまうケースも見受けられます。何でも知っている、何でも自分でできるという状況下では、自己中心的な振る舞いになってしまいかねません。さまざまな要件や機能を開発する大規模開発プロジェクトでは、チーム内で役割を分担しながら、関係者の協力を得てプロジェクトを推進していく必要があるのです。


4.リーダーシップを発揮するためのコツ

(1)関係者との信頼関係構築を

リーダーシップを発揮するためには、一緒に活動してくれる関係者との信頼関係が重要です。信頼関係がなければリーダーの言うことすら聞いてもらえません。特にITシステム開発では、お互いの意思疎通ができていないと、思わぬところで品質悪化や進捗遅延といった問題につながりかねません。

マネジメント側としての指示だけでなく、普段からの会話やアフターフォローといったコミュニケーションも大切です。

(2)指示は的確かつ、簡潔に

指示する相手として誰が適任なのか、その適任者の負荷状況はどうか、代行者は誰かといった、プロジェクト内の状況をきちんと把握しておきましょう。

指示内容が首尾一貫していることも大切です。指示内容が二転三転しているようでは混乱を招いてしまい、リーダーに対して不信感を抱かせてしまいます。また、相手が理解しやすいように、簡潔な内容で指示をだすことも心がけ、指示事項に間違いや変更が生じた際は、正直にそのことを伝えて訂正しましょう。

(3)言うだけでなく自らも実践する

口で言うのは簡単ですが、実際に実行するとなると難しいことも多々あります。自らも実行して、難しい局面でも一緒に悩み、考えることが大切です。また、口頭で話をするだけでは伝わらないことも多々あります。特にITシステム開発においては、課題解決策などをドキュメントとして記載しプロジェクト内で共有することで、対応のヌケモレを防止できます。さらに、ITシステム開発のノウハウとして継承することで後進育成にもつながります。

(4)最後は責任を取る

チームを組んで取り組むITシステム開発プロジェクトにおいては、進捗遅延や不具合の発覚など不測の事態も発生します。ステークホルダーから状況報告を求められ、時には厳しい追及をされるケースもありますが、プロジェクトの責任者でもあるリーダーは前面にたって報告し、問題解決に向けて迅速に取り組む必要があります。リーダーシップを発揮し、プロジェクトを代表してステークホルダーに対する誠実な対応を行うことも重要な役割です。

(5)パワハラには要注意

リーダーシップを発揮することがパワハラ行為にならないよう注意が必要です。

特にITシステム開発においては、不具合など開発に関する失敗が発覚した際に、開発担当者に対してパワハラ的な発言を行わないように注意が必要です。不具合を発生させた当事者を問い詰めるような行為は避けましょう。あくまでも、同じ失敗を繰り返さないように改善することが重要です。後進育成のために時には厳しく接することも必要ですが、必ずアフターフォローを行うようにしましょう。


5.おわりに

筆者の経験談・失敗談も踏まえ、ITシステム開発プロジェクトにおいてリーダーシップを発揮するためのツについて解説しました。

さまざまな個性を持つ人々と一緒に仕事を行う際は、リーダーシップを発揮することがいかに難しいことであるかに気づかされます。しかし、リーダーシップを発揮してチームとして大きな仕事を完遂させた時の達成感は、リーダーだけでなくチームとしてのさらなる活力を生み、大変価値のあるものになると思います。

本記事が、リーダーシップを発揮する場面で少しでも参考になれば幸いです。


【書式のテンプレートをお探しなら】

「報告書・レポート」の書式テンプレート

この記事に関連する最新記事

おすすめ書式テンプレート

書式テンプレートをもっと見る

著者プロフィール

author_item{name}

吉川 和明

中小企業診断士

1965年生まれ,京都府京都市出身。
2021年中小企業診断士登録

大手電機メーカー系列のソフトウェア会社にて、流通業向けPOSシステム開発に長年携わり、現在は大手流通業向け法人営業を担当。得意分野は流通系ITシステム、業務改革、プロジェクトマネジメント、ファシリテーション。


お問い合わせ先
株式会社プロデューサー・ハウス
Web:http://producer-house.co.jp/
Mail:info@producer-house.co.jp

この著者の他の記事(全て見る

bizoceanジャーナルトップページ