バッファーとは? ビジネスシーンでの意味や正しい使い方を紹介
「バッファー」はさまざまな意味を持つ言葉ですが、ビジネスシーンでは「余裕、予備、緩衝」のような意味で使われます。うまく利用することで、仕事におけるタスクだけでなく、心にも余裕を持たせてくれるものです。
バッファーのメリットを、具体的な例文や使用シーンとともに解説します。業界別の使用方法も紹介するので、ぜひ職場での会話の参考にしてみてください。
バッファーとは
バッファーとは、英語の「buffer」をカタカナ読みしたビジネス用語です。直訳すると、「緩衝装置」や「緩衝器、緩和材」などの意味があります。なお、「バッファ」と表記されることもありますが、意味は同じです。
ビジネス用語のバッファーには「余裕、予備、緩衝」の3つの意味があります。時間や人員、スケジュール、予算に余裕やゆとりを持たせる際の表現に使用されることが多いです。
元々は主にIT業界で使われていましたが、現在では幅広いビジネスシーンで使用されるようになりました。
ビジネスシーンでのバッファーの使い方と例文
ビジネスシーンで使用するバッファーの意味には、主に以下の3つがあります。
- 「余裕(ゆとり)」の意味
- 「予備」の意味
- 「緩衝(クッション)」の意味
ここからはそれぞれの使い方を、例文と一緒にみていきましょう。
「余裕(ゆとり)」の意味で使うとき
計画に柔軟性を持たせたい、リスクヘッジをしたいという意思を示す際に、「余裕(ゆとり)」のニュアンスで活用されます。言葉の使い方は「バッファーをもつ・みる・組み込む」などと表現します。
一般的には、下記のような日数、金額、人数などを設定する際に使われることが多いです。
- スケジュール管理
- 予算配分
- 人員配置
<例文>
- 人員計画にバッファーをもたせたので、欠員や急務にも対応できます
- 納期に間に合うように、スケジュールには10日間のバッファーをもたせています
- 急な出費があっても良いように、イベントの予算に30万円ぐらいのバッファーを組み込んでおいて
「予備」の意味で使うとき
バッファーは「予備」の意味でも使われます。例えば、商品の在庫や備品、資料の予備などの物理的なリソース管理をする時に使用するのが一般的です。
また、在庫切れ防止のために確保しておく在庫は「バッファー在庫」とも呼ばれます。
<例文>
- 急に注文が増えても良いように、バッファー在庫を確保している
- この資料に、バッファーはありますか?
- バッファーのコピー用紙も使い切ってしまったので、追加購入をお願いします
「緩衝(クッション)」の意味で使うとき
バッファーは、企業間や人間関係における「緩衝(クッション)」となる人物を指す場面でも使用されます。
例えばビジネス交渉や人間トラブルなどにおいて、仲介に入る第三者がバッファーです。
<例文>
- 当社だけでは交渉が難しいので、バッファーとしてA社にも参加してもらえないでしょうか
- 営業部と広報部はあまり相性がよくないから、どちらも経験したことのある部長に、バッファーになってもらいましょう
- 国際的な意見対立を和らげるため、我が国がバッファーに位置づけられた
バッファーをもたせるメリット
バッファーをもたせることは、臨機応変に対応できる要因になり得ます。主にビジネスシーンで、バッファーをもつメリットを3つ紹介します。
急なトラブルに対処できる
バッファーをもたせることで、急なトラブルに対処できます。
例えば、中長期のプロジェクトの進行中に、メンバーが家庭の事情などで一時的に離脱しなければならなくなったり、作業のやり直しが必要になったりした場合でも、柔軟に対応できるでしょう。
バッファーをもたせておけば、何らかのトラブルが起きてもプロジェクトの進行に影響が出づらくなります。計画を練るとき、各タスクの完了時間の目標を、本来の期限よりも少し余裕を持たせて設定すると良いでしょう。
ただし、過剰なバッファーはかえって無駄を生み出す可能性があるので注意が必要です。
心理的負担が減る
業務中の心理的負担を軽減できることも、バッファーを設けるメリットです。
スケジュールや予算に余裕がない状態で仕事をしなければならない場合、焦りが生まれるでしょう。そして、それによってまたミスが増えるという悪循環が生まれてしまうかもしれません。
しかしバッファーがあれば、緊張感や焦りからくるミスを防げます。もし不備や遅れが発生しても、冷静に対処できるでしょう。ミスを減らせることから、組織のチームワークも向上するかもしれません。
業務効率が向上する
バッファーを導入することで、業務効率が向上するというメリットもあります。
業務におけるバッファーは、自分で計画的に設定できます。実践したい方は、自分のタスクの期限を通常よりも早めに設定してみましょう。たとえばタスクの対応期限までに5日あるなら、あえて3日で提出できるようにスケジューリングするといったことです。
この場合、当初のスケジュールに2日のバッファーが生まれるため、その分、他のタスクを進められるでしょう。うまく活用すれば、生産性向上の一因になってくれるかもしれません。
業界別バッファーの使い方
これまでビジネスシーンで広く使用されるバッファーの意味や例文について解説しましたが、業界によっては、専門的な意味を持つこともあります。
続いては、以下の3つの業界別にバッファーの使い方をみていきましょう。
- IT関係
- 金融業界
- 美容業界
IT関係におけるバッファー
IT関係のバッファーは、「データ処理の一時的な保存領域」を指します。
例えばプリンターの「バッファーメモリ」が挙げられます。バッファーメモリの役割は、プリンターの処理速度に追いつかないデータを、一時的に格納することです。
またIT業界には「バッファーオーバーフロー」という言葉も存在します。これはバッファー領域をも超えるデータが保存され、余分なデータがあふれ出す状態を指します。
金融業界におけるバッファー
金融業界におけるバッファーは、「資金的な余裕」を指します。経済危機を始めとした不測の事態によって発生した損失を吸収するために確保しておく、重要なものです。
特に、銀行のような金融機関が確保しておく資本を「資本保全バッファー」と呼びます。
また、バーゼル3(国際的な銀行自己資本規制)で規定された、資本全体に占めるバッファーの割合を「資本バッファー比率」といいます。
金融機関の安定的な経営に欠かせないものだと言えるでしょう。
美容業界におけるバッファー
美容業界には「バッファー剤」という薬剤があります。これはヘアカラーやパーマなどをした後の髪の健康を保つために使用する製品のことです。また、その処理方法を「バッファー処理」と呼びます。
バッファー剤を使うことで、アルカリ性・酸性に傾いた髪を、中性へと調整できます。これにより、髪のダメージを抑えて健康を保てるのです。
まとめ
ビジネスシーンでバッファーをもたせることで、急なトラブルへの対処がしやすくなる、心理的負担の軽減、業務効率向上といったさまざまなメリットに期待できます。
もし自分の仕事の進め方・取り組み方に課題を感じているのであれば、どこかにバッファーをもたせられないか考えてみてください。
ただしあまりにもバッファーをもたせすぎると、かえって時間や物を無駄にしてしまうこともあるため、バランスを意識することをおすすめします。