ゆとり世代とは? 特徴のほか仕事での関わり方も解説!

ゆとり世代は、2024年現在で19~36歳ごろの世代を指す言葉です。それより以前の年代に比べるとストレス耐性が低いと言われることもありますが、素直で真面目、人間関係を大切にするなど、この世代ならではの魅力もあるのです。
この記事では、ゆとり世代の概要やほかの世代との違い、接する際の注意点などを解説します。ゆとり世代の人材と関わることになった際は、ぜひ参考にしてください。
目次
ゆとり世代とは?
冒頭に記載したように、ゆとり世代とは特定の世代を指す言葉です。
明確な区切りはありませんが、一般的には、2024年現在で19~36歳ごろの世代がゆとり世代に該当します。
生年月日で言えば、1987年4月2日~2004年4月1日までに生まれた人です。
小中学校・高校での学習指導要領改定が2002年に完全実施となり「ゆとり教育」が本格的にスタートしました。
そして2011年に再び学習指導要領が改訂されてゆとり教育が終了したことを踏まえると、2002年~2011年頃に義務教育や高校での教育を受けた世代が当てはまると考えられます。
ゆとり世代の特徴
ゆとり世代の人材には、以下のような特徴が見られやすいと言われています。
- ストレス耐性が低い
- プライベートを優先する
- 昇進にこだわらない
- 終身雇用を前提に考えていない
- 素直で真面目
- 想像力が豊か
- ITリテラシーが高い
- 人間関係を大切にする
この世代の全員に当てはまるわけではありませんが、大まかな傾向としてとらえておきましょう。
ストレス耐性が低い
ゆとり世代の特徴として代表的なものは、ストレス耐性の低さです。
ゆとり教育は、子供たちの個性を伸ばすことを重視してきました。そのため従来の世代に比べると叱られたり指導されたりする機会が少なめだったと言えます。
その結果、ストレス耐性が低くなっていると考えられるのです。
このことから、社会人になっても叱られたり指導されたりすると強いストレスを感じ、体調を崩したり急に欠勤したりするといった問題が他の世代より起こりやすくなっています。
それ以前の世代から見れば、違和感を感じてしまうこともあるかもしれませんが、それを「社会人なのに甘えている!」と指摘することはやめましょう。
まずはストレスの根本を解決することが大切です。すべての世代が健やかに活動できる職場環境を目指しましょう。
プライベートを優先する
個性を伸ばすことを重視されたゆとり教育と、学校が完全週休2日制になったことが影響し、社会人になっても仕事よりプライベートを優先する傾向が見られます。
職場の人間関係よりも家族や友人を大切にしたいという気持ちが強く、会社で行われるイベントに対しては消極的な人も多いでしょう。
以前は日常的に行われていた「飲みニケーション」にも好意的ではなく、参加しないことも珍しくありません。
ゆとり世代と親交を深めたい場合は、飲み会以外の手段も考える必要があるでしょう。
昇進にこだわらない
出世や昇進を仕事の原動力とせず、野心にあふれた姿勢があまり見られないこともあります。
個人の意思を尊重されてきたこともあり、社会人になってからも競争意識が低く、昇進や出世・昇給に興味を示さない人も多いそうです。
終身雇用を前提に考えていない
離職に対するハードルが低く、1つの会社に長くとどまるという考え方をあまりしない点も特徴的です。
自身の個性や意志を尊重する教育がされてきたこともあり、「職場が合わない」と感じた時は自分を変えるのではなく、転職しようと考える人が多いようです。
昭和の時代に根強かった「終身雇用」を前提にする人材は少ないと考えてよいでしょう。
離職に対しても「次のステップに行くためのもの」とポジティブなイメージを持っており、辞めようと思ったら早々に転職する人もいます。
素直で真面目
競争の機会が少ない分、誰に対しても素直で真面目であるとも言われています。
競争をしなくてよい環境で育ったため、人を疑ったり陥れたりしようとする考えがほかの世代より少ないようです。その分、誰かからの適切な指導も聞き入れやすいのです。
性格も真面目で、言われたことに対してきちんと取り組もうとする姿勢が見られるでしょう。
想像力が豊か
ゆとり教育では、知識を一方的に詰め込むのではなく「自ら考えること」を重視した教育がなされました。
その分、ゆとり世代はほかの世代に比べると自身の意見を尊重したり、適切に自己表現をしたりできると言われています。
想像力に優れ、新しいアイデアを出したり、時と場合に応じて柔軟な対応ができたりする点も、魅力の1つです。
ITリテラシーが高い
ゆとり世代は、学生の頃からパソコンや携帯電話に触れていた世代でもあります。
小学校の授業でパソコンの使い方に関する授業が設けられていた人もおり、電子機器に触れることに抵抗がなく、全体的にITリテラシーが高い傾向にあります。
パソコンを使った情報処理業務や事務作業に関する基礎的な知識は一通り備えていることから、それほど詳しく説明しなくてもすぐに対応してもらえるでしょう。
人間関係を大切にする
周囲の人々との関係性を重視し、所属するコミュニティーの人々を大切に扱うのも、ゆとり世代の特徴です。
個性を重視した教育がなされてきたことに加えて、核家族化・共働き世帯の増加により、「深く狭く」の交流が見られてきた世代でもあることが影響しているのでしょう。
SNSを通じた年齢や趣味が近い人々との「ゆるいつながり」を重視する人材も少なくありません。
ゆとり世代とほかの世代との違い
ゆとり世代以外にも、特定の世代を表す言葉は多々あります。ここからは次の世代について、年代順に解説します。
- しらけ世代
- プレッシャー世代
- ミレニアル世代
- さとり世代
- Z世代
ゆとり世代の期間は約17年あったことから、上記の世代と比較すると比較的該当期間が長いです。
その分、ほかの世代と重複する点もありますが、どういった点が共通で違いはどこか、見比べてみてください。
しらけ世代とゆとり世代の違い
「しらけ世代」とは、団塊の世代とバブル世代の合間の時期である、1950~1964年ごろに生まれた人々のことです。
団塊の世代やその前の世代までは、戦後の食料が少ない時期を生き延びなければならなかった世代であるため、熱意であふれていました。
その後の世代であるしらけ世代は、比較的豊かな環境で育っています。そのため何に対しても熱意が少なく、「しらけ世代」と呼ばれるようになりました。
また個人主義が強まり、「自分がよければそれでよい」という考えを持つ人も多い傾向にあります。
人間関係を重視するゆとり世代に比べると、少々利己的な面が大きい世代だと言えるでしょう。
プレッシャー世代とゆとり世代の違い
「プレッシャー世代」は、バブル世代の後、つまりバブル崩壊後の1982~1987年ごろに生まれた世代が当てはまります。
バブル崩壊後で就職に苦しんだ世代を見ているため、「自分はそうはなるまい」というプレッシャーが強かったと言われています。
厳しい環境を目の当たりにしてきた分、「人生は自分の意思で進めていかなければならない」という思いを持っており、忍耐力も高い点が特徴です。
豊かな社会のなかで個性を尊重され、「打たれ弱い」とも言われるゆとり世代とは、正反対の存在と言えるかもしれません。
ミレ二アル世代とゆとり世代の違い
「ミレニアル世代」とは、1980年~1995年ごろに生まれ、2000年代に成人を迎えた世代のことです。
プレッシャー世代・ゆとり世代とも時期が重複しますが、とりわけ2000年代に成人を迎えた世代をミレニアル世代と呼ぶことが多いようです。海外では「Y世代」と呼ばれることもあります。
インターネットが普及し始めた時代であるため、ゆとり世代と同様に幼少期からデジタルツールが身近にあり、ITリテラシーが高い人が多い点が特徴です。
また、多様な価値観に触れる機会が増えたことから、プライベートやワークライフバランスを重視する人も目立ちます。
ゆとり世代との違いはそれほどないと考えてよいでしょう。
なお、ミレニアル世代とは元々アメリカで登場した表現です。
バブル崩壊を迎えた日本の状況とは環境が異なるため、国内のこの世代には相反するプレッシャー世代の特徴を併せ持つ人材も少なくありません。
さとり世代とゆとり世代の違い
「さとり世代」もゆとり世代と同様に期間の定義が曖昧ですが、多くの場合1990年代に生まれた世代を指します。不景気のなかで生まれ育ったため現実的で、地位や名声にも興味を示しません。
ただし、ゆとり世代を見て育った世代でもあるため、「自分に必要な情報は、自分から取りに行く」という傾向がやや強い点は大きな違いです。
Z世代とゆとり世代の違い
最近耳にする機会が増えた「Z世代」は、1995年~2010年ごろに生まれた世代のことです。
平成から令和に変わった頃に社会人になった世代だと考えると、把握しやすいでしょう。
Z世代は、生まれた時からスマートフォンのような高度なデジタルツールに囲まれていた世代です。
その前の世代に比べるとさらにデジタルツールに精通しており、高いITリテラシーを持っています。また、個性や多様性を重視する面があるところも、ゆとり世代と共通している特徴です。
ただしゆとり世代と比べると承認欲求が強い、コスパ・タイパにこだわるといった面も見られます。
仕事でゆとり世代と接する時のポイント
仕事でゆとり世代に接する際は、いくつか意識したいポイントがあります。
- 理由を付けて具体的に指示する
- 理性的に接する
- IT関連の仕事を任せる
- 飲み会などイベントの参加を強要しない
- プライベートに踏み込まない
「ゆとり世代の特徴」も踏まえつつこの点を意識すれば、ゆとり世代の人材ともよい関係が築けるでしょう。
理由を付けて具体的に指示する
指示を出す際は、対応してほしい具体的な内容を、理由とともに伝えましょう。
ゆとり世代は素直で真面目ですが、やや受け身な姿勢が見られます。しかし明確な目標があればその達成に向けて努力をしてくれます。
「よい感じにしておいて」といった曖昧な指示ではなく、「提案資料をブラッシュアップしたいから、〇日までに★★のデータを探しておいて」といったように、明確に指示しましょう。
理性的に接する
指導や教育の際は、冷静に内容を伝えることを意識しましょう。
ゆとり世代には、熱血指導や根性論は響きづらいものです。感情的になってしまうと、ストレスを与えてしまう可能性もあります。
「至らない点を叱る」というよりも、「よりよくなるためのアドバイスをする」といったことを心がけてください。
IT関連の仕事を任せる
デジタル機器に強い世代であることを踏まえて、IT関連の仕事を任せてみてはいかがでしょうか。
ITリテラシーが高い分、効率的な作業を進められる人も多いでしょう。
また、「仕事ができない」と感じにくくなれば、仕事に対するストレスも軽減でき、職場で長く活躍してくれる可能性もあります。
飲み会などイベントの参加を強要しない
「ゆとり世代の特徴」でも解説したように、この世代はプライベートを優先したい気持ちが強い世代です。
部署内・チーム内などでの飲み会や社内イベントへの参加を強要してしまうと、大きなストレスを与えかねません。
声をかけつつも本人の希望を尊重し、参加を断られても無理強いしないように意識してください。
プライベートに踏み込まない
日頃の会話のなかで、ゆとり世代のプライベートに踏み込むことも避けましょう。
親交を深めたい一心で、プライベートのことを尋ねる質問をしてしまうこともあるかもしれません。
しかし職場の人に自分のプライベートに踏み込まれることは、ゆとり世代にとっては苦痛に感じるものです。過度に干渉せず、程よい距離を保つようにしましょう。
ゆとり世代の特徴を理解し適切に関わろう
ゆとり世代は個性を伸ばす教育をされてきたこともあり、場合によっては協調性がない・扱いづらいと感じることもあるでしょう。
しかしそれを頭ごなしに否定するのではなく、それを踏まえた関わり方をすれば、よいパフォーマンスを発揮してくれることもあるのです。
仕事をするうえで、異なる世代とも上手く付き合うことは非常に重要です。ゆとり世代との関わり方を理解し、よい職場環境の整備に努めてください。