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小規模事業者持続化補助金であなたの副業をスケールさせよう

小規模事業者持続化補助金であなたの副業をスケールさせよう

今回は“小規模事業者持続化補助金”(以下、持続化補助金)について、一体どのような制度なのか、具体的にはどのような案件に活用ができるのか、副業やフリーランスでの活用事例を中心にお伝えいたします。


この記事の著者
  中小企業診断士 

1. 小規模事業者持続化補助金とは

小規模事業者および一定要件を満たすNPO等が、今後、複数年にわたり相次いで直面する制度変更(働き方改革や被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイス導入等)などに対応するために取り組む販路開拓等に必要な経費の一部を補助する制度です。これにより、地域の雇用や産業を支える小規模事業者等の生産性向上と持続的発展を図ることが目的であるとされています。もちろん、フリーランスや副業ビジネスについても独立事業主として活動されている方なら十分対象となりえます。

(ア) 持続化給付金とはまったく別ものの制度です

一方で、よく似た名称の制度として、2020年度に新しく設置された“中小法人・個人事業主のための持続化給付金”という制度があります。こちらは、新型コロナウイルス感染症の拡大によって営業自粛等を余儀なくされた事業者向けの制度です。売上が前年同月比で50%以上減少した事業者に対して、事業の継続を支え、再起の糧とするため、事業全般に広く使える給付金が給付されます。つまり、新型コロナウイルスの影響で売上が大幅に減少している事業者に対して原則的に支給される給付金で、よく似た名称ですが、まったく別ものの制度となっていますのでご注意ください。

(イ) 補助の対象となる取り組みとは

今回ご紹介する持続化補助金は、その名の通り、持続的な経営を実現するための経営計画を作成して取り組む事業者を資金面で補助する制度です。ですから、経営計画の立案・提出が必須条件となっています。せっかくですので、経営計画を作成したり、見直したりする良い機会にしてください。

以下のようなものが主な取り組み事例として示されています。

  • チラシ制作やホームページ制作などの地道な販路開拓
  • 新たな市場への参入に向けた売り方の工夫
  • 新たな顧客層の獲得に向けた商品の改良・開発等
  • これらの事業とともに行う業務効率化の取り組み

これらに併せて、事業再開に向けた必要最小限の感染防止対策について補助されます。(業種別ガイドライン等に沿った内容で。)

意外に幅広い用途が認められていることを理解していただく上でいくつかの事例を紹介します。

2. 新設備の導入事例

【新設備の導入事例:1】

ペット同伴での旅行を楽しんでもらうための設備導入事例
友人同士で空き家を改装して民泊事業をスタートしたが、予約が少なく新規客の取り込みが課題でした。顧客の要望で小型のペットはOKとしていたのですが、「ペットが部屋を汚してしまうのでは?」「よそのペットの臭いで落ち着かない」などの顧客の声がありました。それに応えるために、ビニール製の畳への入れ替え、空気清浄機能付エアコンを設置し、予約サイトで訴求しました。これにより、ペット連れの顧客を新たに獲得することができ、稼働率の増加を果たしました。

【新設備の導入事例:2】

高精度短納期実現を目的とした設備導入事例
自分でデザインした雑貨の製作についてCADデータを作成し、試作業者に依頼していましたが、費用もさることながら、納期の面で不満があったのですが、小型で手ごろな価格に下がってきた3Dプリンターを導入することとしました。これにより製造工程が手元に来たため、短納期も実現し、製品の改良のスピードアップも実現することができました。

【新設備の導入事例:3】

新サービス開発を目的とした設備導入事例 フード撮影などの依頼を雑誌社などから受けていましたが、近年減少傾向でした。そこで、最近になって、以前から関心のあったドローンを思い切って入手。同時にブログなどでPRするとともに近隣事業者さんへチラシのポスティングを始めてみました。それにより建設業者や点検を事業としている近隣企業さんから撮影依頼が入り定期的な売上の確保につながりました。

いずれも単に新たな設備投資をするのではなく、それまで対応できていなかった顧客ニーズに対応する経営計画を作成した上で、不足している設備を導入している点に着目してください。

3. 新規事業の事例

【新規事業展開事例:1】

友人同士でのカフェ共同経営の事例
母親が経営する茶葉店に隣接しており使われていなかった古民家に、ママ友たちと協力して厨房を増設し、休日だけのカフェ事業をスタートさせました。この取り組みにより、高齢者中心であった顧客に加え、30代の新規顧客を獲得することができました。また、軽食を提供するイベントができるようになり顧客満足度の向上を図れました。その結果、茶葉で淹れるお茶の良さを手軽に体験してもらえるようになり、茶葉店の客数が前年比1.5倍に増加。今後は、子育て中のママさんが集まる場の提供を通じて、地域活性化にも貢献していきたいと考えています。

【新規事業展開事例:2】

行きつけのカフェとの協業事例
こちらも休日起業の事例です。地元でも人気のカフェレストラン。オフィス街にあることもあって休日の集客に課題がありました。そこで常連であったAさんが、店先を格安で借り受け、即席のフラワーショップを開設しました。
コーヒーショップサイドは、この新しい取り組みで店先がにぎやかになり、認知度が向上しました。また、ハーブを使ったメニュー開発も行い、一方、Aさん側は、コーヒーショップ来店客からのガーデニング相談も生まれ、次の展開も計画することになりました。

【新規事業展開事例:3】

自宅に相談スペースを設置した事例
ファイナンシャルプランナーさんの事例。子育ての時間をやりくりしつつ地元のママさんたち向けに相談業務を行っていたBさん。これまでは、近所のカフェで相談を受けていたのですが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、カフェでの相談に不安を抱える相談者が増えました。そこで、自宅の一室を改装することで感染症対策を施し、来訪者のための駐車場も整備しました。これによって「子供連れでも相談しやすい」と口コミが広がり、新規の相談案件が増加しました。

新規事業の事例

4. フリーランスも対象になるの?

ここまでお伝えしてきたように一定規模の事業だけではなく、フリーランスはもちろんのこと、昨今、注目されているサラリーマンの副業も独立事業主として活動されていれば、本補助金の対象となると考えられます。例えば、ご自身のスキルで教室運営をされていたり、ECサイトを運営したりしている方、または、これからやってみようと計画中の方なども対象となりえるでしょう。具体的には、ご自身のスキルをPRするためのWEBサイトの構築やECサイトの構築、名刺やチラシの制作・配布や副業を始めるにあたって必要な設備の導入などが対象です。「自分は、副業だからダメだろう」という固定観念を取り払って、活用の可能性について考えてみてください。きっとあなたのビジネスをスケールさせるきっかけになることでしょう。

5. まとめ

いかがでしたでしょうか?販路開拓というとホームページ制作やチラシと考えがちですが、冒頭にもお伝えした通り、本補助金は、地域の雇用や産業を支える小規模事業者等の生産性向上と持続的発展を図ることを目的とした制度です。今回は、筆者周辺で申請事例の一部を修正して紹介いたしましたが、これらは、ほんの一例にすぎません。採択事例は、多様です。もし、あなたが新たな取り組みをお考えでしたら、お近くの専門家に相談してみることをお勧めします。

公募要領は、こちらから。
日本商工会議所:https://r1.jizokukahojokin.info/

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著者プロフィール

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山本 哲也

中小企業診断士

PROFILE
ライター,コンサルタント
1966年生まれ,大阪府大阪市出身。
1998年ビルクリーニング技能士取得
2019年年中小企業診断士登録
総合サービス事業会社にてオープンイノベーションによる新規事業開発を担当。得意分野は新規事業開発、事業企画、営業チームビルディング、フランチャイズビジネス

お問い合わせ先
株式会社プロデューサー・ハウス
Web:http://producer-house.co.jp/
Mail:info@producer-house.co.jp

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