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ビジネス文書の書き方 第9回 お歳暮のマナー

著者:   bizocean編集部

ビジネス文書の書き方 第9回 お歳暮のマナー

この連載では、ビジネス文書の適切な書き方をお伝えします。

今回は、お歳暮のマナーを考えてみましょう。


贈る時期

お歳暮を贈る時期は、関東では12月初旬から20日頃、関西では12月中旬頃が一般的とされています。


のしの選び方

贈り物の表に付ける紙を「のし」と呼びます。

のしには、「水引」と呼ばれる紐のようなものが付いています。水引は、色・形・結ぶ向きによって、ふさわしいシーンが異なります。結び目が「結び切り(固結び)」で、紐の両端が上を向いたものは、結婚祝のように人生で一度だけの贈り物に使われます。白黒の水引は仏事の際に用いられます。

お歳暮に適しているのは、紅白の蝶結びの水引です。蝶結びは、ほどけてもまた結べることから、何度でも繰り返したい慶事やお歳暮に適切です。お歳暮用の水引の本数は、5本か7本が一般的です。

 水引の上に「お歳暮」と表書きし、贈り主の氏名は水引の下に記します。

また、縦長の札を箱に貼り付ける「短冊のし」と呼ばれるものもあります。短冊のしは一般的なのし紙より小さく簡素化されたものであるため、改まったお歳暮には不向きですが、親しい間柄の親戚や友人なら使っても構いません。短冊のしを付ける位置は、品物の表面の右上です。

なお、のし紙の掛け方には、「内のし」と「外のし」があります。内のしは、品物のパッケージにのし紙を掛けた後、包装紙で包むスタイルです。外のしは、包装した上でのし紙を掛ける方法です。

内のしは、贈り主の名が包装紙の内側に隠れるため、控えめに贈り物をしたい場合に用います。また配送サービスを利用する場合は、配送中にのし紙が破損するのを避けるため、内のしが選ばれることが多いようです。

外のしは、直接会って手渡しする場合に用います。


喪中にお歳暮を送っても良い?

お歳暮は感謝の気持ちを伝えるものであり、祝いの品ではないため、先方または自分が喪中の場合でも、贈ることそのものに問題はありません。紅白の水引を使用するのが遠慮される場合は、白地の紙か短冊を用い、通常ののし紙と同様の表書きをします。

忌明け前なら、四十九日を過ぎた後に「寒中お見舞」の形にするのもひとつの方法です。


お歳暮の時期を過ぎてしまったら

お歳暮を贈る時期を逸してしまった場合、別の名目で贈る方法もあります。のしの表書きは、12月31日までは「お歳暮」、元日から松の内(1月7日頃)までは「お年賀」、松の内を過ぎて立春(2月4日頃)までは「寒中お見舞」「寒中お伺い」とするのが一般的です。


今年のみ贈る場合

お歳暮は毎年の慣習であるため、今年お世話になった方に一度だけ贈り物をする場合、表書きは「お歳暮」ではなく「御礼」とします。


お歳暮を贈ってはいけない先もある

政治家や公務員、学校の先生など公の立場にある人は、贈り物を受け取ることが禁止されています。相手が利害関係者でなければ、社会儀礼の範囲内で受け取ることができるとされていますが、利害関係者かどうかの判断が難しい場合もあり、公務員への贈答は控えるのが一般的です。

大手企業や外資系企業など一部の民間企業でも、お歳暮などの授受を禁止している場合があります。金銭的負担が大きいことや、古くからの儀礼を廃止したいといった理由があるようです。また、上司と部下の間でのお歳暮のやり取りが、人事評価やパワハラにつながる危険や、賄賂や接待と誤解されるトラブルを防止する目的なども考えられます。

授受を禁止している企業では、せっかくいただいた品をやむなく返送する事態になり、お互いに心苦しい思いをすることになります。自社や取引先がお歳暮を禁止していないか、贈る側も事前に確認しましょう。


送り状

お歳暮は本来、挨拶を兼ねて訪問し手渡しするのが基本ですが、近年は宅配を利用することが多くなりました。しかし品物だけを送るのではなく、送ったことをお伝えする「送り状」もあわせてお出ししたいものです。

送り先に合わせ、はがき形式の書式3例を別紙に添付しています。ご活用ください。

<取引先>

<上司>

<恩師>


お礼状

お歳暮を受け取ったら、時間を置かずにお礼状を出しましょう。

送り先に合わせ、はがき形式の書式2例を別紙に添付しています。ご活用ください。

<会社宛>

<個人宛>


お歳暮の豆知識

お歳暮の歴史

「歳暮」は文字通り「年の暮れ」を意味する言葉で、12月の季語にもなっています。昔から年の暮れには、日頃お世話になっている人を訪ねて感謝の気持ちを伝える「歳暮回り」が行われていました。その際に手土産を持参したため、その贈り物が「お歳暮」と呼ばれるようになりました。

お歳暮の起源は、明確には分かっていません。しかし日本には古来、正月にお迎えする先祖の霊や年神様(家の守り神)のために、お供え物をする風習がありました。分家した親族や他家に嫁いだ娘が、本家や親元を年末に訪問し、酒・魚・餅などを贈っていたということです。この習慣は、おそらく室町時代には確立していたと考えられます。

その後、江戸時代には武士が自分の所属する組合の組頭に年末の贈り物をする習慣が生まれました。また商人の間では、お盆や年末に半年分の売掛金を精算することが多かったため、集金の際に得意先にお礼の品を贈る習わしがありました。

明治以降は、お世話になった方に広く贈り物をするようになり、現在のお歳暮の習慣が根付きました。

「のし」って何?

「のし(熨斗)」とは、のし紙や、お年玉を入れるポチ袋の右上に付いている、六角形の飾りに包まれた縦長の黄色い物、または飾り自体を指します。

のし(熨斗)

この黄色い物体の正体は「アワビ」で、「のし」は「伸す(のす)」という言葉が変化したものだと言われます。昔は、海で獲れたアワビを伸(の)して干物にし、祝いごとの席で肴にしたり、祝儀に添えたりする習慣があったそうです。「熨斗鮑(のしアワビ)」は「長く伸びる」縁起物に見立てられ、健康・長寿の祝いや慶事の象徴として重宝されてきたことが由来だとされています。

お歳暮は、師走の忙しい時期でも相手を気遣い1年の感謝を伝え合う、日本人らしい風習なのですね。

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